くりキンナノアイランドストーリー 海の向こうから来た少年 ID

くりキンナノアイランドストーリー 海の向こうから来た少年
魔女っ子アルト姫
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︻あらすじ︼
父と母が消息を絶った。学校から帰ってきた自分が聞かされた言
葉だった。
家に残った物を荒らす様にして見つけた手掛かり、ナノアイラン
ド。
世界から忘れられたとも言われる幻の島に父と母が居るかもしれ
ない。
そんな希望を抱いて少年は、その島へと向かった。
│││││││││││││
1
目 次 やってきたのはナノアイランド
!
やってきたのはナノアイランド
その者は、船に乗っていた。いや、正しく言うなら船の甲板にいた、
だろう。船は海を渡っていく。大きい波を引き裂くように雄雄しく
突き進んでいく。甲板には心地よい潮風とやや強い日差しが降り注
いでいるがどちらも酷く気持ち良く感じる。
﹁後少しか⋮⋮﹂
﹁おう、すまねえな本当は昨日出航出来るはずだったのによぉ﹂
﹁おっちゃんのせいじゃないって、俺は気にしてねえよ﹂
﹁そう言ってくれるとありがてぇなあんちゃん﹂
ぼそっと呟いた筈の独り言に反応する船長のおっちゃん。本来は
昨日中に出航出来るはずだったのだが家族の都合とやらで一日遅れ
てしまったが大した事はなかった、寧ろ一日家に泊めてくれた船長に
は感謝の念しか浮かんでこない。
海の向こう側にぼんやりと見えてきた小さな島、それを目指す少年
は 何 処 か 大 人 び て お り 実 年 齢 よ り も 年 を 食 っ て い る よ う に 見 え る。
酷く落ち着いている雰囲気は青のジャケットに白いシャツと黒いズ
ボンと妙にマッチしていた。頭に付けているゴーグルの位置を直し
つつも少年は徐々に大きく近づいていく島に妙な胸騒ぎを覚えてい
た。
﹁︵親父、母さん⋮⋮︶﹂
﹁あんちゃん着いたぜ、この後直ぐにナノアカデミーに行くんだろ
だったら着いたら直ぐに解るぜ、結構でかい建物だしよ﹂
﹁ああ解ったよ﹂
人間たちは彼らと触れ合い、その力を借りて平和な日々を送ってい
そこは﹁キン﹂と呼ばれる小さな生き物に溢れ⋮⋮⋮
ナノアイランド。世界の何処かにある忘れられた島。
﹁ここが、ナノアイランド⋮⋮﹂
み入れた。
でも使うようなリュックを背負って海に浮かぶ船から島へと足を踏
いよいよ近づいて来た上陸の時、旅行用のボストンバックに登山に
?
1
!
た。
﹂
│││⋮⋮
﹁
⋮⋮ね
不思議な感覚を体験していると
│││⋮⋮⋮
﹁⋮⋮っ
﹂
気のせいじゃねえかい
お、おっちゃん何か言ったか
﹁うんにゃ何も言っちゃいねえぞ
くナノアカデミーに行ってきな、今日から転入するんだろ
﹂
んじゃおっちゃん此処までありがとな
﹂
│││あれ、僕達の声聞こえてないのかなぁ
│││早くお話したいなぁ。またお話しようよ
⋮⋮
﹂
﹂
ねっ﹃ ﹄
﹁ここがナノアカデミー⋮⋮親父と母さんも、此処に通ってたのかな
楽しげな笑い声が今日も響いていた。
キンを学ぶ学校⋮⋮﹃ナノアカデミー﹄ではキンを学ぶ子供たちの
!
?
気のせいだ。なぜか感じる懐かしさで感じた気のせいだと⋮⋮。
たような気がしたがそれは既に意識の外へと投げ捨てていた、きっと
見えている大きな建物、ナノアカデミーへと駆け出した。何か聞こえ
此処まで乗せてくれた船長へと手を振りつつバックを持ち上げて
﹁おう気ぃつけろよぉい
﹁いっけねそうだった
兎も角早
かしく感じ、ずっと此処に居たいという感情まで沸きあがってきた。
ようとしてくれているかのように、初めて来た筈の島なのに何処か懐
肌を撫でた温かな風は何処か優しかった。この島の雰囲気を伝え
!!
│││⋮⋮たよ
!!
珍しい転校生、島の外からやってきた人間。何処か不安そうな表情を
浮かべる少年は胸から掛けているネックレスロケットを引っ張り出
し強く握り締めながら深く深呼吸をする。さざめいている心を落ち
着けると校門を潜って校舎へと入り職員室へと向かう。荷物を抱え
!!
!!
?
?
!!
!!
!!
!
?
?
!?
そんな学校に、一人の少年がやってきた。この島では異常なほどに
?
2
?
たまま職員室の扉を開けてみると眼鏡を掛けた老人がこちらに向け
ようこそナノアカデミーへ、私がこのナノア
て笑顔を作り歩いてきた。
﹁君がリュウキ君だね
カデミーの校長だ﹂
かね
﹂
﹁はい、あの荷物も一緒で大丈夫ですか
﹂
ガッハハハ私はヤマナカ
んだ表情でそれを見つめると担任である先生を呼んだ。
﹁ハイ校長っと噂の転校生君ですな
﹁はい宜しくお願いします﹂
クラスの担任をするものだ、これから宜しくな
!?
