Daily Market Comment

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Forex Watch Koujiro Mori
2015 年 2 月 27 日
ドル/円、「三角保ち合い」のレンジブレイクには至らず
2.9
2.5
2.4
2.1
1.8
2.5
2.4
2.3
2.0
2.1
1.9
1.9
2.0
2.0
1.8
1.8
1.8
1.6
1.6
1.7
1.6
1.5
1.2
1.1
0.6
1.6
1.2
1.6
1.3
1.1
0.7
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
― 1 ―
Techno-fundamental Analysis
TechnoDaily Market Comment
ドルの対主要通貨相場の騰落率
昨日の為替マーケットは、FRB の金融正常化
%
ドル高
(NYクローズベース)
NYクローズベース)
2.00
2015/02/20 ⇒ 02/26
02/26
のタイミングを探る上で注目された 1 月の米マクロ
経済指標でコア CPI が市場予想を上回ったうえ、 1.50 ド ル 安
1.59
1.59
耐久財受注も市場予想を上回って増加したことを
1.00
受けて米ドルが全面高の展開となった。
1 月の米消費者物価指数は、総合が前月比 0.50
0.54
0.7%低下し、前年同月比では 5 年 3 カ月ぶりとな
0.32
るマイナス圏に陥ったものの、より物価の基調を 0.00
-0.09
-0.18
-0.08
示すとされる食料・エネルギーを除くコア CPI が前
-0.50
JPY
EUR
GBP
CHF
AUD
CAD
NZD
月比 0.2%上昇し、市場予想の 0.1%上昇を上回
ったことが材料視され、低インフレが長引くとの見 ■米国のコアインフレ指標 「ディスインフレ」傾向続く
・ コアCPIは
は15年
年1月が前年比
月が前年比1.6%と
%と14年
月以来の低水準で横ばい
コア
月が前年比
%と 年2月以来
月以来の低水準で横ばい
方にはつながらなかった。
・ コアPCE価格指数
価格指数は
月が1.3%と
%と14年
月の1.6%をピーク
%をピークに低下
コア
価格指数は12月が
月が
%と 年6月の
月の
%をピークに低下
もっとも、1 月のコア CPI は前年比 1.6%と、14
・ FRBが注視するコア
が注視するコアPCE価格指数はインフレ目標の
価格指数はインフレ目標の2%を大きく下回る
が注視するコア
価格指数はインフレ目標の %を大きく下回る
米主要インフレ指標の推移
%
年 2 月以来の低水準で横ばいとなっており、来週
データ:ロイター
コアCPI
コアCPI
(前年比伸び率)
3.0
コアPCE
コアPCE価格指数
PCE価格指数
2006/012015/01
5/01
2006/01
201
3 月 2 日には FRB が注視するコア PCE 価格指
3月2日に1月の「コアPCE
数の 1 月データが発表されるため、物価の基調を
FRBが最適と考える
2.5
価格指数」が発表される
レンジは1.7-2.0%
占う上で注目されそうだ。
2.0
2.0
イエレン FRB 議長は今週の半期・議会証言
で、インフレ率が目標の 2%を大幅に下回ってい
1.5
ることについて、主にエネルギー価格の下落など
1.0
一時的なものであると考えているとしたものの、
1960年統計開始
年統計開始
1957年統計開始
年統計開始
以来低水準
以来低水準
利上げを開始する前に回復が継続し、インフレ率
0.5
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
が次第に上向いていくと合理的な自信が持てる
■米国では雇用者増加の一方で設備投資が減少
ようになる必要があると述べている。
・ 非農業部門雇用者数は1月までの
万人増か
非農業部門雇用者数は 月までの3カ月間に計
月までの カ月間に計100.9万人増か
カ月間に計
