⑧Parkinson病 Parkinson病

Parkinson病
発症頻度:約150人/10万人
(欧米:約300人/10万人)
頻発年代:50代
性差
:ほとんどなし
特定疾患指定(厚生労働省)
⑧Parkinson病
James Parkinson
(英,1755-1824)
-目標・Parkinson 病の病態について説明できる
・Parkinson 病治療薬を作用機序ごとに分類できる
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1.病態像
1.病態像
さまざまな程度の振戦、固縮、無動および歩行と姿勢の障害
寡動性運動異常を示す
さまざまな程度の振戦、固縮、無動および歩行と姿勢の障害
寡動性運動異常を示す
進行性の疾病であり、最終的には無動状態になる
進行性の疾病であり、最終的には無動状態になる
1A.
2
1A. 症状
1A-3.パーキンソン病の重症度(ホーエン・ヤールの重症度分類)
StageⅠ 症状は一側性で、機能的障害はないか、あっても軽微
StageⅡ 両側性の障害があるが、姿勢反射障害はない。日常生活、就業に
ついては多少の障害はあるが行うことが出来る
StageⅢ 姿勢反射障害がみられる。活動はある程度制限されるが職種に
よっては仕事が可能。
機能障害は軽~中程度であり、自力での生活が可能
StageⅣ 重篤な機能障害を呈し、自力のみによる生活は困難。歩行はどう
にか可能
StageⅤ 起立・歩行不可能。介助なしにはベッドまたは車いすの生活
症状
1A -1ドパミンの減少が原因と思われる症状
1A-2線条体のアセチルコリンの過剰に伴うものであると考えられている症状
Ⅰ
3
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅴ
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1.病態像
1.病態像
1B. 病態生理
1B-1. 基礎生理
1B. 病態生理
1B-1. 基礎生理
黒質-線条体ドパミン神経系
黒質
線条体
ドパミン神経
ACh神経
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1.病態像
1.病態像
1B. 病態生理
1B-1. 基礎生理
1B. 病態生理
1B-1. 基礎生理
黒質
ドパミン神経
ドパミン神経
ACh神経
黒質線条体での神経のバランス
(正常時)
ACh
線条体
黒質
線条体
ACh神経
GABA神経
ACh神経
GABA神経
黒質
(Parkinson病発症時)
D
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線条体
1.病態像
原因遺伝子?
1B. 病態生理
α-シヌクレイン
1B-2. 病態生理
パーキン
原因因子は不明
いくつかの因子が影響していることが考えられている
未同定の環境毒素 (1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6tetrahydropyridine: MPTPなど)
→ 動物に投与するとパーキンソン病様症状を発症
遺伝的要因
ドパミンの代謝の際に発生するフリーラジカル
(抗酸化作用薬が有効であると考えられている根拠)
1.病態像
1C. 神経解剖学的変化
(黒質)-(線条体)ドパミン神経系
細胞体がある黒質におけるドパミン神経細胞体の脱落
青斑核におけるノルアドレナリン神経細胞体の脱落
(Lewy小体)が強度に認められる
病変による神経バランスの崩壊
黒質-線条体ドパミン神経系の変性
→ 線条体アセチルコリン神経系の抑制 の抑制
青斑核アドレナリン系神経
の抑制
縫線核セロトニン系神経
の抑制
アウエルバッハ神経叢(腸管)の変性
⇒ パーキンソン病は、全身性の疾患である?
