20.パーキンソン病 Parkinson Disease 16.伊藤慶人 40.阪口愛祐 64.中川大佑 88.前田光毅 パーキンソン病とは… • 中高年を中心に発症する錐体外路性疾患 • 黒質線状体路のドパミン含有ニューロン の喪失によって起こる パーキンソン病の症状 • 安静時振戦・筋固縮・無動・姿勢保持障害 • 自律神経障害・仮面様顔貌・小字症など パーキンソン病の治療原理 • GABAニューロンを ドパミンは抑制的に アセチルコリンは興奮的に 調節することで、運動をコントロールしている →パーキンソン病患者はドパミンの減少とそれにと もなうアセチルコリンの増加が起きている パーキンソン病の治療原理 したがって • ドパミンの作用の増強 • アセチルコリンの作用の抑制 この二つが薬剤治療の基本となる ①比較的初期に振戦が目立つ場 合 1) アーテン錠(2)0.5錠 分1 2) 処方例1)に加えてセルシン錠(2)3錠 分3を追加 アーテン錠 • 一般名:塩酸トリヘキシフェニルジル • 作用機序:中枢性抗コリン作用によって、線条体 アセチルコリン神経の機能を抑制し、その結果、 振戦・筋硬直などの初期症状に効果がある。 • 用途:特発性パーキンソニズム、その他のパーキ ンソニズム、向精神薬投与によるパーキンソニズ ム、ジスキネジア、アカシジア アーテン錠(塩酸トリヘキシフェニ ルジル) • 禁忌:本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者、緑内 障の患者、重症筋無力症の患者 • 相互作用:抗コリン作用を有する薬剤、中枢神経抑制 剤、他の抗パーキンソン病治療薬 • 副作用:抗コリン作用による諸症状、悪性症候群など セルシン錠 • 一般名:ジアゼパム • 作用機序:GABA受容体の一部に結合し、GABAの 持つ抑制作用を増強し、鎮静作用をもたらす。 • 用途:不安障害、痙攣薬、筋弛緩、アルコール離 脱。 セルシン錠(ジアゼパム) • 禁忌:急性狭隅角緑内障、重症筋無力症、リトナ ビルとの併用は禁忌。 • 相互作用:飲酒により作用が増強する。 • 副作用:眠気、注意力・集中力・反射運動能力の 低下、薬物依存、呼吸抑制 ②比較的初期で無動が目立つ場合 無動とは・・・ 動作の開始が困難となる・動作がゆっくりとし、小さくなる症状。 寝返りを打てない 小字症 動くまでに時間が かかる・動きが ゆっくりになる 仮面様顔貌 (瞬きが少なく 大きく見開いた 目・表情に乏し い顔貌) 細かい動作 が困難にな る すくみ足・ 小刻み歩行 小声症 ②比較的初期で無動が目立つ場合 →ドパミン作用を補強する 処方例 1) パーロデル錠(2.5) 6錠 分3 必要に応じて、ナウゼリン錠(2.5) 3錠 分3 を追加 2) シンメトレル錠(50mg) 1錠 分1 ②-1) ブロモクリプチン(パーロ ドパミン受容体刺激薬 デル錠) 麦角アルカロイドから発展した、選択的D2受容体アゴニス ト 作用機序 黒質線条体のD2受容体に結合し、直接受容体を刺激する ことで症状を改善する。 禁忌 麦角アルカロイド過敏症、妊娠中毒症、産褥期高血圧、 心エコーにより、心臓弁膜の病変が確認された患者 ②-1) ブロモクリプチン(パーロデ ル錠) 副作用 • 消化器系症状(悪心・嘔吐・食欲不振など) • 精神神経系症状(幻覚・妄想など) • その他―起立性低血圧、悪性症候群、心臓弁膜症など 最も一般的な副作用は、悪心・嘔吐などの消化器系症状 (CTZのD2受容体に結合して、嘔吐中枢を刺激するため) →ナウゼリン錠を服用することで改善されることが多い。 ②-1) ドンペリドン(ナウゼリ ン錠) ドパミンD2受容体拮抗薬 作用機序 CTZのD2受容体を遮断し、嘔吐中枢に刺激が伝わらないように することで制吐作用を示す。 禁忌 過敏症、妊婦、消化管出血・消化管穿孔・機械的イレウス、 プロラクチン分泌性下垂体腫瘍の患者 副作用 • • 消化器系症状(下痢など)、内分泌系症状(女性化乳房など) その他―稀に、錐体外路症状など ②-1) ドンペリドン(ナウゼリ なぜD2受容体拮抗薬であるドンペリドンを用いてもよい ン錠) か? →ドンペリドンは、BBBを通過しないため ブロモクリプチン ドンペリドン CTZ のD2 受容体に結合 BBB 黒質線条体の D2 受容 体に結合・刺激 嘔吐中枢の刺激 パーキンソン病症状の軽減 嘔吐 ②-2) アマンタジン(シンメト 作用機序 レル錠) 黒質線条体のドパミン作動性ニューロン神経終末において ドパミン放出促進・再取り込み抑制・合成促進 →ドパミン濃度が上昇し、症状が改善 ※個人差が著明 また、ジスキネジア(不随意運動)を軽減するとの報告もある。 禁忌 透析を必要とするような重篤な腎障害患者、妊婦、授乳婦、過 敏症 副作用 (比較的少ない) 精神神経系症状(幻覚・妄想など)、消化器症状、悪性症候 群など ケースⅢ 中等度以上の場合 ①ネオドパストン錠(100mg)を半錠から始めて3-4 日ごとに半錠ずつ、3-4錠/日まで適宜増量する。 ②効果不十分な場合には、パロテール錠(2.5mg) 3-6錠/日またはペルマックス錠(50mg)3-6錠/日 をゆっくり漸増しながら追加する。さらに必要な 場合は、アーテン錠、シンメトレル錠を追加する。 ネオドパストン錠 一般名:レボドパ・カルビドパ水和物 レボドパはドパミンの前駆物質であり、脳血液 関門を通過するので、脳内のドパミン濃度を直 接増加させることができる。 カルビドパは末梢性ドーパ脱炭酸酵素阻害(DCI) であり、脳血管関門を通過する前のレボドパが ドパミンに変換され、通過できなくなることを防ぐ。 以上よりドパミン不足を補い効果を発揮する。 ネオドパストン錠 ・副作用 吐き気・嘔吐・食欲不振などの消火器系症状 幻覚・錯乱・抑うつなどの精神系症状 wearing-off現象、on-off現象、updown現象、悪性症状など ・禁忌 閉塞隅角緑内障、過敏症の既往歴、非選択的モノ アミ ン酸化酵素阻害薬投与中の患者。 ベルマックス錠 一般名:ペルコリド パーロテル錠と同様、麦角系のドパミンアゴニ ストであり、主にドパミンD2受容体に結合する ことで直接受容体を刺激し、ドパミン神経作用 を促進することにより症状を改善する。 ペルマックス錠 ・副作用 吐き気・食欲不振などの消火器系症状 幻覚・妄想などの精神系症状 悪性症候群・心膜炎・胸膜炎・間質性肺炎 ・禁忌 心膜弁膜に異常がある患者 過敏症を有する患者
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