その上で、FOMC は賃金の伸びを注視してい
・ 一方で
一方で企業の設備
企業の設備投資
の設備投資は
投資は昨年10月から減少傾向が続いている
昨年 月から減少傾向が続いている
ると述べており、来週 3 月 6 日に発表される 2 月
・ 雇用増と設備投資減の組合せは労働生産性の低下を示唆する
・ SF連銀は米労働生産性の低下が経済成長の重しになると指摘
連銀は米労働生産性の低下が経済成長の重しになると指摘
の雇用統計では時間当たり賃金の伸び率に一段
14年
年10月以降は雇用増の一方で設備投資は減少傾向に
月以降は雇用増の一方で設備投資は減少傾向に
の注目が集まりそうだ。
万人
%
耐久財受注(コア資本財出荷%)
42.3
4
また、米商務省が同日発表した 1 月の米耐久
非農業部門雇用者数(前月比)
40
財受注は前月比で 2.8%増加し、市場予想の
3
33.0
31.7
1.7%増を上回ったうえ、設備投資の先行指標と
30
2
なる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の
25.7 1
受注は前月比 0.6%増と、5 カ月ぶりに増加し、 20
0
市場予想の 0.3%増も上回った。
10
もっとも、GDP の算出に使用されるコア資本財
-1
10.9
の出荷は、12 月分が 0.2%減から 0.3%増へ上
0
-2
Jun-13
Sep-13
Dec-13
Mar-14
Jun-14
Sep-14
Dec-14
方修正されたものの、1 月分は前月比 0.3%減少
しており、昨年 10 月以降の減少傾向に歯止めが
掛かったと見るには今後発表される製造業景況指数(ソフトデータ)やハードデータを待つ必要がありそう
だ。 本日は 2 月のシカゴ連銀製造業景況指数が発表されるうえ、3 月 1 週には重要先行指標とされる
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ISM 製造業/非製造業景気指数の 2 月データが
発表されるが、先に発表された地区連銀製造業景
況指数は軒並み悪化傾向を示しているため注意
が必要だ。
こうしたなか、昨日は米地区連銀総裁らから早
期の利上げに前向きな発言が相次いだ。
イエレン議長の腹心で今年の FOMC 投票メン
バーでもあるサンフランシスコ連銀ウィリアムズ総
裁は同日のインタビューで、米国は年内に完全雇
用に到達し、インフレ率も来年末までに目標の 2%
に達するとの見通しを示した。 その上で、FRB は
雇用とインフレ率が正常な水準に戻る前に利上げ
を開始する必要があるとし、指標が私の予想通り
の展開となれば、「利上げ開始はこの夏か秋のい
ずれかの時点になるだろう」と述べている。
一方、市場の金利観を反映する FF レート先物
市場では 9 月限のインプライド金利は 0.305%と
FOMC の誘導目標をわずかに上回る水準に位置
し、利上げ確率は 53%にとどまっている。
史上最強の FED ウォッチャーとされる FF レー
ト先物市場では、9 月の利上げ開始の可能性を織
り込み始めているものの、より重要な点は利上げ
ペースが極めて緩慢なものになることを想定して
いることである。
本日は米 10-12 月期 GDP 改定値が発表され
るが、オバマ政権下では未曽有の金融緩和にも
かかわらず年間では 3%の成長率を一度も達成し
たことがなく、背景には潜在成長率の低下など長
期停滞論が指摘されている。
こうした見方が、FRB による利上げ開始後のペ
ースも緩慢なものになるとの見方につながってお
り、ドルの上昇モメンタムを弱める要因となりそう
だ。
昨日のドル/円は一時 119.51 円まで上昇した
ものの、今週 24 日の高値 119.84 円の手前で禾
悩んでおり、「三角保ち合い」の上限をブレイクす
るだけの力強さは見られていない。
米国では来週に向けて注目度の高い経済指標
が目白押しとなっているだけに、レンジブレイクは
指標の結果次第とみておく必要がありそうだ。
■FFレート先物市場
レート先物市場 利上げ開始時期は15年
月?
利上げ開始時期は 年9月?
