13. 肝炎 (Hepatitis)

13. 肝炎 (Hepatitis)
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慢性肝炎
慢性肝炎の種類
• ウイルス性 (B型、C型)
• アルコール性
• NASH (非アルコール性)
• 自己免疫性
など
肝障害の進行
1. B型慢性肝炎
B型肝炎ウイルスに感染後、約8週間の潜伏期間を経
て黄疸、全身倦怠感が出現。
成人が感染の場合、慢性化は1~2%
慢性肝炎は、6か月以上にわたって肝機能異常、ウイ
ルス感染が持続していることを指し、持続的に肝細胞
が破壊され続けることでAST,ALTの上昇がみられる。
→抗ウイルス薬と肝庇護薬を用いる
1) バラクルード錠 0.5mg
一般名
エンテカビル水和物
効能
B型慢性肝疾患のB型肝炎ウイルス
の増殖抑制
適応
B型慢性肝炎
1) バラクルード錠 0.5mg
作用機序
B型肝炎ウイルスは、自身のDNAを複製する際
に、一旦プレゲノムRNAを作り、逆転写酵素を
用いてDNAを合成している。エンテカビルはグ
アノシンヌクレオシド類縁体であり、細胞内で
エンテカビル3リン酸に変化し、dGTPと競合する
ことで、①プライミング、②RNAから-鎖DNA
合成の逆転写、③+鎖DNA合成 の機能活性
を阻害する。
1) バラクルード錠 0.5mg
副作用
肝炎の悪化、アナフィラキシー様症状、
乳酸アシドーシス、重度肝腫大、脂肪肝、
ALT上昇
禁忌
過敏症の既往、腎機能障害、肝移植
用法
1錠 分1 朝食後
2) 強力ネオミノファーゲンシー
成分
グリチルリチン酸モノアンモニウム
グリシン、L-システイン塩酸塩
効能
慢性肝疾患の肝機能異常の改善、
適応
湿疹、皮膚炎、蕁麻疹、口内炎、
肝機能異常
2) 強力ネオミノファーゲンシー
作用
•
•
•
•
•
細胞保護作用
免疫調節作用
抗炎症作用
肝細胞増殖作用
抗ウイルス作用
2) 強力ネオミノファーゲンシー
副作用
偽アルドステロン症(低カリウム血症)
ショック、アナフィラキシー様症状
禁忌
過敏症の既往、アルドステロン症、
低カリウム血症、ミオパシー
用法
100ml 点滴静注
備考
グリチルリチンは甘草(かんぞう)に含ま
れる
2. 肝硬変
持続的な肝障害により放出されたサイトカインにより、
星状細胞が筋線維芽細胞となって、Ⅰ、Ⅲ型コラーゲ
ンを産生して肝を固くする。また筋線維芽細胞が収縮
することにより類洞内圧が上昇して門脈圧が上昇し、
これにより門脈の肝への還流量が減少して肝機能が
低下する。
肝機能低下によるアルブミン合成能低下と、門脈圧亢
進によって、浮腫、腹水をきたす。
⇒肝機能の改善と浮腫、腹水の改善
1) ウルソ錠100mg
一般名
効能
ウルソデオキシコール酸
慢性肝疾患の肝機能の改善、
胆道系疾患の利胆、
コレステロール結石の溶解
作用機序
• 肝細胞に直接作用し胆汁の産生、分泌を刺激し胆
汁鬱滞を改善(利胆作用)
• 疎水性胆汁酸の肝細胞障害を軽減
• サイトカイン産生抑制、肝臓への炎症細胞浸潤抑制
による肝機能改善
1) ウルソ錠100mg
副作用
血清ビリルビン上昇、間質性肺炎
禁忌
完全胆道閉塞、劇症肝炎、高度の黄疸、
非代償性肝硬変
用法
6錠 分3 毎食後
2) アルダクトンA錠 25mg
一般名
スピロノラクトン
適応
高血圧、うっ血性心不全、浮腫、
原発性アルドステロン症
作用機序
アルドステロンに拮抗し、アルドステロン受容体
を奪い合うことでナトリウムの排泄を促進し、カ
リウムの排泄を抑制する。
→カリウム保持性利尿薬
2) アルダクトンA錠 25mg
副作用
代謝性アシドーシス、高カリウム血症、
低ナトリウム血症、女性化乳房、不整脈、
急性腎不全、皮膚発疹
禁忌
急性腎不全、無尿、高カリウム血症、
タクロリムス、エプレレノン、ミトタン投与中
用法
2錠 分2 朝昼食後
3) ラシックス錠 20mg
一般名
フロセミド
適応
高血圧症、尿路結石の排出促進、
肝性・腎性・心性の浮腫、うっ血性心不全
作用機序
ヘンレループに作用し、Na+-K+-2Cl- 共輸送担体
を抑制することによりナトリウム、カリウムの再
