チートを手に入れられなかった話 西陣 ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にP DF化したものです。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作 品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁 じます。 ︻あらすじ︼ チートを貰って神様転生した男が、チートの扱い方を探っているう ちに犬に襲われて死ぬ毒にも薬にもならない話。 オチはありません。 目 次 チートを手に入れられなかった話 │││││││││││││ 1 で車が暴走、高校生はねられ死亡﹄ チートを手に入れられなかった話 ﹃○○○・ の市道で同市に住む公立高 ×× 署は自動車運転処罰違反の疑いで⋮⋮。 ﹂ 馬鹿なほうがいいがさすがに要望には入れられなかった 俺TUEEEするためには敵キャラやテンプレ的なやられやくは かった││らを金で買え、皆容姿が良く、一夫多妻制度のある世界。 フがいて奴隷がいて彼女││性奴隷のことだけしか彼の頭には無 王がいて、高校生レベルの中途半端な知識でもNAISEでき、エル 転生したい世界は中世ファンタジーで魔法がありモンスターや魔 たことは覚えている。 のようなお題目で転生するのかこそ忘れてしまったが自分が要求し 予想だにしない経験に、彼あるいは彼女とどんな会話をしたのかど 転生とチートを与えられた。 自分は一度死に、そして神を名乗るナニかから自分の望む世界への 際に起きたのだとしか言いようが無かった。 真実味のない経験をしたが、自分の今の状況から考えるとそれが実 ﹁まじか﹂ 頬をつねり痛みを確かめる。 雲ひとつない晴天の下、一面の草原が広がっていた。 寝そべっていた体を起こし周囲を見渡す。 という台詞と共に覚醒する。 ﹁神様っ 確認された。 △△さんは市内の病院に搬送されたが、頭を強く打っており死亡が 校3年△△△△さん︵18︶が乗用車にはねられた。 13日午後4時20分ごろ、○○○県 ×× そ れ ら の 対 象 範 囲 が ハ ー レ ム と し て 囲 う キ ャ ラ に ま で 及 ん で し 1 ! ×× まったら元も子もなかったからだ。 ハーレムを作りこそしたいが、ひどく愚かだったり自分に都合のい いイエスマンしか存在しないのは困る││と彼は自分のことを棚に あげて考える││。たとえ魅力に溢れていても囲いたいとは思わな い。 お人形集めがしたいわけではないのだ。 それとチートが欲しい。 そうだったそうだった、生きたい世界こそ大雑把ではあるが説明し たが、チートのほうはチートが欲しいとだけ言ったために困惑してい る様子だったことを思い出す。 そこで、好きなようにステータスやスキルを覚えたり忘れたり上げ たり下げたり出来るようにして欲しいと説明したのだ。 あまりにも強すぎる力を普段の生活すら困難になるのではないか、 という俺TUEEEものを読んでいたときの疑問からチートを貰う 2 のであればこのような形がいいと考えていた。 それに誰かがいわゆる鑑定のスキルを持っていたとしても、ステー タス、スキルを下げたり削除できれば注目されることもなくなるの だ。 生きたい世界といわれテンプレ世界しかでないあまりの発想の貧 困さとハーレムが作りたいという下半身でしか物事を考えられない 自分に気づいてしまったが見ぬフリをする。 今思い返せば、恥ずかしげも無くあれこれと注文をつけられたもの だと冷静さを失っていたことをいまさらながら恥ずかしくなる。 目の前につるされたにんじんのせいでもあり、応対している相手が まさしく超常の者であることを無意識ながらにも感じとりそのカリ スマやプレッシャーを受けて平静ではいられなくなったということ ﹂ にしておこう。 ﹁よしっ つまりハーレムを。その想像だけでごく一部が固くなる。 過ぎたことは忘れこれからのことだけを見よう。 気を取り直して立ち上がる。 ! あ、と今更ながら思いつく。どうせなら下半身も大きくしてもらえ ばよかった。 ⋮⋮まあいい。ほとんど平均なんだし慣れてくればすぐに出るの も治るはずだ。 今はとにかくチートを試すべきだ。 周りには人っ子一人確認できないし近くに街もなさそうでスキル を使ってみても誰にも見られることはないだろう。 ﹁ぐぬぬ﹂ あれやこれや思いつく限り言葉を変えながらもいっこうに変化が ない。ステータス表示すら出ないではないか。 騙されたのだろうか。いや、そもそも今までのは全部夢だったの か、あるいはひどく現実的な妄想か⋮⋮。はあと深いため息をつく。 ため息と共に頭を下げたのが切欠で、はたと気づく。 3 自分の腹部の前にキーボードが浮かんでいる。 そして、気ボードの上に、ほとんど透明で見えにくいのだがキャ レットも浮かんでいることに気づく。 何か変化がないか確かめるために顔を左右に振ることはしたが、目 と出さ 線を下げることはなかったので今の今まで気づかなかった。 いや、キーボードという形状からたしかに顔の前にでん 持っているのではないだろう。 