お客様用 2016 年 5 月 16 日 豪州主要経済指標 経済指標・イベント 4 月 ANZ 求人広告件数(前月比) 今週の注目点 直近 前回 -0.80% 0.10% 日付 経済指標・イベント 5 月 18 日 豪州 1-3 月期 賃金指数(前年比) 前回 市場予測 2.2% 2.2% 金融市場・原油・為替 指数等 2016年5月13日 2016年5月6日 前週比 2015年5月13日 前年比 S&P/ASX200 指数 5,328.99 5,292.05 +0.7% 5,715.15 -6.8% S&P/ASX200 不動産投信 1,431.70 1,430.50 +0.1% 1,265.50 +13.1% 豪州 90 日バンクビル利回り 1.98 2.00 -2bps 2.15 -17bps 豪州債券 10 年物利回り 2.27 2.29 -2bps 2.95 -68bps 78.99 78.91 +0.08 96.67 -17.68 0.73 0.74 -0.01 0.81 -0.08 61.50 62.00 -0.5 65.50 -4.0 豪ドル円 豪ドル米ドル(セント) 豪ドル TWI 先週の主な話題 先週、株式市場はグローバル成長に対する懸念と、強弱入り混じる米国企業の決算発表により、不安定な動きとなりました。米国株は 0.5%下 落し、また中国株には下押し圧力が続き、3%の下落となりました。しかしながら、欧州株は 0.5%上昇し、円安に支えられた日本株は 1.9%上 昇、そして豪州株が、豪州準備銀行(RBA)による直近の政策金利の引き下げが支える形で、0.7%上昇しました。全般に債券利回りが低下しま した。コモディティ価格は原油価格が上昇した一方、金属価格は下落し、1 豪ドル=0.73 米ドルをわずかに下回る水準に下落しました。 今夏のギリシャ危機の再発はなさそうです。Grexit(ギリシャのユーロ圏離脱)懸念の再燃は、(2010 年、2011 年、2012 年の中盤に続き)昨年 も半ば頃に株式市場の混乱を招きましたが、今回は同様の混乱が起こること可能性は低いと思われます。ギリシャ政府は、年金制度、税制にお ける様々な改革と、継続的な歳出削減に同意しており、最近行われた救済プログラムに対する第一回経済報告は無事通過する見込みです。欧 州債権国諸国は、貸付債権の長期化や金利の低減などにより、ギリシャの債務負担軽減についての議論を始めました。まだ先は長いものの、 現段階においては、今年は Grexit に対する懸念が再燃し新聞の紙面を賑わすことはなさそうです。 ブラジルのルセフ大統領に対する弾劾請求は、始まったばかりです。上院でジルマ・ルセフ氏に対する弾劾請求について投票が始まり、ブラジ ル株式市場はこれを歓迎しました。ブラジルが元の状態に戻るのは長い道のりになりそうです。現在、大統領職を担っている副大統領ミシェル・ テメル氏は、現政権への支持を得る為市場寄りの路線を採っており、歳出削減や増税などを伴う予算赤字を GDP の 5%に抑えようとしているよ うです。しかし、今年のブラジル株式市場は、ルセフ大統領の弾劾法廷設置を予想してすでに 20%超上昇していますが、ルセフ大統領の弾劾 裁判は今後数ヶ月を要する可能性が高いことから、今後は試される展開が続くでしょう。またその結果は厳しいものとなると見込まれており、万 が一ルセフ氏が最終的に更迭されるにせよ、テメル暫定大統領は 2018 年までその職に留まることになり、ブラジルが必要とする構造改革に着 手するとは考え難い状況です。それどころか、財政削減はブラジルがすでに入っている深刻な不況を悪化させ、さらに政治的な緊張が高まる可 能性があります。新たに選挙が行われることは一助とはなると思われますが、時間を要するものであり、ブラジルの経済を回復させるために必 要となる経済的・政治的な改革に精力的に着手する政府をもたらせるかどうかは明確ではありません。言い換えるならば、ブラジルの問題はル セフ大統領自身よりずっと大きな問題なのです。それがコモディティ価格の急落によって露わになっただけのことなのです。 1/3 RBA がインフレ目標を引き下げたことは、信じられないことです。2007 年から 2008 年にインフレ率が(総合、コアともに)4%を上回っていた頃、 一部のコメンテーターは、RBA は高騰する世界のコモディティ価格に対処できないため、インフレ目標を引き上げるべきだと、真剣に議論してい ました。