可能性の一つ、アゴーニの暗躍 ID:90946

可能性の一つ、アゴーニの暗躍
にゃもし。
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︻あらすじ︼
ワンパンマンの可能性、あったかもしれない、あるかもしれない
⋮⋮そんな短編集。
目 次 アゴーニの暗躍 │││││││││││││││││││││
1
アゴーニの暗躍
世界的に有名な大富豪アゴーニ。
彼はヒーロー協会の創立者でもある。
﹁ヒーロー協会設立から三年が経過したわけだが⋮⋮﹂
薄暗い部屋の中央でアゴーニがイスに深く腰掛けながら口を開く。
﹁予想以上に予想以下であり、予想通りだったな⋮⋮﹂
感情の読み取れない声音でそう発した。
?
1
各市にあるヒーロー協会支部のような一室。
そこにはアゴーニの他、彼がヒーロー協会を立ち上げるときに協力
してもらった者たちと、設立以降にアゴーニ本人が声をかけた者たち
がいる。
﹁アゴーニさんみたいな金持ちが何かしら組織を立ち上げる⋮⋮って
なれば当然、金にたかる虫がわいてくるのは必然。故にこの結果は目
に見えていた﹂
一人が喋り始めたのを切っ掛けに次々に意見を述べ合う。
﹁それでも三年という時間は早い﹂
﹂
﹁ヒーロー協会という組織の存在││││その作られた当初の目的を
﹂
考えれば⋮⋮些か早い気もするが、問題はないのでは⋮
﹁この時期にヒーロー協会を切り捨てるのか
?
﹁予言のことを考えれば早めに行動した方がよい﹂
﹁そうだな⋮⋮有能な人材、使える人材はすでに声をかけた﹂
﹁ヒーロー協会に残るのは無能か、未来を見据えない頭の固い連中の
み⋮⋮﹂
口々に言う面々。
静かに聞いていたアゴーニが動くと、水を打ったかのように部屋が
静まり返る。
﹁宇宙人襲来、人間怪人ガロウによるヒーロー狩り、怪人協会のときに
もメタルナイトとブラストは動かなかった﹂
2
アゴーニが挙げた二つの名は、どちらもS級ヒーローに連ねる者で
あるが⋮⋮アゴーニの彼らに対する認識は 〝 実力はあれど自ら
動くことは殆どない、ヒーローとして問題のある者たち 〟 ⋮⋮と
いうお世辞にも良い評価とは言い難かった。
﹁力はあっても、肝心の時には動かない。⋮⋮では意味がない。世間
の一部は彼らのような自由意思で動くヒーローと、ヒーロー協会に頼
﹂
るのは危険ということを、身をもって知ったことだろう、我々も含め
てだが⋮⋮﹂
﹁アゴーニ会長。⋮⋮そろそろ計画を実行に移すのですか
坦々と述べていく。
彼は﹁その前にやっておきたいことがある﹂と前置きを置いてから
メンバーの一人が嬉々とした表情でアゴーニに問いかけるが⋮⋮
?
スポンサー企業の異動とマスコミ関係者を使った告知。
ヒーロー協会の内部告発、スカウト・ヘッドハンティングによる人
材確保。
﹁可 能 な 限 り 内 部 か ら 喰 い 尽 く し て く れ よ う。今 ま で 散 々、連 中 が
やってきたことだ。嫌とは言わせん⋮⋮﹂
凄みを利かせた声で話すアゴーニ。
目を細めて虚空を睨んでい
ヒ ー ロ ー 協 会 の 幹 部 の 中 に は 協 会 の お 金 で 豪 遊 を 繰 り 返 す 者 が
多々いる。
余程、立腹しているのだろうか⋮
る。
﹁それも重要だが、S級が束になっても敵わなかったガロウ。それを
赤子の手を捻る如く、打ち負かした A級ヒーロー 〝 サイタマ
〟 ⋮⋮﹂
彗星の如くヒーロー協会に現れたサイタマ。
﹂
同じ日にヒーロー名簿に登録したジェノスの陰に埋もれがちだが、
彼は驚異的な速度で階級を上げている。
﹁サイタマへの監視、場合によってはスカウトですか
彼らの中でサイタマをスカウトすることが決まったようだ。
それを目で追い、軽く頷く。
功績が次々と書き記されていく。
宙に浮いている画面にサイタマの画像が映し出され、その横に彼の
びない﹂
﹁そうだ。彼をあのまま⋮⋮彼の才能を、あの組織で腐らせるのは忍
?
3
?
•
•
•
•
﹁それと、ガロウ。彼をヒーローとしてスカウトしよう﹂
アゴーニがポツリと漏らした言葉に一瞬、硬直。
﹂⋮と。
硬直から解いた一人が恐る恐る質問してみる﹁そのガロウはあのガ
ロウですか
﹁人間怪人ガロウ。彼をヒーローとしてスカウトする﹂
部屋の中が静寂で満ちる。
彼らはアゴーニの言うことに頭が追いつかないのであろう。
ヒーローと敵対した者をヒーローとして起用するのだ、周囲が混乱
するのも分からなくもない。
﹁ヒーロー狩りと称しながらも、一人として殺人という罪を犯しては
﹂
いない。ワシから言わせてみれば、ただのひねくれた小僧にしか過ぎ
んな⋮⋮﹂
﹁しかし、危険なのでは
を、その埋め合わせ方法を聞こうか⋮
﹂
なる。異論があるなら、引退して去ったヒーローたちを埋める戦力
﹁そのための 〝 サイタマ 〟 だ。彼ならガロウに対する抑制に
?
の日の会議は進んだ。
口の端を上げて笑うアゴーニに誰も意見を言うことができずに、そ
?
4
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