*グローバル投資環境 No.1351 * ご参考資料 髙木証券投資情報部 フィリピンの第1四半期GDP ~民間支出と投資主導で11四半期ぶりの高成長 2016年5月19日作成 *フィリピン国家統計調整委員会が19日に発表し 前期比 1Q+1.1% ▼GDP成長率(%) た第1四半期のGDP成長率は前年同期比6.9%増 となり、昨年第4四半期(6.3%増から6.5%増に上 方修正)を上回って、2013年第2四半期以来の高 成長を記録した。一方、前期比の成長率は1.1% 増となり、昨年10-12月期(2.0%増から2.1%増 へ上方修正)を下回った。 *前年同期比の成長率を支出項目別でみると、 民間消費が7.0%増加して昨年第4四半期の 6.5%増を上回る伸びとなったほか、投資が昨年 第4四半期の13.3%増から23.8%増に加速した。 また、輸出が6.6%増加したものの、輸入は 16.2%増えて輸出を大きく上回る伸びを記録した ため、純輸出はGDPを押し下げる方向に働いてい る。フィリピン中央銀行は2014年7月31日と9月 11日の政策会合において25ベーシスずつの利上 げを実施した後、13会合連続で政策金利を4.0% で据え置いているが、つい先日の12日に開いた 直近の政策会合の声明文は景気について、 「グ ローバル経済情勢は、前回会合時に比べて弱 まったことを委員会は認識しているが、国内の経 済活動に対する見通しは、強固な民間家計と投 資や前向きな企業心理、十分な国内の流動性に 支えられて引き続き浮揚力があり、高水準の財政 支出が国内需要をさらに押し上げることが見込ま れる」と述べており、今回のGDPはこうした中銀の 見解に概ね沿ったものだといえよう。 前年同期比 1Q+6.9% 支出項目別 (前年同期比) 民間消費 政府消費 投資 輸出 輸入 2014年 4Q +5.3% +11.0% +5.7% +13.0% +10.1% 1Q +6.1% +0.2% +12.5% +10.6% +12.2% 2015年 2Q 3Q +6.4% +6.1% +2.4% +15.7% +21.4% +14.5% +5.1% +9.8% +12.6% +16.2% 4Q +6.5% +15.8% +13.3% +10.9% +14.9% 2016年 4Q +7.0% +9.9% +23.8% +6.6% +16.2% ▼貿易収支(10億ペソ) ▼株価(フィリピン総合指数) *5月9日に行われた大統領選挙では、ダバオ市長のドゥテルテ氏が、アキノ現大統領が後継者に 指名したロハス氏らをおさえて当選した。一部の報道、とりわけ日本のメディアはドゥテルテ氏に関 して総じて批判的であり、その過激な発言ゆえに、 「フィリピン版トランプ氏」的な報じ方をし、経済 政策が不透明とも指摘している。一方、フィリピンの株式市場はドゥテルテ氏の当選を歓迎というよ りも、4月以降は多少の手控え要因となっていた大統領選挙というイベント通過に伴って投資家が 再度活発に動き出したことを受けて、フィリピン総合指数は選挙後に大きく上昇、昨年8月11日以 来の高値を付けている。ドゥテルテ氏は、在任6年間の平均で6%を超える高成長を成し遂げたア キノ政権の経済政策を踏襲するとみられるが、その経済運営の手腕に対しては、前述の報道のよ うなネガティブな方向に偏った見方は公正さを欠くのと同様に、現時点で過度の楽観的も不要で あり、基本的には7月1日の就任以降の景気の動向に基づいて評価することになろう。 (文責:勇崎 聡) 1/1 (フィリピン国家統計局、Bloombergより髙木証券作成) 《ご注意いただきたいこと》当資料は投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資の最終決定はご自身でなさるようお願い いたします。当資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、その正確性・完全性を保証するものではありませ ん。株式、債券、投資信託等は、価格の変動や発行者の信用状況の悪化等により投資元本を割り込むおそれがあります。また、当資料の いかなる部分も一切の権利は髙木証券に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転 送等を行わないようお願いいたします。 当社で取り扱う商品等へのご投資には、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、お客様向け資料等をよく お読みください。 商号等:髙木証券株式会社 金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第20号 【広告審査済】 加入協会:日本証券業協会 髙木証券インターネットホームページ:http://www.takagi-sec.co.jp/
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