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2015 年 3 月 31 日
FX/CFD モーニング・レポート
水谷文雄( FOREX.COM スポンサード・コメンテータ)
市況概況:中国金融緩和示唆、FRB 慎重な利上げ姿勢→リスク志向へ向かう金融市場
週末周中国人民銀行総裁の、追加金融緩和余地があるとの発言からアジア市場での株式好調、そしてそれが欧
米市場に引き継がれたかの市場となりました。そして FRB(米連邦準備理事会)メンバーはイエレン議長を中
心として、利上げ路線は敷かれたが、利上げの時期、ペースには慎重姿勢を貫いているようです。経済データ
次第だとしています。
リトマス紙 10 年米国債利回り 1.95%と金曜日と同水準と言えます。リスク度を測る VIX(恐怖)指数は下落
しており、リスクが緩和、つまりリスク志向に向っていると言えます。筆者が注目している米 2 月 PCE コア
デフレーター1.4%前年比と予想通りですが、前月の 1.3%からは上昇している。FRB の 2%インフレ目標に一
歩近づいていると言えます。また米 3 月個人所得 0.4%前月比と良い数字となっています。そして 2 月中古住
宅販売成約 3.1%前月比と良い数字。イエレン FRB 議長を初めフィッシャーFRB 副議長も利上げには慎重姿勢
であり、米企業にとっては資金調達不安は軽減され、株式市場は上昇する傾向が強いと言えます。NY ダウ平
均+263.65 の 17,976.31 と上昇傾向。18,000 ドル台に乗せれば勢いをつけそうです。ドルインデックスはリ
スク志向が強い金融市場から、97.95 水準と前日の 97.40 からは上昇している。これを為替の基本としたい。
欧州時間帯では、ギリシャの財政緊縮策に不信感が根強いようです。ツィプラス・ギリシャ首相は、「景気後
退を招く政策や緊縮策はもはやない。」と国民向け発言には強気のようです。メルケル独首相は、国民向け発
言は慎むように苦言を呈しています。ドイツ政府は、ギリシャが一段と詳細な改革案リストを提示するまでは、
ユーロ圏は金融支援を行わないとの考えを表明しまし
た。30 日にはギリシャ改革案が出されると観測もあ
ったのですが、いまだに提出されていないようです。
10 年ギリシャ債利回り 11.10%と 11%台と再び上昇基
調にあるようです。ギリシャに注目が再び集まる金融
市場と言えます。反対に独連邦債 10 年利回り 0.20%
と低下傾向が続いています。右のグラフ(出所:ウォ
ール・ストリート・ジャーナル紙)は過去 1 年の独連
邦債利回り推移です。綺麗は右肩下がりの曲線になっ
ています。ECB(欧州中央銀行)量的緩和開始を受け
て、機関投資家の資金も流入していると推測します。
10 年スペイン債 1.30%、10 年イタリア債 1.31%とほ
とんど変化がありません。独 3 月消費者物価指数
0.5%前年比と良い数字ですが市場は無視。
RBA(豪準備銀行)の来週火曜日の利下げ観測が強く、豪ドル安を続けている。市場予想は政策金利(現行
2.25%)を 0.25%引き下げです。RBNZ(NZ 準備銀行)は反対に今年中の小幅利下げ(0.25%)予想もしくは
中立スタンスです。そのため豪ドル/NZD:1.02 台線半の動きとなり、豪ドル安/NZD 高が続いている。RBA
と RBNZ の金融スタンスの違いを明確に反映していると言えます。しかしドル高相場の中、対ドルでは豪ドル、
NZD 共に安い傾向を示しています。今朝 NZ:住宅建設許可-6.3%前月比と悪い数字。
今日の注目点: 各国経済指標と FRB メンバーの発言、そして明日早朝の日銀短観、中国経済指標
アジア時間帯では、米株高の好影響を受けるか兜町の動きに注意したい。
欧州時間帯では、独 3 月失業率(予想 6.5%(前回 6.5%))、独 3 月失業者数(予想-1.2 万人(前回-2.0
万人))、英第 4 四半期 GDP(国内総生産)・確報値(予想 0.5%前期比、2.7%前年比(前回 0.5%、
2.7%))、ユーロ圏 3 月消費者物価指数・速報値(予想-0.1%前年比(前回-0.3%))、ユーロ圏 2 月失業
率(予想 11.2%(前回 11.2%))に注意。特にユーロ圏消費者物価指数は注視したい。
米国時間帯では、米 1 月 S&P/ケース・シラー住宅価格指数(予想 4.60%前年比(前回 4.46%))、米 3 月シ
カゴ購買部協会景気指数(予想 51.8(前回 45.8))、米 3 月消費者信頼感指数(予想 96.4(前回 96.4))に
注意。ラッカー・リッチモンド連銀総裁(タカ派)、ロックハート・アトランタ連銀総裁(中立)、メスタ
ー・クリーブランド連銀総裁(中立)、ジョージ・カンサスシティ連銀総裁(タカ派)の講演が予定されてい
ます。
明日早朝には、日銀短観の発表があります。大企業製造業業況判断(予想 14(前回 12))、大企業先行き
(予想 16(前回 9))、大企業非製造業業況判断(予想 17(前回 16))、大企業非製造業先行き(予想 18
(前回 15))、設備投資計画(予想 0.5%前年比(前回 8.9%))中国経済指標では、中国 3 月製造業 PMI
(予想 49.7(前回 49.9))、中国 3 月非製造業 PMI(前回 53.9)、中国 3 月 HSBC/マークイット製造業 PMI
確報値(予想 49.4(前回 49.2))に注意。豪 2 月住宅建設許可件数(予想-4.0%前月比(前回 7.9%))にも
注意したい。
為替見通し:ユーロ安、円安、オセアニア通貨安進行