1.病態像
2.薬物による治療の戦略
ACh
D
抗パーキンソン病の治療戦略
パーキンソン病では、黒質、青斑核などに
Lewy 小体の出現が認められる
2A.黒質-線条体ドパミン神経の欠落によるドパミンの
減少を補充する
2B.線条体でドパミンが抑制していたアセチルコリンの
作用を弱める
2C.ノルアドレナリンを補充する
2D.神経保護治療
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2.薬物による治療の戦略
2.薬物による治療の戦略
ACh
黒質
D
線条体
中枢に取り込まれてドパミンに
変換され作用する
ドパミンD2受容体を
刺激する
ドパミン神経
抗パーキンソン病の治療戦略
2A.黒質-線条体ドパミン神経系の欠落によるドパミンの減少を補充する
ACh神経
ドパミンの放出を
促進する
2A-1.ドパミン前駆体の補充
2A-2.ドパミン受容体作動薬の投与
ACh受容体を
遮断する
ドパミンの分解を
抑制する
2A-3.ドパミン神経終末からドパミン遊離促進
2A-4.ドパミンの代謝抑制
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3.薬物各論
14
3.薬物各論
3A. 黒質-線条体ドパミン神経系の欠落によるドパミンの
減少を補充する(2Aに対応)
3A-1. ドパミン前駆体の補充
3A-1. ドパミン前駆体の補充
◎〔レボドパ〕
<問題点>
・(Wearing off )現象:
投与間隔を短くしないと無動などの発作が起こること
→対処法:代謝を遅くする・吸収を遅くする
◎〔レボドパ〕
ドパミン
・(Up and down (on-off))現象:
症状の軽快と増悪が一日のうち何度か発生する
→対処法:ドラッグホリデーをもうける
レボドパの量を減らす
<作用機序>
ドパミンの前駆物質
L-アミノデカルボキシラーゼによりドパミンに
生合成されて、線条体におけるドパミンを補充する
<臨床適応>
・錐体外路症状:無動、筋固縮に有効である
・精神機能:無感動でうつ的な状態から解放される
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3.薬物各論
3.薬物各論
3A-1. ドパミン前駆体の補充
◎〔カルビドパ〕〔ベンセラジド〕
3A-1. ドパミン前駆体の補充
◎〔エンタカポン〕
<作用機序>
末梢性 (L-アミノデカルボキシラーゼ)の阻害薬
中枢へ移行しない
<作用機序>
カテコールアミン-O-メチルトランスフェラーゼ
(COMT)の阻害により、レポドパの末梢における代謝を
阻害し、レポドパの中枢性の作用を増強する目的で使用される
<臨床適用>
レポドパとの合剤による、レポドパによる中枢作用の増強
カルビドパ
ベンセラジド
<臨床適用>
レポドパとの合剤による、レポドパによる中枢作用の増強
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3.薬物各論
18
3.薬物各論
3A-2. ドパミン受容体作動薬
◎麦角アルカロイド系〔ブロモクリプチン〕〔ペルゴリド〕
〔カベルゴリン〕
3A-1. ドパミン前駆体の補充
◎〔ゾニサミド〕
<作用機序>
レボドパ作用の増強・延長
*MAOB阻害によるものと考えられている
<臨床適用>
レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分
に効果が得られなかった場合
<作用機序>
(ドパミン D2)受容体の刺激
<臨床適用>
・錐体外路症状
・下垂体前葉:高プロラクチン血症・乳漏症・末端肥大症・下垂
体性巨人症
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3.薬物各論
3.薬物各論
3A-2. ドパミン受容体作動薬
◎非麦角アルカロイド系
〔タリペキソール〕〔プラミペキソール〕
〔ロピニロール〕
3A-2. ドパミン受容体作動薬
◎非麦角アルカロイド系
〔タリペキソール〕〔プラミペキソール〕
〔ロピニロール〕 〔アポモルヒネ〕
<作用機序>
(ドパミン D2)受容体の刺激
<臨床適用>
・錐体外路症状
・下垂体前葉:高プロラクチン血症・乳漏症・末端肥大症・下垂
体性巨人症
<問題点>
・悪心・嘔吐
・レボドパと同様だが、ジスキネジアやジストニアの症状は
出現しにくい
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3.薬物各論
3.薬物各論
