マーケットの底 流 を読 む 株式会社ジャパンエコノミックパルス Japan Economic Pulse Co., Ltd. 日米デ・カップリングと日本「真の夜明け」 4 月統一地方選までに株価 2 万円の過剰流動性相場 日本株にとって足枷は米 6 月利上げ織り込みによ る米国株の調整リスクであり、日経平均は短期的に は 3 月 6 日の 1 万 8979 円を高値に揉み合い推移が想 定される。だが、米国株には有名な「Sell in May」 (5 月に株を売れ)の格言があるが、 「4 月までは株 は買い」とも言え税還付を受けた個人マネーに「大 崩れ」がなければ 25 日移動平均との収斂を待ち 4 月統一地方選に向け日経平均 2 万円への再浮揚が期 待できよう。 30 兆円に膨れ上がる税還付が支える米国株 注目された 6 日発表の米 2 月雇用統計は、平均時 給こそ前月比 0.1%とやや伸び悩んだものの、NFP (非農業部門雇用者数)が+29.5 万件と予想比大幅 増、失業率は 5.5%と 08 年 5 月以来約 7 年振り低水 準と米雇用情勢の盤石さが確認され、米 FRB の最速 6 月利上げ期待が高まった。 来週の米 FOMC 声明の「patient(辛抱強い) 」の文 言削除思惑が抬頭し、米ダウ平均が 6 月利上げを織 り込む過程でどの水準まで下落調整が進むか。その 帰趨次第で日経平均が 2 月 3 日に 25 日移動平均を一 時割り込んだように、下値が切り上がる 25 日移動平 均と実勢相場が収斂しそうな 1 万 8500 円前後へと日 経平均も調整局面が想定される。 もっとも、25 日移動平均に接近した後は再上昇の 可能性が高い。一時 140 を超え「買われすぎ」過熱 感を内包した 25 日騰落レシオはすでに 120 前後へと テクニカル面の過熱修正が進んでいる。 さらに、米国株には有名な「Sell in May」(5 月 に株を売れ)の格言があるが、 「4 月までは株は買い」 とも言える。米株「5 月売り」の背景には近年、円 換算で 30 兆円規模に膨れ上がる税還付がある。1 月 末から 5 月まで巨額の税還付が続くから米 FRB の 6 月利上げ説を織り込みながら調整下落局面では税還 付を受けた個人投資家の押し目買いに米ダウ平均の 「大崩れ」は杞憂に終わりそうだ。 何より、日本経済「真の夜明け」を象徴する日米 株価「ゲームチェンジ」が現出しつつある。米 2 月 雇用統計上ぶれに米 FRB 早期利上げ観測が抬頭、6 日の米ダウ平均 298 ドル安を嫌気して 9 日の日経平 均は売りが先行し一時下げ幅 200 円超へと広げた後、 下値では買い遅れた個人投資家の押し目買いに、結 局、前週末比 180 円安の 1 万 8790 円と下げ渋った。 3 月 2 日にも日本経済「真の夜明け」を象徴する 日米株価「ゲームチェンジ」が現出した。その前週 末 2 月 27 日の米ダウ平均は 80 ドル超安と利益確定 売りに押されたが、3 日の日経平均は小幅 3 日続伸 [email protected] 2015/3/13 の 1 万 8826 円と約 15 年ぶり高値更新となった。 2 月末には米証券大手ゴールドマンサックス(GS) が、今後半年で 2 万 600 円、年末に 2 万 1700 円とい う新たな目標へと日本株見通しを上方修正した。GS 証券は、日経平均見通し上方修正の理由の 1 つに、 実質所得増加による消費拡大をあげた。 日本最大手の野村証券が 9 日、2015 年 12 月末の 日経平均の予想を 1 万 9000-2 万 1000 円と従来予想 から下限・上限ともに 1000 円引き上げた。3 月に入 ると賃上げの動きが相次いで表面化する。昨春 4 月 の消費税引き上げ以降停滞が続いた消費が一気に上 向く可能性が高い。 一方、1 ドル=115-120 円レンジで揉み合い推移の 円相場の振り子が 2 月米雇用統計による米利上げ前 倒し観測に円安へ振り子が振れ始めた。実際、9 日 の東京外為市場で利上げ前倒しが蒸し返され一時 1 ドル=121.13 円前後へと円安が進んだ。 海外投資家は、円安・原油安・異次元緩和「新ト リプルメリット相場」を先取り、日本株比率を引き 上げつつある。 「マサチューセッツ・アベニューモデ ル」が示す円安 3 年目の輸出拡大に賃上げと原油安 による消費拡大思惑である。 自身の過去 30 年の運用成績を「業界屈指」と自負 する投機王 G・ソロス氏を師と仰ぐドラッケンミラ ー氏は、 「今年の日本株は米国株を上回るパフォーマ ンスになる」と予想する。 