Japanese in THE ゾルザル ID:95481

Japanese in THE ゾルザル
連邦士官
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︻あらすじ︼
ゾルザルに日本人が入っていたらと言う話です。
アンチ・ヘイト要素あり
?
目 次 プロローグ │││││││││││││││││││││││
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プロローグ
│あぁ、俺は死ぬのか⋮⋮。│
近年まれに見る熱波に襲われ、観測史上最高気温を更新しつづける
灼熱の日本。
50代位に見える男はそこにいた。
かの男は渇きと空腹にさいなまれていた。
昔は土地と株でならした豪傑だったのだが、男は30代の時に通勤
中の電車で痴漢容疑で逮捕され、自白を強要されたのだ。
冤罪と認められたものの一度犯罪とマスコミに報じられた者は芸
能人などの一部を除き社会復帰出来ないのが日本という国である。
男の名前もマスコミに出されてしまった。
だが、冤罪だとわかってもマスコミはそれを報じなかった。
いや、週刊誌のみだけは報じた。
週刊誌の最後のページに老眼なら虫眼鏡を使わなければならない
ほどの大きさで。
以上の理由で男には職業が無かった。
男は親の脛をかじりながら生き長らえるしかなかった。
アルバイトといったことを始めようにも男の名前と写真はマスコ
ミに大々的に報じられ過ぎてたのである。
当時の風潮では、宴会などではセクハラはまだ許容されていたが、
流石に電車での痴漢は許されていなかったし、いつの時代も歪んだ正
義感の持ち主はいるものだ。
そう言った連中が、彼のごく一部の少ない勤めれた先を襲撃した。
その行いが彼を就職できない男にした。
彼はニートという言葉が生まれる前からニートになっていた。
いや、語弊があるかもしれない彼は働く気がないのではなく、働く
気はあるが働けないのだから。
雀の涙程度の賠償金はすぐに無くなり、親からの仕送りで暮らす
日々である。
一応、若いときはいけいけどんどんと土地と株式で儲けはしたがそ
1
れも昔の話である。
ITバブルの時は売り抜けてかなりの額を儲けたのだが、それすら
もリーマンショックにより弾けとんだ。
なぜだか邪気が抜けたように男は隠居生活に入った。
家は両親の持ち家だから金はかからないし電気代を払わなくても
水道と木炭で暮らしている男には関係なかった。
晴耕雨読の毎日を送り、最寄りの図書館に自転車で通い続けた。
しかし、そんな毎日はいきなり崩壊した。
男の両親が大雨による土砂崩れで死んだのだ。
男の他に相続人がいないので、両親の土地や財産が来たのだがほぼ
全て土地であったのが悪かった。
相続税により二束三文で土地を手放す羽目になり、男の生活は一変
した。
始めの3年間はなんとかなったが男は金が無くなり飢えと渇きの
最中で熱波による熱中症で死亡した。
男の死亡は一カ月後に異臭騒ぎにより市の職員が立ち入ったこと
で判明した。
孤独死だった。
そう男は孤独だったのだ。
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