*グローバル投資環境 No.1328 * ご参考資料 髙木証券投資情報部 英国の第1四半期GDP速報値~「Brexit問題」が経済活動の重しに? 2016年4月28日作成 4月27日に発表された英国の第1四半期GDP速報値は前期比 0.4%増となり、昨年第4四半期の0.6%増から減速した。一 方、前年同期比の成長率は2.1%増となり、昨年第4四半期と 同じだった。 英国のGDPは速報値段階では生産項目面からのアプローチ のみで算出されるが、前期比の成長率を産業別でみると、 サービス業が0.6%増加したものの、昨年第4四半期の0.8% 増から減速したほか、農業が0.3%増から0.1%減へ、建設業 も0.3%増から0.9%の減少に転じ、製造業は0.4%減少した (昨年第4四半期も0.4%減)。 +0.4% 前期比 前年同期比 +2.1% 現行の2012年基準によるGDPに対する産業別のウエイトは サービス業が78.6%、製造業が14.9%、建設業が5.9%、農 業が0.7%となっており、この結果、第4四半期のGDPに対し てはサービス業が0.5ポイントのプラス寄与となった一方、 製造業が0.05ポイント、建設業が0.05ポイントのそれぞれマ イナス寄与となり、農業はプラスマイナスいずれの方向にも 寄与していない。 ちなみに、英国の中央銀行(Bank of England)は2009年5 月以降は政策金利を一貫して過去最低の0.5%で据え置いて いるが、今日に至るまでの間には利上げに向けた機運が多少 盛り上がった時期もあり、最近では昨年の8月から今年1月に かけての6会合連続で9名の委員のうち1名が25ベーシスの利 上げを主張していた。しかし、今年の2月以降は全会一致で の金利据え置き決定となり、中銀は足下では緩和的な政策運 営の背景としてEU離脱(Brexit)問題を挙げており、4月13 ~14日に開かれた直近会合の議事録は「通貨ポンドはここ 1ヶ月でさらに下落したが、下げの多くは来るべき国民投票 (6月23日実施)を巡る不透明感に起因する。国民投票に関 連する不透明感が特定の分野で活動の重しとなり始めている 兆しがみられ、資本支出や商業用不動産の取引に係る若干の 決定が、投票の結果待ちで延期されつつあり、このことは 2016年上期の成長をいくらか軟化させるだろう」と述べて いる。 なお、英国の政府はウェブサイトにおいて、①EUのメン バーであることによって5億人の顧客と英国の5倍に及ぶ経済 規模を有する単一市場に完全にアクセス出来る、②EUから脱 退すれば、EU域外の50を超える国との通商合意を喪失する、 ③英国からの輸出の44%がEU向けであり、英国内における 300万人以上の雇用は、他のEU諸国への輸出に関係している こと等を列挙して、「残留」を選択するように国民に呼びか けている。このように、英国にとって現下の最大のリスクは EU離脱問題だが、国民の良識ある選択によって、莫大な経済 的損失は回避されることをメインシナリオと考えたい。 《成長とインフレ率に関する中銀の見通し》 (前年比、%) 成長率 インフレ率 11月時点 2月時点 8月時点 2月時点 2016年 2.5 2.2 1.2 0.8 2017年 2.6 2.3 2.0 1.9 2018年 2.5 2.4 2.2 2.2 ※インフレ率は各年4Qの予想 (文責:勇崎 聡) (出所:英国国家統計局、英国政府、Bank of England及びBloombergより髙木証券作 成) 《ご注意いただきたいこと》当資料は投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資の最終決定はご自身でなさるようお願い いたします。当資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、その正確性・完全性を保証するものではありませ ん。株式、債券、投資信託等は、価格の変動や発行者の信用状況の悪化等により投資元本を割り込むおそれがあります。また、当資料の いかなる部分も一切の権利は髙木証券に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転 送等を行わないようお願いいたします。 当社で取り扱う商品等へのご投資には、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、お客様向け資料等をよく お読みください。 商号等:髙木証券株式会社 金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第20号 【広告審査済】 加入協会:日本証券業協会 髙木証券インターネットホームページ:http://www.takagi-sec.co.jp/
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