ドラッケンミラー氏は先の CNBC インタビューで 「私は米国にはそれほど期待はしていないが、日本 株と欧州株で大きなエクスポージャーを持つ」とし、 米国株が米 FRB の QE(量的緩和)で大幅高となった ように日本株と欧州株も量的緩和の強化によって勢 い付くという。 因みに、米 S&P500 は 09 年 3 月 9 日大底から 3 倍強値上がりしたが、日本株も 2017 年には 1 万円の 3 倍高の 3 万円相場が視野に入る。 日本経済「真の夜明け」を喧伝する日銀副総裁 「日本経済は『真の夜明け』を迎える公算」-。2 月 27 日、NY ダウ平均が下げ足を早める中で中曽日 銀副総裁が NY 講演でこう発言して日経先物は堅調 裡に推移した。 日本経済は「失われた 20 年」、 「デフレ 15 年」の 宿痾に苛まれ、2009 年 4 月には白川方明総裁自らが 一時的な回復局面を「偽りの夜明け」と蔑んでみせ た。白川総裁ばかりでなく、英 FT 紙やエコノミスト 誌、米 WSJ 紙など海外有力紙は挙って「false dawn」 (偽りの夜明け)と泥船日本の「デフレ 15 年」を冷 笑した。 だが、中曽副総裁の 2 月 NY 講演は「今回は違う」 との決意表明に他ならない。そして、日本経済「真 の夜明け」の御宣託を 9 日金融経済懇談会(松山市) で改めて強調した。 何より同副総裁が強調したのは、 「家計・企業の両 部門において所得から支出という前向きの好循環メ カニズムが作用、緩やかな回復を維持している」 、 「原 油安や政府の経済対策なども景気を押し上げ、今後 も回復基調を続けていく」との景気強気姿勢だった。 輸出についても「円安にも拘わらず弱い動きが続 いたが、 (2 四半期連続の増加を受け)数量増加効果 がようやく出てきた」とし、「(家計については)失 業率は構造失業率並みの 3%台まで低下している他、 有効求人倍率は 1992 年 4 月以来の高水準になってい る」、 「雇用者所得は緩やかに増加、個人消費は一部 改善の動きは鈍いが、全体として底堅く推移してい る」と完全雇用と消費底入れを明示した。 内需のもう一つの柱である設備投資については、 「設備投資過剰感が後退し、法人企業統計の売上高 経常利益率がリーマン・ショック前を上回る高水準、 雇用タイト化から省力化投資が見込め、円安で国内 設備投資比率を高める動き等緩やかな増加基調」を 強調した。なお、同副総裁は景気先行き安泰論を強 調し、「 (原油安によるインフレ率低下について)予 想物価上昇率に影響を与えず、物価が基調的に 2% に向かっているのであれば、金融政策で対応する必 要はない」と言外に追加緩和「不要論」を匂わせた。 一方、日経平均は 1990 年のバブル崩壊から 25 年、 幾度も上昇局面を迎えながら前回の高値を抜けず右 肩下りが続いた。だが、日経平均の 15 年ぶり高値更 新は「25 年下げ相場」の終焉を明示しよう。 つまり、日本経済「真の夜明け」は「25 年下げ相 場」終焉と同意語であり、そこには株価決定要因で ある企業利益とバリュエーション(投資尺度)、株式 需給それぞれの劇的変化が内在している。 企業利益は 15 年 3 月期決算の経常利益の過去最高 益が視野に入り、16 年 3 月期も 2 ケタ増益で米国よ り高くなりそうだ。さらに、金融危機や大震災を経 て海外生産シフトで円高への耐久力を強め、売上高 より利益率や ROE(自己資本利益率)改善へと体質 改善が進んだ。 とりわけ、予想 PER(株価収益率) は 90 年代に 40-70 倍と欧米の 10-20 倍より法外な割高水準にあったが、 かかる日本固有の特殊性が剥落し今や 15-17 倍前後 に収斂しつつある。 さらに需給構造はマザーマーケットで日本人自ら が日本株を買うようになって好需給へと転換した。 何より NISA(少額貯蓄口座)による個人マネーのリ スク資産買いは、需給を一変させると共に海外投資 家に安心感を与えることは言うまでもない。 お客様は、本レポートに表示されている情報をお客様自身のためにのみご利用するものとし、第三者への提 供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させる ことは出来ません。情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありませ ん。また、これらの情報によって生じたいかなる損害についても、当社および本情報提供者は一切の責任を 負いません。本レポートの内容は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、勧誘を目的とし たものではありません。投資にあたっての最終判断はお客様ご自身でお願いします。
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