とあるカルデアの復讐者 仲人 ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にP DF化したものです。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作 品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁 じます。 ︻あらすじ︼ 禁書さんも一方さんも電磁さんも出ません。 目 次 アヴェンジャー │││││││││││││││││││││ 1 アヴェンジャー 人類滅亡を防ぐ為の機関、カルデア。 僕はそこで数多のサーバントと共に様々な時代を巡り、人類史が 狂ってしまわぬようサーヴァントと共に戦うマスターと呼ばれる存 在。 そんな僕は今、カルデアの何処までも続いているかと錯覚する程に 長い廊下を、先程呼び出した復讐者のサーヴァントを連れて歩いてい る。 一先ず正体が分からない以上、戦いに於いて何かを掴めるかも知れ ないというDr.ロマンからの助言により、マシュと共に特異点へと 赴く為だ。 ◇◇◇◇◇ 復讐者とは、聖杯戦争時に呼び出されるセイバーやアーチャーと いった七騎のクラスのどれにも属さない、特殊なクラスのサーヴァン トだ。今までに確認されているのは、巌窟王ことモンテ・クリスト伯 と竜の魔女ことジャンヌ・オルタの二人。 だがしかし、そんな特殊クラスである二人をぽんぽん召喚等出来る はずが無い。まず一定の周期毎に極稀に召喚しやすくなるタイミン グがあるらしく、そのタイミングを見計らって召喚の儀を行う。 そこから更に幾数人にも及ぶ英霊達の中から、その二人を呼び出さ なければならない⋮そんな苦行を経て漸く仲間に出来るのだ。 かく言う僕も以前からジャンヌ・オルタを仲間にすべく、数ヶ月に わたり特異点を修正した際に得られる聖晶石や、報酬として配られる 呼符と言うものを溜め込んでいた。 そして遂に、その時間は訪れた。ジャンヌ・オルタが呼び出しやす い周期が訪れたらしい。 期待を胸に、今まで溜め込んでいた聖晶石を砕く僕、隣には後輩で 1 あ り デ ミ サ ー ヴ ァ ン ト の マ シ ュ も 居 て く れ た。最 初 の 内 は 新 た な サーヴァントや礼装に喜んでいたが、30回を越えた辺りからマシュ に慰められる程に僕は落胆していた。 砕けども砕けども出て来るのはジャンヌ以外のサーヴァント達、気 が付けば手元には呼符が一枚だけとなっていた。 ﹁先輩、気を落とさないで下さい⋮次がありますよ。それに、最後の呼 符もあるじゃないですか﹂ 後輩の女の子からの優しい言葉に思わず涙しそうになりつつも、僕 は最後の呼符を使用した。 迸る光は金色に染まり、それが三つに別れた。ここまでは今までの 召喚でも度々目にしていた。 だがそれらが再度収束して砕けた瞬間僕は目を見開いた、今まで目 にした事の無いサーヴァントカードだったからだ。 描かれていたのは、髪をざっくばらんに伸ばした男の姿⋮噂に聞い もしかして⋮ ﹂ 輝き始めると、ソレが次第に実体を持ち始める。 の様なナニ 輝きが治まり視界が晴れたその先に││竜の魔女は居なかった。 代わりに居たのは足元にちょこんと座り込んだ子供 カ。 ﹁可愛いですね、サーヴァント⋮でしょうか ﹂ とした動きと相まって若干の不気味さすら感じてしまう。 てきた。その手にはいつの間にかランタンが握られており、のそのそ 暫くソレを眺めていたら、ゆっくりと立ち上がってコチラに近付い レ付きの尻尾が生えていた。 えて無い。どこか魚類か爬虫類を思わせる様な顔つきでおまけにヒ クリーム色のローブを着ていて肌の色は緑、目は黄色く髪の毛は生 ? 光の筋やサーヴァントカードとの矛盾が生じるが、こんなサーヴァン るマシュならば平気かと思い止めはしなかった。礼装であるならば 僕としては触れるのは躊躇われたが、仮にもデミサーヴァントであ ? 2 ていたアヴェンジャーのカードだ。 ﹁せ、先輩 ! その声にハッとして意識をそれに向ける。カードが回転しながら ! トは今まで見た事も聞いた事も無かった。 斯くして僕とマシュ、そしてマシュに抱えられた緑色の子供の三人 は博識な英霊に片っ端から話を聞いて回った。 魔力のパスにより、おおまかなステータスは把握出来たが宝具や真 名は、まるで雲谷が掛かったかのようで見る事が出来なかった。 しかし、そもそも復讐の逸話を持つ歴史上の人物自体が少ない上、 こんな人ならざる姿なら尚更正体と言うのは限られてくる。にも関 わらず、皆一様に知らないと首を振っていた。 最後の頼みの綱であったダ・ヴィンチですら知らないとなり、途方 に暮れていた所Dr.ロマンから通信が入った。 ﹄ ﹃何やらお悩みのようじゃないか、でも考えても物事が進まないなら 自ら進んでみるのはどうかな その提案に内心苦笑しながらも、仕方無くマシュを引き連れてレイ シフトすべくその場所へと向った。 ◇◇◇◇◇ 辿りついた場所は最初の特異点である冬木。赤々と燃え上がる瓦 礫の街を、別次元の友達のネロを借りて四人で探索していた。 因みに、緑色の子供はレベルも上げずに連れて来てしまったのだ が、特異点に着いてからハッキリとしたステータスに心配は要らなさ そうだと確信した。 耐久EX││HPに至っては初期値が9999││とあり、それ以 余が話しかけてやっても一 外のステータスは軒並みE若しくはDだったが、この特異点であれば 死ぬ事は無いだろうと判断した為だ。 ﹁して奏者よ、その者は一体なんなのだ 言も返さぬぞ﹂ 振りと、首を振るのみで反応を返す緑色の子供は最初の不気味さが薄 ネロが疑問をぶつけて来るが、マシュが代わりに答える。身振り手 から問題は無いかと思います﹂ ﹁この子は喋れないみたいなんです、ただ意思の疎通は出来ています ? 3 ? まっていた。 そんな三人のやり取りを後から付いていきながら眺めていたら、物 陰からシャドウサーヴァントが襲撃してきた。油断していた上に戦 闘態勢に移行する間も無い不意討ちにより、重症を負うマシュとネ ロ。 ﹂ ﹁ぐっ⋮斯様な者がまだ残って居たとは﹂ ﹁先輩、逃げて下さい 少なからず鍛えられたマシュとネロを容易く戦闘不能にした強大 なシャドウサーヴァント、僕が逃げた所で簡単に縊り殺されるのがオ チだろう。なら、此処は逃げずに戦うしかない。 緑色の子供はいつの間にかその手に、ランタンと包丁を持ってシャ ドウサーヴァントと対峙していた。そして、僕の頭に浮かぶのは緑色 の子供の真名と宝具の名前。 トンベリ、︻みんなのうらみ︼を開放しろ 痛に苦しみ悶え消えゆくシャドウサーヴァントの断末魔。 した⋮次の瞬間響き渡るのは、ただ一度刺されただけだと言うのに激 トンベリはシャドウサーヴァントと肉薄し、手にした包丁を突き出 からか動くこと無く待ち構える。 ゆっくりと距離を詰めてゆく。対してシャドウサーヴァントは驕り その言葉に頷いて見せたトンベリは、初めて出会った時と同じく ! 復讐者の名を冠する新たなサーヴァントが今、此処に誕生した瞬間 を僕はしっかりと目に焼き付けた。 4 !
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