お客様用 2016 年 5 月 30 日 豪州主要経済指標 経済指標・イベント 1-3 月期 民間部門投資 今週の注目点 直近 前回 日付 経済指標・イベント -5.20% 1.80% 6月1日 豪州 1-3 月期 GDP(前期比) 前回 市場予測 0.60% 0.60% 金融市場・原油・為替 指数等 2016年5月27日 2016年5月20日 前週比 2015年5月27日 前年比 S&P/ASX200 指数 5,405.91 5,351.31 +1.0% 5,725.25 -5.6% S&P/ASX200 不動産投信 1,438.00 1,433.00 +0.3% 1,299.70 +10.6% 豪州 90 日バンクビル利回り 1.97 1.99 -2bps 2.15 -18bps 豪州債券 10 年物利回り 2.26 2.30 -5bps 2.84 -58bps 79.28 79.56 -0.27 95.59 -16.31 0.72 0.72 -0.00 0.77 -0.05 61.30 61.40 -0.1 64.40 -3.1 豪ドル円 豪ドル米ドル(セント) 豪ドル TWI 先週の主な話題 先週は、米国の成長に対する信頼感の改善や、世界的に原油市場の在庫調整が進んでいる兆候が見られたことから原油価格とエネルギー株 を下支えしたこと、ギリシャと債権国が追加融資で合意したことから、株式市場は好調な展開となりました。米国株は 2.3%、欧州株が 3.4%、日 本株が 0.6%、豪州株が 1%の上昇となった一方、中国株が 0.5%下落しました。また、原油価格および金属価格が上昇した一方、 米ドルが上 昇したことから豪ドルは下落しました。債券利回りはほとんど動きがなかったものの、ギリシャへの追加融資の報道を受けて欧州周辺国の債券 利回りは低下しました。 米連邦準備制度理事会(FRB)からのメッセージは、利上げ時期が近づきつつあることを示していることに変わりはありませんが、その時期は 6 月より 7 月の方が有望に思われます。各地区の連銀総裁が、利上げに関して様々な意見を述べていますが(私には FRB の透明性が、かえっ て混乱を招いていると思われますが)、彼らの多くが投票に参加しないメンバーであり、FRB の決定に関してよりタカ派的である傾向があること は認識しておく必要があります。FRB のジャネット・イエレン議長およびジェローム・パウエル理事のコメントが発表され、今後公表される経済指 標が予想通りのものであるなら、数ヵ月以内の金利引き上げの可能性がより高まることを示したものの、6 月もしくは 7 月に必ず行うといった急 を要するものではなく、金利引き上げに伴うリスクや現在の懸念に慎重に対応する姿勢を示しました。利上げは僅差の判断となると思われます が、7 月の可能性の方が高いようです。 FRB の利上げに関して、今のところ市場はなぜ寛容なのでしょうか?いくつかの理由として: 第 1 に、米国および中国、世界経済成長に関して 信頼感が高まったこと;第 2 に、FRB は利上げに慎重に対応し先送りしてきたことで、利上げを無理に進めないことを示してきたこと;第 3 に、グ ローバル原油市場の在庫調整が進み、原油価格が安定し、石油関連企業のリスクが減退したこと;第 4 に、人民元の急落に対する懸念が緩和 したことなどです。もちろん、これはすべて米ドル高が進めば再び覆されることになりますが、これまでのところ米ドルは安定して推移しています。 1/3 原油市場では在庫調整が進みましたが(米国の供給削減と、カナダ、ナイジェリアとリビアの供給停止)、鉄鉱石については、グローバルで鉄鉱 石在庫が積みあがっていることから、再び価格が下落傾向となっています。年初、70 米ドル/トンに急上昇した後、現在は約 50 米ドル/トンで推 移しています。 英国の EU 離脱に関するリスクは後退しているのでしょうか?6 月 23 日に行われる国民投票について、世論調査では EU 残留派が徐々に離 脱派を上回ってきているようです。私の考えでは、離脱については懐疑的です。なぜならそれは英国の金融セクターにとって大きなマイナス要素 となることや、(もし何らかの貿易協定が離脱決定の後に同意されていない場合)EU と英国の自由貿易を害する恐れがあるからです。あるいは もし貿易協定がなくなるなら、国際的な立場の低下を引き起こす可能性もあります(なぜなら英国は EU のルールに従わなければならない一方、 発言権を持てないことになるからです)。このような論理は一般に理解され始めています。また欧州における難民問題が一応の解決を見ることも (海上からの難民漂着が 10 月には 22 万人でしたが、4 月には 1 万 2 千人まで急減しました)、同じく残留を選択するケースの一助になると考 えられます。 