<マーケット・レター> 2014年10月10日 レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 米国株下落の背景と2015年に向けた注目点 足元での米国株軟調の背景 : ①米利上げ開始への懸念、②欧州景気の減速、③控えめな7-9月期決算見通し。 当面はFOMC(10月28-29日)や7-9月期決算、中間選挙(11月4日)を控え、投資家の様子見姿勢が続く可能性。 足元の株価調整でも、景気回復や企業収益の面で米国株を支えるファンダメンタルズは引き続き安定を維持。 2015年は利上げ開始が見込まれるも、底堅い米国景気や企業収益回復が米国株式市場を下支えへ。 図1:米量的緩和局面とS&P500指数 9月以降、軟調に転じた米国株式市場 9月以降、米国株式市場が軟調地合いに転じています。 (ポイント) 2,500 QE1 主要株価指数のS&P500指数は8月末から10月9日まで に3.8%の下落となりました。足元での米国株の調整の背 景として、次の3つの要因を挙げることができます。 足元での米国株下落の3つの背景 (%) 10 QE2 QE3 2,000 8 S&P500指数 (左軸) 7 1,500 6 第一に、10月28-29日の米連邦公開市場委員会 (FOMC)において量的緩和第三弾(QE3)の終了が見込ま れる中、2015年の利上げ開始への懸念が投資家心理の 5 1,000 米10年国債利回り (右軸) 不安要素となっていると考えられます。過去、量的緩和第 一弾(QE1)および第二弾(QE2)の終了前後にも米国株 500 0 日公表の世界経済見通しにおいて、ユーロ圏と日本など される傾向にある点が挙げられます(図2)。10月9日時点 09 10 11 12 13 14 図2:S&P500指数の一株当たり利益(EPS) アナリスト予想コンセンサスの推移 第三に、10月8日の米アルミ大手アルコア決算を皮切り 7-9月期の米企業収益に対するコンセンサスが下方修正 08 (出所)ブルームバーグ (注)QEは量的緩和期(第一弾~第三弾)を示す。 (期間)2007年1月1日~2010年10月9日 を中心に世界経済の成長率見通しを引き下げました。 に本格化する7-9月期の米国企業の決算発表を前に、 0 07 第二に、欧州など海外景気の減速リスクも、米国株の重 3 1 米政策金利(右軸) 式相場は不安定化しやすい傾向がみられます(図1)。 4 2 が一時的に調整したように、金融政策の転換局面では株 石となっている模様です。国際通貨基金(IMF)は10月7 9 (米ドル) 34 33 2015年4-6月期 EPS予想 で、S&P500指数採用企業の7-9月期の一株当たり利益 (EPS)の予想コンセンサスは、米ドル高や海外景気減速 32 の影響への懸念などから、前年同期比+5.8%と業績回復 は控えめの見通しとなっています。 当面はFOMC、米企業決算、中間選挙に注目 31 30 また、今後のスケジュールとしては、①10月28-29日の FOMCや、②10月中旬~11月の米7-9月期決算発表、 29 2014年第10-12月期 EPS予想 2014年7-9月期 一株当たり利益(EPS)予想 業績予想 下方修正 ③11月4日の米中間選挙などの重要イベントが控えており、 2015年に向けた米国の金融政策、企業収益、政治動向 の見通しを探るため、当面は米株式市場関係者が様子見 姿勢を維持する可能性があります。 28 2014年1月 2014年4月 2014年7月 2014年10月 (出所)ファクトセット (期間)2014年1月1日~10月9日 ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて 作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で 配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。 <マーケット・レター> レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 米国株を支えるファンダメンタルズは安定を維持 図3:米国・ユーロ圏・日本の実質GDP成長率 足元での株価の調整でも、米国株を支えるファンダメン 5 タルズ(基礎的条件)は依然として安定を維持してると考 4 えられます。2015年に向けては、次の3つの点が米国株 3 の見直し材料として注目される可能性があります。 ①米国経済の堅調な回復が予想される 第一に、2015年以降、米国景気は堅調な回復が見込 米国 -1 は+1.7%(7月時点)から+2.2%へ引き上げ、2015年も -5 1.3 1.7 0.8 0.8 0.8 14 16 ユーロ圏 -2 -4 3.0 0.9 1 き下げたものの、米国の2014年の実質GDP成長率見通し 3.1 2.2 0 -3 ②景気や企業収益の回復を伴う緩やかな利上げ の場合、米国株への悪影響は限定される可能性 IMF予想 2 まれています。IMFは欧州や日本の経済成長見通しは引 +3.1%と安定した景気回復を予想しています(図3)。 (%) 日本 -6 05 06 07 08 09 10 11 13 12 15 (出所)国際通貨基金(IMF)「世界経済見通し」(2014年10月) 図4:2004~2006年の米利上げ期の米国株 (ポイント) 第二に、2015年は年央頃にも米連邦準備制度理事会 1,500 (FRB)による利上げ開始が予想されます。一般的には利 (%) 8 (利上げ局面) 1,400 7 S&P500指数 (左軸) 上げは株式市場にとってマイナス要因と考えられています 1,300 6 が、米国景気や企業収益の回復を伴う緩やかな利上げの 1,200 5 環境であれば、米国株へのマイナスの影響も限定的に留 1,100 4 1,000 3 まる可能性があります。 2004~2006年の米利上げ期の経験では、利上げ開始 900 前後には金融政策の転換への不透明感から米国株の変 800 動性が高まったものの、FRBの利上げが予想可能なものと 700 1 0 01 なるに従って、米国株も底堅さを取り戻しました(図4)。 2 米政策金利 (右軸) 02 03 04 05 06 (出所)ブルームバーグ (期間)2001年1月1日~2006年12月31日 ③業績相場への移行が米国株の下支えへ 2015年以降は、企業収益の回復による業績相場への 移行が米国株を下支えすると期待されます。足元で下方 修正傾向にあるS&P500指数の一株当たり利益(EPS)で すが、2015年以降は二桁増益が予想されています(図 5)。業績回復に伴い、米国企業による増配(配当成長)も 継続する可能性が高いとみられています。 欧州・中国景気の動向や地政学リスクには留意 一方で、2015年に向けての米国株のリスク要因としては、 ①欧州景気停滞の長期化(デフレ・リスク)や、②中国景 気と資源価格の動向、③中東・ウクライナ等の地政学的リ 図5:S&P500指数の一株当たり利益と配当 (米ドル) 160 (米ドル) 50 +11.8% 140 120 100 一株当たり利益(左軸) +11.2% 45 +7.9% 前年比 +5.4% 40 35 80 30 60 25 40 20 20 15 一株当たり配当(右軸) 0 10 04 05 06 スク、などに引き続き留意する必要があると考えられます。 (出所)ファクトセット 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (注)2014-16年は予想コンセンサス(2014年10月9日時点) ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて 作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で 配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
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