3A-3. ドパミン神経終末からのドパミン遊離促進
◎〔アマンタジン〕
3A-4. ドパミンの代謝抑制
◎〔セレギリン〕
<作用機序>
(B型モノアミン酸化酵素 (MAOB) )の阻害
<作用機序>
・ドパミン遊離促進(ターゲットは不明)
・(抗インフルエンザ薬)としても用いられる
(A型インフルエンザウイルスに有効)
<臨床適用>
on-off 現象が認められるレポドパ適応中の患者に対して
併用する
<臨床適用>
・作用は弱いが主要症状すべてに有効である
・抗コリン薬と併用されて使用される
<問題点>
禁忌:SSRI、SNRI投与中や、三環系抗うつ薬投与中又は中止後
14日間の使用
覚醒剤の原料となることもあるので、厳重な管理が必要
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3.薬物各論
3.薬物各論
3A-4. ドパミンの代謝抑制
◎〔セレギリン〕
<問題点>
禁忌:SSRI、SNRI投与中や、三環系抗うつ薬投与中又は中止後
14日間の使用
覚醒剤の原料であり、厳重な管理が必要
3B. 線条体でドパミンが抑制していたアセチルコリンの作用
を弱める(2Bに対応)
◎〔トリヘキシフェニジル〕〔ビペリデン〕
〔プロフェナミン〕〔ピロヘプチン〕〔メキチセン〕
〔マザチコール〕
<作用機序>
(中枢性ムスカリン受容体(M1))の遮断作用
<臨床適用>
錐体外路症状:振戦・筋固縮に有効(寡動には無効)
NH2
セレギリン
アンフェタミン
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3.薬物各論
<問題点>
禁忌:尿路閉塞性疾患・緑内障・重症筋無力症
副作用:口渇・かすみ目・精神症状(錯乱・幻覚;老年者にみ
られる)
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3.薬物各論
3B. 線条体でドパミンが抑制していたアセチルコリンの作用
を弱める(2Bに対応)
◎〔トリヘキシフェニジル〕〔ビペリデン〕
〔プロフェナミン〕〔ピロヘプチン〕〔メキチセン〕
〔マザチコール〕
3C. ノルアドレナリンの補充(2Cに対応)
◎〔ドロキシドパ〕
<作用機序>
(ノルアドレナリン)の前駆物質で、青斑核・視床下部での
ノルアドレナリンの補充
<臨床適用>
寡動・無動、すくみ足に有効
トリヘキシフェニジル
構造が類似
ドパミン
カルビドパ
ビペリデン
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レボドパ
ドロキシドパ
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3.薬物各論
3D.
診断
はい
いいえ
線条体におけるドパミンとアデノシンの
バランスを調節する(2Dに対応)
定期的診断・教育・リハビリ
生活や仕事に支障がある
イストラデフィリン(2013年)
:アデノシンA2A受容体拮抗作用
薬物
小話
パーキンソン病初期(未治療患者)の治療のアルゴリズム(2011)
高齢、認知機能障害・精神症状の
いずれかを合併
大脳基底核に存在して、運動機能調節に
関わるとされている
当面の症状改善を優先させる
特別な事情がある
レボドパ
治療開始
レボドパ
治療開始
ドパミンアゴニスト治療開始
経過観察、またはできれ
ばドパミンアゴニストを
併用してレボドパの減量
を図る
症状の改善が十分?
レボドパ増量、または
ドパミンアゴニストを追加
症状の改善が十分?
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パーキンソン病治療薬の作用機序
そのまま観察
ドパミンアゴニストの投与量が十分ならば
レボドパ併用
3.薬物各論
(KYOWA KIRIN パーキンソン病サポートネットより)
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薬物
小話
サフィナミド:MAOB阻害薬
L-DOPA 徐放剤
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3.薬物各論
薬物
小話
ロチゴチン:ドパミンD2受容体アゴニスト
貼付薬(2012年)
TCH-346:神経保護作用
ONO-2506:グリア活性化調整(神経保護)
病態の新しい情報(原因・病態生理)
→ 新薬開発への視点
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