吸収を抑制し、即効性かつ強力な利尿作用を示
す。
3) ラシックス錠 20mg
副作用
アナフィラキシー様症状、ショック、難聴、
再生不良性貧血、皮膚粘膜眼症候群
禁忌
無尿、肝性昏睡、体液中のNa、Kの減少
用法
1錠 分1 朝食後
3. C型肝炎
• ウイルスのキャリアは日本で約1%(150万~
200万人)
• 感染すると70%以上が持続感染する。20年
~30年かけて30%~40%が肝硬変になり、
肝細胞癌になる。
• 感染経路は、主に血液感染
3. C型肝炎ウイルス
• ゲノムとしてプラス1本鎖RNAを持つフラビウ
イルス科のウイルス
• 宿主のIFN系やNK細胞の非特異的なウイル
ス排除を回避し、またウイルス特異的細胞性
免疫応答からも回避
→慢性化、肝硬変、脂肪肝、肝細胞癌
• ワクチンはない
治療方針
• IFNα-2bとリバビリンの併用療法
• 最近は、PEG(ポリエチレングリコール)を付加
したIFNα-2bが用いられる。
• PEGの付加によりIFNα-2bの血中半減期が長
くなる。
→投与回数の減少、副作用の軽減
ペグイントロン皮下注射用
(100μg/0.5ml用)
一般名
ペグインターフェロンα-2b
効能
リバビリンとの併用によるC型慢性肝
炎におけるウイルス血症の改善
作用機序
・Ⅰ型IFN受容体に結合し,IFN誘導遺伝
子の発現を増強
・NK細胞やマクロファージなどの宿主免
疫担当細胞の活性化
ペグイントロン皮下注射用
(100μg/0.5ml用)
副作用
• 初期ではインフルエンザ様症状、皮疹、注射部の発火、
食欲不振や吐き気、白血球・血小板などの血球減少な
ど
• 中期以降ではうつ病、脱毛、甲状腺異常、糖尿病悪化な
ど
• 重篤なものとして間質性肺炎など
禁忌
• 小柴胡湯との併用
• 自己免疫性肝炎の患者
用法
皮下注射週1回
レベトールカプセル(200㎎)
一般名
リバビリン
効能
ぺグインターフェロンとの併用によるC型慢
性肝炎におけるウイルス血症の改善
作用機序
• プリンヌクレオシドのアナログ
• プロドラッグ(細胞内でリン酸化され効果を発揮)
• PEG-IFNα-2bとの併用により,抗ウイルス作用が増強
• HCV由来RNA依存性RNAポリメラーゼによるGTPの
RNAへの取込み抑制
• RNA生成過程でリバビリン三リン酸がRNAに取り込ま
れ,ウイルスのゲノムが不安定化
レベトールカプセル(200㎎)
副作用
溶血性貧血、催奇形、抑うつなど
禁忌
• 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
• 異常ヘモグロビン症
• 重度のうつ病
• 自己免疫性肝炎の患者
• コントロールの困難な心疾患(心筋梗塞,心不全,不
整脈等)のある患者
など
用法
4カプセル分2
インターフェロン治療成績に影響を与
える因子
宿主側、ウイルス側両方に因子がある。
• 病期
• ウイルス量
• ジェノタイプ(日本は1b型が多い)
• コアタンパクのアミノ酸配列
• 年齢
• IL-28B(IFNλ)のSNPs
C型慢性肝炎治療ガイドライン
• 高ウイルス量かつジェノタイプ1は、ペグイント
ロン+レベトール併用療法(48~72週間)
• 高ウイルス量かつジェノタイプ2は、ペグイント
ロン+レベトール併用療法(24週間)
• その他のタイプはIFN単独療法(24週間)など
• 治療成績は、1型ウイルスが50%、その他
80%~90%
4.切除不能な肝細胞癌
1) ネクサバール錠 200mg
一般名
適応
トシル酸ソラフェニブ
切除不能な肝細胞癌、転移性腎細胞癌、
根治切除不能腎細胞癌
作用機序
腫瘍細胞増殖と腫瘍血管新生を抑制
• Rafの活性化を阻害することでシグナル伝達を阻害
し、腫瘍細胞増殖を抑制
• VEGFR(血管内皮成長因子受容体)やPDGFR
(血小板由来増殖因子)を阻害することで、血管新
生を阻害
1) ネクサバール錠 200mg
バイエル薬品株式会社HPより
1) ネクサバール錠 200mg
バイエル薬品株式会社HPより
1) ネクサバール錠 200mg
副作用
手足症候群、剥脱性皮膚炎、出血、
急性肺障害
禁忌
妊婦
用法
4錠 分2 朝夕食後