・ FFレート先物市場は米金利見通しを示す最強の
レート先物市場は米金利見通しを示す最強のFEDウォッチャー
ウォッチャー
レート先物市場は米金利見通しを示す最強の
・ 金利変動リスクを抱える債券ディーラーによって価格が形成される
・ 15年
年9月限のインフライド金利は
月限のインフライド金利は0.305%で利上げ確率は
%で利上げ確率は53%
月限のインフライド金利は
%で利上げ確率は %
・ 市場は15年夏以降の利上げ開始と緩慢
市場は 年夏以降の利上げ開始と緩慢な利上げペースを想定
年夏以降の利上げ開始と緩慢な利上げペースを想定
FF(フェデラルファンド)レート先物市場
FF(フェデラルファンド)レート先物市場
限月別インプライド金利の推移
%
1.50
■当面のFOMC
■当面のFOMC開催日程
FOMC開催日程
・3月1717-18日
18日 ・4月2828-29日
29日
FFレート先物市場が織り込む1 5年のFOMCの利上げ確率( %)
FED Watch Ju n- 15 Ju l- 15
Sep-1 5 O ct-1 5 Dec -1 5 Jan -1 6
0 1/ 02
26
52
68
84
91
97
0 1/ 30
11
26
38
55
65
79
0 2/ 06
23
46
63
80
88
95
0 2/ 13
20
43
59
77
86
94
0 2/ 20
18
39
58
76
85
94
0 2/ 23
18
38
55
74
83
93
0 2/ 24
13
31
47
66
77
89
0 2/ 25
15
33
49
69
79
90
0 2/ 26
16
36
53
73
83
93
1.00
0.50
25bp
bpの誘導目標レンジ引き上げ
bpの誘導目標レンジ引き上げ
15年12月
0.500%
15/02/26
FRB(米連邦準備制度理事会)
FRB(米連邦準備制度理事会)
FFレート誘導目標
FFレート誘導目標 0.000.00-0.25%
0.25%
2015
2015年
0.00
2月限
2016
2016年
5月限
8月限
11月限
11月限
2月限
5月限
8月限 10月限
11月限
11月限
■米経済のリセッション明けの回復ペース
・ 今回の景気後退は2007年
年12月~
月~09年
月迄で戦後最長となった
今回の景気後退は
月~ 年6月迄で戦後最長となった
・ 1~
~3年目の回復ペースは過去の景気回復局面の半分以下となる
年目の回復ペースは過去の景気回復局面の半分以下となる
・ FEDによるゼロ金利政策と
によるゼロ金利政策と3度の量的緩和でも緩慢な回復ペース
によるゼロ金利政策と 度の量的緩和でも緩慢な回復ペース
・ 米経済は2015年
年6月に景気拡大
月に景気拡大6年目を迎え「成熟段階」に入る
米経済は
月に景気拡大 年目を迎え「成熟段階」に入る
米経済のリセッション明けの景気回復ペース(GDP成長率)
成長率)
米経済のリセッション明けの景気回復ペース(
1949年以降の平均
年以降の平均
1年目
年目
6.2%
%
2年目
年目
4.1%
%
3年目
年目
4.3%
%
今回(2009年
年6月~)
月~)
今回(
2.5%
%
オバマ政権下では
1.8%
%
3%成長は一度もない
%成長は一度もない
2.3%
%
米GDP統計の推移・
統計の推移・2014年
年10-12月期・速報値(
月期・速報値(15年
月30日発表)
日発表)
統計の推移・
月期・速報値( 年1月
2014年
1Q
2Q
3Q
4Q
国内総生産
2.3
2.2
2.4 ▲2.1
4.6
5.0
2.6
個人消費
1.8
2.4
2.5
1.2
2.5
3.2
4.3
設備投資
7.2
3.0
6.1
1.6
9.7
8.9
1.9
民間住宅投資
13.5
11.9
1.6 ▲5.3
8.8
3.2
4.1
政府支出
▲1.4 ▲2.0 ▲0.2 ▲0.8
1.7
4.4 ▲2.2
純輸出
0.0
0.2
▲1.7 ▲0.3
0.78 ▲1.02
コアPCE価格指数
1.8
1.3
1.1
1.2
1.5
1.4
1.1
※ 2014年3Qまでは確報値、2014年4Qは速報値を示します
2012年 2013年 2014年
5
ⅲ
121.70
12/08 120.89 b
12/23
118.98
11/20
120.0
USDJPY Daily Chart
Global Range
2014/10/272014/10/27-2015/02/26
120.48 d
02/11 119.84
02/24
118.87
01/20
116.87
a
115.0
115.57
12/16
c 115.85 02/03
01/16
118.24
02/17
e
ⅳ
Runaway gap 112.35~112.83
(2 月 27 日 11:30 記)
110.0
105.20
10/15
105.0
4
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
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その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
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