英国 EU離脱を問う国民投票に関する世論調査 EU離脱 EU残留 無回答 出所:NatCen ソーシャル・リサーチ 今夏の Grexit(ギリシャの EU 離脱) はなさそうです。なぜあまり報道されないのか理解しかねるところですが(多分ギリシャに関して良いニュー スであれば、新聞が売れないから?と疑ってしまいます)、EU と国際通貨基金(IMF)が新たに 100 億ユーロの追加融資に同意しました。これに より、今夏は再び Grexit の懸念が浮上することはないと見られ、非常に良いニュースだと思われます。この報道に反応して、スペインおよびイタ リアでの債券利回りが低下しました。 世界経済指標 先週の米国の指標は再び強弱まちまちな内容となりました。5 月のマークイット米国製造業 PMI(購買担当者景気指数)は若干低下しました。し かし、これに対し住宅価格指数は引き続き上昇し、新築住宅販売件数および中古住宅販売成約が急増しました。4 月の貿易収支の速報値が予 想以上となり、失業保険申請件数が再び低下しました。また 1-3 月期実質 GDP 成長率は、前期に比べ若干上昇し、前期比 0.8%となりました。 アトランタ連銀の GDPNow (国内総生産調査)によると GDP は 2.9%で推移しており、米国の成長率が今四半期に反発を見せているといった 全般的な印象は依然として変わりありません。しかし平均すると 2%前後か 2%を若干下回って推移しており、トレンドとしては力強い成長とまで はいかないようです。しかし、年始早々の景気後退懸念からは大きく改善しました。 欧州の指標はまずまずでした。確かに 5 月の PMI は僅かに低下しましたが、まだ緩やかな成長を示す水準を維持しています。 日本の指標は軟調でした。5 月の製造業 PMI は低下し 47.6 となり、輸入が減少したことで貿易黒字が拡大しました。GDP が再び低下している 可能性もあります。一方、4 月の国内コアインフレ率は前年比で 0.7%の低水準に留まり、5 月の東京の指標は一段の低下を示しました。来月 以降、財政出動、もしくは追加金融緩和の可能性も出て来ました。 豪州経済指標 豪州では、1-3 月期の建設および設備投資が市場予想以上に低下するなど、企業の事業投資の低迷が続いています。軟調な鉱業投資が低迷 の主な要因となっており、今後 1 年間の事業計画においても鉱業セクターが足かせになることを示唆しています。オーストラリア統計局(ABS)に よる設備投資計画調査では、前年行われた予想に比べて引き続き減少を示しており(次図参照)、依然として設備投資の低迷が成長の足かせと なっている状況が続いています。 50% Actual and expected capital expenditure 実質および予想設備投資 Annual % change 年率(%) 40% 実質投資 Actual 30% 20% 10% 0% -10% -20% -30% 予想との差異 Change between 2nd estimates 6月末会計年度 Financial years ending June 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 (年) 出所:オーストラリア統計局、AMP キャピタル しかしながら、ポジティブな指標も見られました。住宅着工件数が 1-3 月期に再び増加しました。今年の鉱業投資の低迷は、そのうち長期平均 付近に戻ると見られ、その GDP 成長に対するマイナス効果は徐々に弱まることになるでしょう(次図参照)。とは言うものの、経済は依然として 低金利からの恩恵や豪ドル安によって、鉱業投資の低迷による経済成長のギャップを相殺することを必要としています。 2/3 鉱業投資 vs 非鉱業投資 GDPに占める割合(%) 非鉱業投資 設備投資計画に よる両セクターの 見通し 鉱業投資 (年) 出所:オーストラリア統計局、AMP キャピタル RBA のスティーブンス総裁は、インフレ目標を引き下げることについて同意しかねるとし、RBA のインフレ・ターゲット・アプローチについて固持 する考えを示しました。私も同意見です。 今週の注目点 米国では、5 月の ISM 製造業景況指数および雇用指標が 5 月の米国経済の状態を占う指標として注目されます。また、両指標は次回行われ る FRB の 6 月 14-15 日の理事会合のカギとなる指標となることから、より重要性があります。ISM 製造業景況指数がわずかに低下し 50.4 程 度となり、非農業部門雇用者数変化は 16 万人増とまずまずの数値になると予想されます。失業率は僅かに低下し 4.9%となり、平均時給は若 干上昇して前年比 2.5%となることが予想されます。