教室に入っていく先生。
ムズアップを返すとうむ
﹂
と笑って頭をくしゃくしゃと撫でてから
グッと力強いサムズアップを向けてくるヤマナカ先生に笑顔でサ
﹁解りました﹂
﹁それじゃあ先に私が入るから、呼んだら入ってきてくれ﹂
ようだ。
を置いてリラックスと声を掛ける。気付けば教室の前まで来ていた
う。そんな自分の緊張を察してくれたのかヤマナカは優しく肩に手
これから自分もそんな中に入るのかと思うと少し緊張して来てしま
にホームルームが始まっているのか生徒達と教師の声が響いている。
何処か熱血的な先生に連れられて廊下を歩いていく、他の教室は既
﹁うむいい挨拶だ、ではクラスへと案内しよう。着いて来たまえ
!
!
!
君の
スロケットが目に付いた、それには見覚えがあり何処か懐かしさを孕
なリュウキの姿に笑みをこぼしつつ胸から掛けられているネックレ
かなり温和な性格なようでほっと胸を撫で下ろした。校長はそん
﹁ああ大丈夫だ﹂
﹂
ぐ授業が始まってしまう、担任と一緒にクラスに行って貰っても良い
﹁いやいや無事に着いたようで何よりだよ。早速ですまないがもう直
した﹂
﹁はいすいません先日こちらに着く筈だったんですが遅れてしまいま
?
﹁︵⋮⋮なんか、久しぶりだな今の︶﹂
!
3
?
?
撫でられた事で少々乱れてしまった髪を直しつつリュックを担ぎ
なおす。先程のやり取りで緊張がかなり解けたのか心がかなり軽く
なっていた。転入初日は印象が肝心、しっかりと気を取り直した先生
の声を待つと入ってきてくれという声がする。遂に来たと軽く深呼
吸をしてから荷物を持って教室へと入る。
﹁︵うわぁお⋮⋮すっげえなこれ︶﹂
教室へと入って向けられるクラスメイト全員からの凄まじい視線
と輝いている瞳。少したじろきそうになるがそのまま歩みを進めて
﹂
﹂
ヤマナカ先生の隣へと立った。自己紹介でも始めようかと思った時
﹁君名前はなんていうのぉおおお
﹂
﹁島の外から来たって本当ですかぁ
﹁マジ本物じゃん
!?
机を叩きつつ立ち上がる。
﹁も∼っ皆静かにしなさいよっ
﹂
︶﹂
﹂
転校生なんて本当に珍しいからな
︵2回目
兎も角自己紹介から初めて貰おうか
﹁いや∼先生には気持ち解るぞ
がっはっは
﹁君名前はなんていうのぉおお
!
挨拶が飛んでくる。
﹁リュウキ君か∼良い名前∼
!
﹂﹂﹂﹂﹂
!?
るのだろうか⋮⋮
介も終わったところで席に着こうとするがそういえば席は何所にな
何とも元気なクラスな事だ、元いた学校よりもにぎやかだ。自己紹
﹁﹁﹁﹁﹁誰だいきなり告白したの
﹁は∼い私と付き合ってくださ∼い﹂
﹁カ、カッコいいかも⋮⋮﹂
﹂
名前を告げると一気にクラス中から名前を呼ばれてよろしくーと
す。気軽にリュウキって呼んでください﹂
﹁︵カッコ2回目まで言うのか⋮⋮︶俺の名前はリュウキって言いま
!!
!!
ていた。そんな時青い髪で何処か几帳面で真面目そう少女がバンと
まった。ちらりと視線をヤマナカ先生に向けると笑いつつ頭を擦っ
と 騒 ぎ 立 て る ク ラ ス メ イ ト 達 に タ イ ミ ン グ を 完 全 に 奪 わ れ て し
!!
?
4
!!?
! !!
!!
!!
﹁おっとそうだった、え∼と空いてる席はっと⋮⋮﹂
﹁あ、あの先生⋮⋮。私の隣の席、空いてます⋮⋮﹂
小さく手を上げつつ小さい声で黒い服にマフラーを巻いている女
の子がいた。少々おどおどしていた初見の自分もかなり大人しそう
という印象を抱かずに居られなかった。
﹁おおそうかそうか、マキの隣が空いてたか。じゃあリュウキはそこ
の席で頼む﹂
﹁はい﹂
荷 物 を 持 ち つ つ 席 に 向 か い バ ッ ク を 机 の 傍 に お い て 席 に 着 く。
少々重かったからか溜息を漏らしてから隣の席に座っている少女へ
と顔を向けた。
﹁これから宜しくな。改めてリュウキ、好きな風に呼んでくれ﹂
﹂
﹁うん、宜しくね⋮⋮。私はマキっていうの、私も好きな風に呼んでく
れて、良いよ
﹂
5
﹁解った、宜しくマキちゃん﹂
﹁う、うん宜しくねリュウ君﹂
﹁おおっ早速仲良くなってるなぁ、青春だなぁ
!
?