オーストラリア運用チームが語る同国の投資環境(マクロ経済編)

<スペシャル・レポート>
2016年3月8日
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
オーストラリア運用チームが語る同国の投資環境(マクロ経済編)
2016年3月、レッグ・メイソン傘下でオーストラリア株式の運用を手掛ける
マーティン・カリー・オーストラリアから、株式運用チーム責任者のリース・
バートルズ、マルチ戦略ポートフォリオ・マネジャーのウィル・ベイリスが来
日しました。オーストラリアの投資環境についてインタビューを行いました
ので、3回に分けてご紹介します。第1回のテーマは「オーストラリアの投
資環境(マクロ経済編)」です。
豪州経済の足元の状況について教えてください。
2.9
3
2016年は+2.9%、2017年+3.1%と、主要国の中でも安定
した成長が続くと予想されています(先進国の実質GDP成長
ポートフォリオ・マネジャー
ウィル・ベイリス
図1: 主要先進国の実質GDP成長率予測
4 (%)
『国際通貨基金(IMF)による豪州の実質GDP成長率は、
株式運用責任者(CIO)
リース・バートルズ
2016年
2017年
3.1
2.6 2.6
2.2 2.2
2
1.7 1.7
率予想は、2016年・2017年ともに+2.1%)。』(図1)
『オーストラリア統計局が3月2日に発表した2015年10~12
豪州
市場予想を上回る堅調な結果となりました。』
『豪州の主要輸出品である鉄鉱石の価格は2011年2月を
ピークに約70%下落(2016年2月末時点)しました。鉄鉱石価格
が下落する中で、豪州準備銀行(RBA)が段階的に金利を引
き下げたことにより、豪ドル為替相場は下落傾向が続きました。
一方で、低金利と豪ドル安を背景に個人消費や住宅・観光と
いった内需が堅調に拡大するなど、資源から非資源への移
行が進んでおり、鉄鉱石価格の下落と反して、豪州の実質
GDPは安定して上昇傾向となっています。」(図2)
それでは、中国の景気減速による豪州経済への影響につい
てはどうお考えですか?
0.3
0
月の実質GDPは、前期比0.6%増(前年同期比3.0%増)と
豪州というと資源のイメージが強くありますが、資源価格下落
による為替と経済への影響について教えてください。
1.0
1
米国
1.2
1.0
(米ドル/トン)
豪ドル米ドルレート
(左軸)
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
3,494
3,549
3,608
3,675
これら産業への中国の景気減速の影響は限定的と考えま
す。』
200
3,797
3,858
4,002
3,917
4,070
4,152
150
100
50
0
豪実質GDP(億豪ドル)
(0.2)
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
(出所)ブルームバーグ、2009年初~2016年2月末
※実質GDPは2015年第4四半期まで(四半期毎)
-50
2016 (年)
図3:豪州GDPの産業別構成
農林水産
2%
第1次産業
鉱業
9%
第3次産業
その他
31%
建設
8%
第2次産業
製造
7%
金融・保険
9%
3次産業)を中心とする内需型産業が豪州経済の成長の原
旅行業や教育などの内需関連企業が堅調に成長しており、
300
250
鉄鉱石価格(右軸)
る割合は10%を下回っており、約70%を占めるサービス業(第
動力となっています(図3)。インフラ関連企業や消費関連、
日本
図2:鉄鉱石価格と豪ドル為替、実質GDPの推移
すが、短期的には、中国市場の影響を受けて鉄鉱石などの
ています。しかし、資源(鉱業セクター)が豪州のGDPに占め
ドイツ
(米ドル)
『足元では鉄鉱石価格もリスクオフ解消で上昇に転じていま
商品価格や株式市場の変動性が高まる可能性があると考え
英国
(出所)ファクトセット、IMFによる予測値
小売
5%
運輸・郵便・倉庫
5%
医療・社会扶助
7%
専門・科学・技術
教育・訓練
サービス
5%
行政・国防
6%
6%
(出所)オーストラリア統計局、2014年度(2014年7月~2015年6月)
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて
作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す
るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ
こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で
配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
<スペシャル・レポート>
2016年3月8日
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
オーストラリア運用チームが語る同国の投資環境(マクロ経済編)
豪州の堅調な内需拡大の原動力はどこにあるのでしょうか?
『豪州の内需拡大の要因の一つに、安定した人口増加があ
げられます。豪州では安定した自然増加に加えて、積極的
な移民の受け入れにより人口が増加しています。2050年ま
図4: 主要国の人口増減率の比較
(%)
50
40
40
30
30
でに約40%増加(2015年比)する見通しとなっており、先進国
20
の中で際立って高い増加率となっています。』(図4)
10
15
0
『安定した人口増加は住宅需要や生活を支えるモノの需要
を長期的に押し上げる効果があります。小売売上高は、過
-10
去10年以上にわたりプラス成長が続いており、個人消費が
-20
安定的に拡大していることが窺えます(図5)。また2015年に
21
-15
-10
-8
-2
日本
ロシア
ドイツ
中国
ブラジル
米国
インド
(出所)国連人口部、 2015年~2050年
オースト
ラリア
豪ドル安が進んだことによる観光客増加等の恩恵も個人消
図5: 豪州の小売売上高と住宅許可件数の推移
費に広がりつつあります。』
『人口増加による内需拡大などを背景に、豪州は1992年以
降24年連続してプラス成長を実現しており、今後も住宅市
場や国内消費、サービス業などを中心に経済は安定して成
長していくものと期待されます。』
300
(万件)
(億豪ドル)
2.5
住宅許可件数(右軸)
小売売上高(左軸)
250
2.0
200
1.5
150
1.0
豪州の足元の雇用環境についても教えてください。
『豪州では、資源ブーム後の鉱業セクターにおける雇用の弱
さから失業率の上昇が続いていましたが、足元では失業率
は低下傾向にあります。豪州全体の雇用者数については、
2015年以降安定して増加しています。』
『雇用の内訳を見てみると、鉱業部門では雇用調整圧力か
ら軟調な展開が続いていますが、不動産投資の活発化を背
景に建設業の雇用が底堅いほか、小売業など内需の堅調さ
を受けて広くサ-ビス関連全般で雇用拡大の動きが広がっ
ています(図6)。
商品価格のピークから5年が経過し、豪州経済の成長の原
動力が資源から非資源へと移る構造転換が進んでいること
が雇用環境からも窺えます。』
100
0.5
2005
2007
2009
2011
2013
2015 (年)
(出所)ブルームバーグ、 2005年1月~2016年1月
図6:豪州の産業別雇用者増減数
医療・社会扶助
専門・科学・技術
小売業
建設業
教育・訓練
宿泊・レストラン業
行政・国防
金融・保険業
その他サービス
リース・不動産業
管理・支援サービス
運輸・郵便・倉庫業
芸術・レクリエーション
農林水産業
電気・ガス・水道・ゴミ処理
情報メディア・電気通信
卸売業
鉱業
製造業 -10.4
7.4
6.3
4.9
4.1
3.8
3.3
2.3
2.2
2.1
1.9
1.8
1.6
0.0
-0.3
-2.8
-4.0
-14 -10 -6
-2
2
6
10.1
10
14
16.9
18
(万人)
(出所)オーストラリア統計局
※2012年11月と2015年11月の比較(季節調整済み)
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて
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