一方、4 月の個人消費は上昇が見込まれるものの、コア個人消費インフレ率は引き続き前 年比 1.6%の水準にとどまるでしょう。住宅価格は引き続き上昇し、消費者信頼感は改善、および ISM 非製造業景況指数は堅調が予想されて います。 ユーロ圏では、欧州中央銀行(ECB)は今年初めに大規模な追加刺激策を実施していることから、その金融刺激策プログラムに変更を発表す ることはないでしょう。5 月の消費者信頼感指数は概ね横ばいで、緩やかな成長と一致した水準になると予想されます。5 月のコア・インフレ率は 前年比 0.7%と引き続き低い水準となり、失業率は若干低下して 10.1%になると見られます。 日本では、堅調な雇用成長が見込まれるものの、家計消費および鉱工業生産は軟調になると見られます。安部首相は、消費税率引き上げ時期 を延期する考えを発表しました。 中国では、5 月の製造業 PMI は 4 月より若干低下すると見られます。中国は引き続き 6.5-7%程度の経済成長となることが見込まれることから、 景気後退ではないものの、好景気でもない状態です。 豪州では、最も注目されるのは 1-3 月期の GDP ですが、前期比 0.7%、前年比では長期平均近辺の 2.7%程度に若干減速すると見られます。 消費支出、住宅投資および純輸出増が支援材料となる一方、設備投資の減少が足かせになることが予想されます。一方、新築住宅販売件数お よび建設許可件数は 3 月に大きく増加したことから、4 月は下落が見込まれており、融資の伸び率はやや減速し、4 月の小売売上高は 0.2%増 と予想されています。住宅価格、経常収支、PMI も同じく公表が予定されています。 相場見通し 翌月以降、特に重要なイベント(FRB の理事会、Brexit を問う国民投票、スペインの出直し選挙、豪州の総選挙)が控えており、また相場格言 の「株は 5 月に売れ」とあるように、短期的には株式市場のボラティリティは高い状態が続くと見られます。とはいえ、今年は年末に向けて株式 市場はさらに上昇すると見ています。その理由としては、株式のバリュエーションが債券と比べて割安であること、世界的に超低金利環境が継続 していること、緩やかな経済成長が続いていることなどが挙げられます。 現在、債券利回りが極めて低い水準にあることから、国債投資のリターンが中期的に低調になる可能性が考えられます。ただし、世界的に低成 長、余剰生産能力や低インフレが見込まれることから、過度に債券投資に対して弱気になることは難しいと思われます。 商業用不動産やインフラ資産は、今後も投資家による利回り追求の動きから恩恵を享受する見通しです。 豪州では、シドニーやメルボルンの住宅市場が沈静化に向かっていることから、2016 年は主要都市の住宅用不動産価格の上昇率が+3%前後 まで鈍化すると予想されます。また、パースやダーウィンでは値下がりが続く一方、ブリスベンでは上昇すると見られます。 現金および銀行預金からのリターンは低迷するでしょう。 1 豪ドル=0.78 米ドルはテクニカル面での売られ過ぎの状態であり反発すると見られます。とはいえ、短期的なリバウンドは限定的なものとなる 可能性が高く、長期的には再び下落基調が始まるでしょう。というのも、RBA が政策金利の引き下げを行っている一方で、FRB はいずれ利上げ を再開すると見られており、今後、金利差の縮小が見込まれることや、コモディティ価格が依然低迷していること、豪ドルがフェアバリュー(適正 価値)を下回るのも珍しいことではないためです。 3 当資料は、投資の参考となる情報の提供を目的として、AMP キャピタル・インベスターズ・リミテッド(オーストラリアにおける登録番号: AMP キャピタル・インベスターズ株式会社 ABN 59 001 777 591; AFSL 232 497)から提供された情報をもとに AMP キャピタル・インベスターズ株式会社が作成したものであり、特定の 登録番号: 関東財務局長(金商)第 85 号 有価証券への投資を勧誘する目的で作成したものではございません。当資料は、各種の信頼できると考えられる情報に基づいて作成されており 加入協会: 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会 ますが、情報の正確性、完全性が保証されているものではありません。当資料中のいかなる内容も将来の投資成果及び将来の市況環境の変動等 を保証するものではありません。当資料の記述内容、数値、グラフ等は作成時点のものであり、予告なく変更される場合があります。 3/3
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