悩んだものの、自分でいじるという形なのだから高いステータスを うもない。 いじくるにしても今のステータスが分からないのだからどうしよ しかし。 うとあたりをつける。 ようにステータスやら何やらを記述あるいは書き換えていくのだろ どの言葉に反応したのかはあとで調べるとして、これで都合のいい の用に高度の下がるキーボード。 よかったと力が抜け地べたに崩れ落ちる。その動きを追従するか れてもタイピングしにくいのだから文句のつけようは無い。 ! 事実、走ったり跳んだり、小石を投げたりしてみるが生前のそれと かわりは無い。 とりあえず、分かりやすい腕力から上げてみる。 ﹃腕力50﹄と記入してエンター。 腕力50 n o t f o u SysWindowCompil ,line 1: SCRIPTS:Script eAndRun S c r i p t c o m m a n d ﹂ nd. ﹁は わけがわからない。 ﹂ をしたものでコンソールでは出来ないことも出来るのだろうか 下げたり削除したりはどうだったか⋮⋮。実際はコンソールの形 たしかにステータスを上げたりスキルを覚えたりはできるだろう。 これはゲームにあるただのコンソールコマンドじゃないか。 でいいのになんなんだよ。 もっと簡単にこんな感じになれって願ったらそうなったくらいの こんなの俺が欲しかったチートじゃない。 叫び声を上げ、わしゃわしゃと頭を掻く。 ﹁ああああああ stringsに変えてもダメ。どうすればいいんだ。 腕力がダメなのだろうかと今度はSTRにするもやはりダメ。 " ' いやエラーが返ってきたことは分かるが。 " ' !!!!! 先ほど投げた小石を拾い、空へ投げてコンソールコマンドを出す。 るはず。 それが出来るなら時間停止というトンデモスキルとして活用でき めだったが。 少なくとも俺がやっていたゲームだとそうだった。マルチだとだ コンソールコマンドならば開いている間はゲームが止まっていた。 ﹁まてよ﹂ それが分からない現状何の役にも立ちはしない。 なんにせよ適切なコマンドを入れなければ効果を発揮しないのだ。 ? 4 ? 時間が止まるなら落ちてこないはずだが⋮⋮ああああくそっ。 運の悪いことに放り投げた石が頭に当たる。 そしてキーボードに⋮⋮あたるはずが通り抜けてしまう。 今度は直接キーボードの上から小石を落としてみるが、やはり通り 抜ける。 これなら自分以外の誰かが触ることが出来ないのだろうが、今知り たいのはこれじゃない。 どさっと、地べたに体を放り投げる。 どうするかなあ。 時間停止にも使えないのだからなんとかコマンドを思い出さなけ れば本当にゴミクズでしかない。 コンソールも自分もだ。 コンソールを使ったことはかなり以前あった。 ただ時間の問題と、コンソールを使うと実績が解除されないゲーム と雄叫びを上げる。 Compiled script not saved おおおおおおお ! ! 5 だったため、実際に使ったのが数えられる程度でまったく覚えていな いのだ。 それならばMODでどうにかしたのだったか。 とにかく、重要なのはコマンドを覚えていないということだ。 なんとか思い出さなければならない。 ステータスの上げ方はどうだったたか⋮⋮。 gainstr、gaindex、gainxp、gainexp ⋮⋮思いつくままに打ってみるが成果はない。 じゃあこんどはアイテムだ。 getiem、pickitem⋮⋮やはりダメかと諦めかけてい たがようやく答えが見つかる。 。 SysWindowCompil ,line 1: ' additemだ eAndRun SCRIPTS:Script !!! Missing parameter ObjectID. ' ようやくチートを使いこなす第一歩を踏み出すことが出来たのだ。 オブジェクトIDなるものは分からないが、additemの後に 何かしら記述していけばいいのだろう。 苦労こそすれ先には結果が待っているのだから不安はない。 天にも上る気持ちになり小躍りする。 がすぐさまそれは消え去った。 三頭の犬だ。 いったいいつからいたのだろうか。まったく気配に気づけなかっ た。 唸り声を上げる三頭の犬を見て嫌な汗が流れ息も荒れる。 襲われる予感しかしない。 つばを飲み込み、じりじりと後退する。 心臓の音がうるさい。 三頭は機を見ているのかそのまま襲ってくることもなく、ゆっくり とこちらに近づいてくる。 このまま走って逃げたら追いかけてくるだろうと思い、逃げ出せな い。 せめて町の姿形は見えるところまで行ってから実験すればよかっ たと今更ながら思う。 そう意識を外していたのが原因か、突如として後ろから衝撃が走 る。 すぐさまやってくる熱量。 そして痛み。 ﹁あっあっ﹂ 声にもならない声を上げる。 痛みと熱が一箇所から二、三、四と増え、そして意識が無くなった。 前方の囮の犬に気を取られ後ろから忍び寄る本命に気づかなかっ たこと原因だ。 彼の第二の人生は二時間にも満たないうちに終わってしまった。 6
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