ドル/円:119.80~121.00 リスク志向が強まりドル高基調のようです。米国債利回り上昇に弾みがつけばそ
の傾向が鮮明になるのではと思います。日足チャートで見ると、90 日移動平均線(119.17)がしっかりとし
たサポートになりました。ボリンジャーバンドのミドルバンド(120.38)が上値目安。それを抜ければギャン
スクエアの非常に重要な節目 121.00 が目標となります。5 日移動平均線(119.48)がやっと上向き曲線とな
りました。ストキャスティックス上方基調、MACD 上方転換家気配と、ドル高/円安傾向が明確になってきて
いる。下記は時間足チャートです。太い青線の 20 本 EMA は上方曲線です。ローソク足との関係を見ると、現
在は利食い売りが強いと状況と言えます。下段の MACD がデッドクロスとそのことを物語っているようです。
利食いをする局面と言えます。再度底値拾いには慎重に行きたい。EMA 水準で仕込んでも 35~40 ポイント下
に損切を設定して臨みたい。フィッシャーFRB 副議長が、「FRB はドル上昇意図していなかった。」との発言
があるようです。
ユーロ/ドル:1.0750~1.0870 ギリシャ不信感が市場のテーマになりつつあるようです。日足チャートに素
直に従いたい。5 日移動平均線(1.0876)が下方曲線に転換しつつあります。1.10 はやはり重い壁になってい
るようです。ボリンジャーバンドのミドルバンド(1.0778)を下抜けするかに注目したい。そうなると下限バ
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ンド(1.0490)が目標となってくる。MACD は依然として上方基調、ストキャスティックスは下方基調となっ
ている。時間足で見ると、20 本 EMA は下方基調継続となっている。ローソク足との関係を見ると現在はやや
利食いの買い戻しが進む局面です。ユーロ売りスタンスであれば、戻り局面を捉えたい。MACD はややゴール
デンクロス気味と買戻しを正当化しています。
ユーロ/円:129.50~130.70 対ドルでユーロ安、円安局面が進み、クロス円はレンジ相場となっています。
どちらかの通貨がスピードを増すとその方向に向う。ユーロ売りが加速すると、クロス円もユーロ売りとなろ
う。現在はボリンジャーバンドのミドルバンド(129.95)近辺に位置する。上下バンド幅が狭まってきており、
次の相場を予感させます。やはり下方向ではないかとイメージします。
ポンド/ドル:1.4730~1.4850 カーニーBOE 総裁の次の金融政策は利上げになる可能性との発言は、ドル高
の勢いに抗しきれなかったようです。ポンド安の動きとなっています。ギャンチャートで見ると、7 月 15 日
高値 1.7190 起点の 1x1(1.4762)に沿った動きのようにも見えます。こちらもボリンジャーバンドの上下バ
ンド幅が急速に狭まってきている。次の相場展開を予感させます。ユーロ/ポンド 0.73 台前半と大きくは動
いていない。ユーロ連動相場とも言えます。しばらく様子見スタンスです。
豪ドル/ドル:0.7580~0.7680 豪ドル安が進む相場です。基本は RBA の来週利下げ観測が強いことがあげら
れます。そして鉄鉱石価格下落。緑線で示しているギャンチャート 9 月 5 日高値 0.9401 起点の 1x1(0.7505)
に位置する。スティーブンス RBA 総裁の希望水準です。ボリンジャーバンドのミドルバンド(0.7712)を明
確に下回り、下限バンド(0.7547)が下値目安となります。下段のストキャスティックスは下方基調と豪ドル
安を正当化します。時間足で見ると、20 本 EMA は下方基調継続しています。ローソク足を見ると 0.7650 以
下では短期筋の利食いの豪ドル買戻しが明確なようです。慎重に EMA 水準では豪ドル売りスタンスで臨みた
い。
豪ドル/円:91.30~92.30 対ドルで豪ドル安が進み、クロス円でも豪ドル安が進む相場になっています。5 日
移動平均線(92.35)がレジスタンス、ボリンジャーバンドの下限バンド(91.55)に沿ったバンドウォークの
相場になるか注目したい。ストキャスティックスはそろそろ上昇転換する気配もあります。利食い売り局面か
もしれません。慎重に行きましょう。来週の RBA 会合までの相場かもしれない。
NZD 相場:ドル高相場に影響を受けている相場の感がします。対ドル相場で見ると、5 日移動平均線(0.7540)
をレジスタンスに、ボリンジャーバンドのミドルバンド(0.7464)が下目目安と言えます。ストキャスティッ
クスが上方転換する気配があり、利食い時が近いのかもしれません。対円相場では、レンジ相場になっている
ようです。円安、NZD 安が同スピードで進んでいると言えます。ミドルバンド(89.81)がサポートになるか
注目したい。やはり下方向をイメージします。
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CFD 見通し:NY ダウ平均は 90 日移動平均線がサポートとして機能
太い青線 90 日移動平均線(17,798)がサポートとなっています。今回もクリアーしました。ボリンジャーバ
ンドのミドルバンド(17,798)も上回りました。上限バンド(18,218)に早く到達すると、高値追いの相場に
なるのではと思います。下段のストキャスティックスは上昇基調継続となっています。FRB が利上げに対して
慎重姿勢である限り、少なくとも大きな落ち込みはないのではと思います。
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