2014年10月20日号(PDF/506KB)

お客様用
インベストメント・ストラテジーヘッド&
チーフ・エコノミスト シェーン・オリバー博士
ウィークリー市場経済レポート
豪州主要経済指標
2014 年 10 月 20 日
今週の注目点
経済指標・イベント
直近
前回
9 月 新車販売台数(前月比)
2.9%
-1.8%
日付
経済指標・イベント
10 月 22 日 消費者物価指数(前年比)
前回
市場予測
3.0%
2.3%
金融市場・原油・為替
指数等
S&P/ASX200 指数
2014 年 10 月 17 日
時点
2014 年 10 月 10 日
時点
前週比
2013 年 10 月 17 日
時点
前年比
5,271.72
5,188.25
+1.6%
5,283.10
-0.2%
1,088.1
1,086.7
+0.1%
1,038.0
+4.8%
豪州 90 日バンクビル利回り
2.72%
2.72%
+0bps
2.58%
+14bps
豪州債券 10 年物利回り
3.23%
3.33%
-11bps
4.13%
-91bps
豪ドル円
93.46
93.50
-0.04
94.34
-0.88
豪ドル米ドル(セント)
87.44
86.86
+0.58
96.36
-8.92
68.5
68.9
-0.4
72.6
-4.1
S&P/ASX200 不動産投信
豪ドル TWI
先週の主な話題
•
先週は、世界経済の成長見通しとエボラ出血熱に関する不安が引き続き高まり、世界の株式市場は荒れた展開が続きました。
17 日には米国株と欧州株の反発がみられましたが、大半の株式市場は下落しました。ただ、投資家が割安株の物色に動いた
ことから、下落を主導していた豪州市場は上昇に転じました。世界経済の成長に関する不安と安全資産の買いを背景に、債券
利回りの低下が続きました。コモディティ価格は、引き続き売り圧力にさらされましたが、豪ドルは小幅高となりました。これは、
米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和(QE)の終了および/または利上げを先送りする可能性があるとの憶測から米ドルが
やや反落したためです。
•
FRB が QE 終了と利上げ時期を先送りする可能性が出てきました。複数の FRB 当局者が FRB は世界経済の成長減速と米ド
ル高の影響を考慮し、これが利上げ時期の先送りにつながる可能性があるというメッセージを発しています。個人的には、QE
終了と利上げはいずれも来年の 9 月期にずれ込む可能性さえあるとみています。FRB 関係者 2 名は、期待インフレの低下を
防ぐために、必要であれば、QE の拡大や現行プログラム延長の可能性もあるとさえ述べています。特にセントルイス地区連銀
のブラード総裁の QE 延長に関する発言は重要です。同総裁の発言が FRB の政策の方向性に関する手掛かりを示すケース
が多いためです。重要なのは、FRB が金融引き締めに向けてあらかじめ定められた道筋をたどるっているわけではなく、ここに
きて QE が今月で終了しない可能性が十分にあるという点です。
•
豪州では、豪州準備銀行(RBA)のガイ・デベル総裁補が、豪ドルは依然として高すぎるとの見方と、金融市場の潜在的なボラ
ティリティに対する RBA の懸念を繰り返し示しました。特に総裁補は、低金利見通しに変更が生じた場合の債券市場での「大暴
落」の可能性を警告しています。もちろんメディアは、後者に関して、文脈を無視して金融市場全般に言及したものと解釈しまし
た。つまり、悪材料による売りが起こると書き立てたのです。現段階では、低金利環境が終了する兆しはみられません。確かに、
株式市場は乱高下していますが、債券は上昇しています。これは世界の経済成長が再び予想を下回り、最終的な金融緩和/利
上げ時期の先送りを促しているためです。さらに幅広い見方をすれば、各国中央銀行と国際通貨基金(IMF)は、金融政策で何
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を求めているかに関して慎重さが必要です。金融刺激策の主目的は、投資家がより大きなリスクを取ることによって、経済全体
に金融緩和状況を広げ、景気回復を促すことでした。我々が持続不可能なバブルの状況にある(個人的にはさほど目にしてい
ません)、バブル市場、並びにこれに関して暴落のリスクがあるという旨の警告は、投資家がパニックに陥るリスクを増大させ、
過去数年間に目指してきたすべてを帳消しにしてしまいます。
•
エボラ出血熱に関するリスクは、明らかに引き続き増大しています。米国では治療過程で作業手順にミスがあったことから、感
染者が増加しました。エボラ出血熱は、最新の医療設備や高い衛生水準を勘案すると、米国や先進国での感染拡大抑制は容
易と考えられ、引き続き大半がアフリカにとどまるとみられますが、短期的には、エボラ出血熱に関する不安から株式市場の変