現在行われている議論は、足元の世界のコモディティ価格が下落していることから、以前と同様の議論を用いて、RBA はインフレ目標を 下げるべきと言っているだけのように聞こえます。これは全く意味のないことです。インフレ目標を設定することの本質は、インフレ期待を目標と する水準近辺に固定することです。もしコモディティ価格の動きなどによってインフレ率が目標水準から大きく乖離しそうになるたびに、インフレ目 標を引き上げたり引き下げたりするのであれば、労働者が賃上げ要求をしたり、企業が従業員の賃金設定をしたり、将来のインフレに対応した 商品価格の設定をしたりする際に用いられる期待インフレ率が、それによって大きく影響を受けることになります。このことは、1970 年代、80 年 代において、インフレ率を正常に戻すのに長い時間がかかったことや、日本が過去 20 年間デフレを終焉させるのに苦しんできたことからも明ら かです。RBA はただ目標を下げるためだけの要求に耳を傾けるべきではありません。 世界経済指標 米国の指標は、4 月の小売売上高が前月比で大きく増加したことや、5 月のミシガン大学消費者態度指数が大きく改善したこと、4 月の中小企 業楽観指数が上昇したことなど好調なデータが続きました。また、3 月の JOLT 求人指数が好調であったことは労働市場が堅調であることを示 唆しており、前月に見られた減速が例外的なものであった可能性もあります。失業保険申請件数が、ここ数週間にわたってじりじり上昇していま すが、先週の上昇についてはニューヨークにおける特殊要因による影響と思われます。一方、卸売物価指数の上昇は消費者物価コア指数が上 昇し始めていることを示唆しています。したがって、6 月か、あるいは 7 月の FRB の政策金利引き上げの可能性は低いものの、9 月の引き上げ の可能性はまだあります。 ユーロ圏の 3 月の鉱工業生産は前月比でマイナスとなったものの、ドイツの 3 月の製造業新規受注は前月比で上昇しました。 日本の 3 月の景気先行指標は上昇しましたが、熊本地震の影響や賃金上昇が穏やかなものにとどまっていることなどを背景に、信頼感指数は 下落しました。 中国では、各種購買担当者景気指数(PMI)に続き、4 月の鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資、輸出入、融資とマネーサプライの伸び等、 程度は異なるもののすべて減速しました。ただ、これらの経済指標は過去数年の成長レンジには留まっています。ボラティリティの観点から見れ ば、中国の成長に持続的な推進力はないことは明確ですが、しかし同様に暴落はないと見ています。GDP 成長率は 6.5‐7%のレンジで推移す る可能性が高いと見ています。中国の 4 月の消費者物価指数は前年比で 2.3%と横ばいでした。食品以外のインフレ率が前年比で 1.1%の低 い水準にとどまったことが影響しました。一方で、4 月の生産者物価指数が前年比で-3.4%と前月の-4.3%から縮小基調が続いているなど、良 い兆しも見られました。4 月の輸出入はやや鈍化したものの、外貨準備高の減少ペースも減速しています。これは、(米ドルの行方に左右される ものの)人民元に落ち着きが戻ってきていることで、資本流出が鈍化していることを示唆しています。 豪州経済指標 豪州の指標はやや明るいものとなりましたが、その中でも特に目立ったのは、長期平均を上回り、2014 年 1 月以来の高値となった消費者信頼 感で反発でした - 金利引き下げが少なくとも短期的には奏功しています。これは、(昨年にくらべ中立的に見える)予算案に対して反応している のではなく、RBA の直近の金利引下げに対するポジティブな反応を反映しているように思われます。とはいえ、月次の消費者のセンチメントは概 して変動が大きく、力強い成長の水準を下回ったままです。 消費者信頼感は金利引き下げを反映して上昇 NAB企業信頼感(左軸) ウェストパック/メルボルン 消費者信頼感(右軸) (年) 出所:ナショナル・オーストラリア銀行、ウェストパック/メルボルン・インスティチュート、AMP キャピタル 一方、豪州の住宅ローンは投資家への新築不動産購入用ローンが増加したことで、3 月は若干予想を上回りました。全般的なトレンドとしてはま だ下落傾向が続いているものの、投資用ローンが若干反発しました。ただこの増加は、豪州健全性規制庁(APRA)の現在の規制により、限定 的となる可能性が高いと思われます。最後に、ANZ 求人広告件数が 4 月は再び若干減少し、雇用成長が去年の急上昇の後に若干減速したこ とと整合的な動きとなっています。 