動が繰り返されるという弊社の基本シナリオに変更はありません。但し、最近の米国における一連の展開は、リスクが高まって
いることを示しています。香港やシンガポールでの重症急性呼吸器症候群(SARS)で経験したように、消費者の信頼感、ひい
ては個人消費に対して大きな脅威となります。これまでのところ、米国の消費者信頼感に対する影響はほとんどみられません
が、引き続き注視する必要があります。
世界経済指標
•
米経済指標は、まちまちな結果となりました。9 月の小売売上高は減少し予想を下回りましたが、これは好調な 8 月の後を受け
ての結果です。ニューヨーク地区の製造業景況指数は悪化し、中小企業楽観指数は小幅下落し、NAHB(全米住宅建設業者
協会)住宅市場指数は低下しました。一方、失業保険申請件数は引き続き減少し、鉱工業生産は力強い増加を示しました。
フィラデルフィア地区の製造業景況指数は好調を維持し、住宅着工件数と許可件数は増加し、株式市場下落とエボラ熱に関す
る懸念にもかかわらず、消費者信頼感指数は上昇しました。生産者物価指数の軟調は、米国のインフレ率が FRB の目標であ
る 2%を引き続き下回るリスクを浮き彫りにしました。一方、2014 年度の財政赤字が対国内総生産(GDP)比で 2.8%に低下し
(豪州の財政赤字をも下回る水準)、ピーク時の 2009 年の 10%を大きく下回る水準となったことは、非常に明るいニュースとな
りました。また、住宅ローン金利の低下やガソリン価格の下落が家計を支援する見通しであるという点も注目に値します。
•
ユーロ圏の経済指標は概ね軟調な結果となりました。8 月の鉱工業生産は減少し、ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)によ
る 10 月の投資アナリストの信頼感に関する調査は大幅低下を示しました。
豪州経済指標
•
豪州の経済指標は、やや低調な結果となりました。企業景況感指数と企業信頼感指数は、再び平均を下回る水準まで低下し
(ただ、少なくとも昨年の低水準を上回る水準にあります)、10 月の消費者信頼感指数の上昇も小幅にとどまり、同様に平均を
下回る水準となりました。住宅着工件数は、2 四半期連続で大幅増加となった後、2014 年 6 月期は減少しましたが、住宅建設
許可件数は 9 月期の回復を示唆しています。住宅着工件数は年間 18 万戸付近の水準で推移しています。これは長年の住宅
不足による潜在需要と一致する水準です。
相場見通し
•
最近の株式市場下落は新たな弱気相場の開始というよりは、通常の調整局面にすぎない可能性が強いという弊社の見方に変
更はありません。株式のバリュエーションは、すでに割安の領域まで低下しており(豪州株の予想 PER は 14.8 倍から 13.7 倍
まで低下)、世界の経済成長見通しは引き続きまずまずの水準にとどまっているといえます(熱過ぎず寒すぎず)。世界及び豪
州では超緩和的な金融政策が維持される見通しで、欧州と日本は米国との量的緩和のギャップ解消を試みています。米国の
利上げはさらに先送りされる様相を呈しており、投資家のセンチメントは再び大幅な弱気に転じています。これは逆張りの観点
からみるとポジティブといえます。豪ドル安も、豪州の経済成長、最終的には企業収益を押し上げる一助になると考えられます。
以上の理由から、今回の調整を買いの機会とみなす必要があります。年末にかけてのサンタクロースラリーを控え、市場の下
落局面は 10 月に終了するケースが多く、今年も同様の状況になると私はみています。ECB による銀行のストレステストの結果
発表と QE プログラムの開始(いずれも来週の予定)は、いずれもこの点に関し支援材料になると考えられます。
•
低水準の債券利回りは、政府債のリターンが低水準にとどまる可能性を示しています。とはいえ、過度の預金、過剰生産能力、
低インフレがみられる世界において、債券に対して過度に弱気の見方をすることは難しいといえます。
•
豪ドルは短期間に急速に過度に下落しました(米ドルも同様に急ピッチで過度に上昇)。このため、来月あたりにはショートカ
バーによる反発がみられる可能性が高いといえます。とはいえ、コモディティ価格の軟調、FRB の RBA に先行する利上げ見通
し、豪州の相対的に高水準のコスト基盤を反映し、幅広いトレンドは引き続き豪ドル安の可能性が高いといえます。今後 1 年程
度で 1 豪ドル=0.80 米ドル付近まで下落することが予想されます。
当資料は、投資の参考となる情報の提供を目的として、AMP キャピタル・インベスターズ・リミテッド(オーストラリアにおける登録番号:
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登録番号: 関東財務局長(金商)第 85 号
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