インフレのダウンサイドリスクを反映して、弊社では RBA が年内に政策金利をあと 2 回引き下げ、1.25%まで引き下げる可能性があると見てい ます。 今週の注目点 米国では、米 NAHB 住宅指数、住宅着工件数、工業生産指数、中古住宅販売の発表が予定されており、上昇が見込まれます。5 月の経済環 境について、ニューヨーク及びフィラデルフィア連銀の製造業調査結果が初期ガイダンスとなるでしょう。消費者物価指数(CPI)は原油価格の最 近の反発を反映して、堅調な上昇となる可能性が高いものの、コア CPI は前年比 2.2%から 2.1%に若干後退することが予想されます。直近の FRB の声明文からは、大多数が慎重な見方を示し、ハト派であることを確認する可能性が高いと思われます。 豪州では、豪州準備銀行の声明が公表されますが、直近の政策金利引き下げの際の声明が既に公表されていることから、やや話題としては古 いものとなりますが、しかし間違いなく今後の政策金利の見通しに関する手がかりを探るうえで注視する必要があります。経済指標に関して、13 月期の賃金成長は引き続き低調で、前年比 2.2%前後となると見られ、4 月の雇用指標は、3 月に見られた堅実な伸びからは弱含み、失業率 はやや反発して 5.8%となると見られます。 2/3 相場見通し 株式市場のボラティリティは短期的に高い状態が続くと見られます。5 月の相場は、広く知られている「5 月に売って、いったん市場から立ち去り、 セント・レジャー・デー(競馬のレースが行われる 9 月の第二土曜日)まで戻ってくるな」という格言にあるように、いつも神経質な展開になりがち です。世界の経済成長は脆弱で不透明性の高い状況が長引いており、FRB と中国を巡る不透明感が払しょくされずにいます。とはいえ、短期的 なボラティリティは見られるとしても、今年は年末に向けて株式市場はさらに上昇すると見ています。その理由としては、株式のバリュエーション が債券と比べて割安であること、世界的に金融緩和が加速していること、緩やかな経済成長が続いていることなどが挙げられます。 現在、債券利回りが極めて低い水準にあることから、国債投資のリターンが中期的に低調になる可能性が考えられます。 商業用不動産やインフラ資産は今後も、投資家による利回り追求の動きから恩恵を享受する見通しです。 豪州では、シドニーやメルボルンの住宅市場が沈静化に向かっていることから、2016 年は主要都市の住宅用不動産価格の上昇率が+3%前後 まで鈍化すると予想されます。また、パースやダーウィンでは値下がりが続く一方、ブリスベンでは上昇すると見られます。 キャッシュや銀行預金のリターンは引き続き低水準に留まり、さらに魅力が薄れています。 FRB が利上げを見送り続けた場合、豪ドルが短期的に一段と上昇するリスクがあります。とはいえ、短期的なリバウンドは限定的なものとなる 可能性が高く、長期的には再び下落基調が始まるでしょう。というのも、RBA が政策金利の引き下げを行っている一方で、FRB はいずれ利上げ を再開すると見られており、今後、金利差の縮小が見込まれることや、コモディティ価格が依然低迷していること、豪ドルがフェアバリュー(適正 価値)を下回るのも珍しいことではないためです。 3 当資料は、投資の参考となる情報の提供を目的として、AMP キャピタル・インベスターズ・リミテッド(オーストラリアにおける登録番号: AMP キャピタル・インベスターズ株式会社 ABN 59 001 777 591; AFSL 232 497)から提供された情報をもとに AMP キャピタル・インベスターズ株式会社が作成したものであり、特定の 登録番号: 関東財務局長(金商)第 85 号 有価証券への投資を勧誘する目的で作成したものではございません。当資料は、各種の信頼できると考えられる情報に基づいて作成されており 加入協会: 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会 ますが、情報の正確性、完全性が保証されているものではありません。当資料中のいかなる内容も将来の投資成果及び将来の市況環境の変動等 を保証するものではありません。当資料の記述内容、数値、グラフ等は作成時点のものであり、予告なく変更される場合があります。 3/3
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