<マーケット・レター> 2015年12月21日 レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 ブラジル:レビィ財務相が退任し、後任にバルボサ氏就任へ ルセフ大統領は12月18日、レビィ財務相の退任を公表。後任にはネルソン・バルボサ企画予算相が就任予定。 2016年の予算目標引き下げが政権内の意見対立を招いた可能性。政権にとって財政政策への信認回復が急務に。 バルボサ次期財務相は12月18日の会見で財政規律の維持を表明。今後はバルボサ氏の財政政策運営に注目。 バルボサ氏は、政権内で政策調整能力を発揮すると同時に、財政健全化を巡る議会との交渉推進が期待される。 図1:ブラジル・レアル相場の推移 レビィ財務相が退任、後任にバルボサ企画相 ブラジルのルセフ大統領は12月18日、レビィ財務相が 退任し、後任にネルソン・バルボサ企画予算相が就任す る人事を公表しました。財務相の辞任観測が浮上してい た12月18日の金融市場では、レアル相場は対米ドルで1 (レアル) 2.50 (円) 48 46 対米ドル相場(右軸) 44 2.75 3.00 米ドル=3.98レアル(対円では1レアル=30.40円)へ下落 42 3.25 しました(図1)。また、ブラジル株式相場もボベスパ指数 40 3.50 は前日比3.0%の下落となりました。 38 3.75 36 4.00 予算修正が政権内の意見対立を招いた可能性 ブラジル政府は12月15日、2016年の基礎的財政収支 34 レアル高 の黒字目標をGDP比0.5%へ引き下げる修正予算案を議 32 会へ送付しており、財政目標の修正が政権内部での意見 30 対立を招いた可能性があります(図2)。財政目標引き下 げの翌日には格付会社フィッチがブラジルの長期信用格 4.25 対円相場(左軸) 4.50 4.75 レアル安 28 15年1月 5.00 15年4月 15年7月 15年10月 付を「BB+」へ引き下げており、ルセフ政権にとっては財政 (出所)ブルームバーグ (期間)2015年1月1日~12月18日 政策への信認回復が急務となっています。 図2:ブラジル財務相交代に至るまでの主な出来事 バルボサ次期財務相は財政規律の維持を表明 レビィ財務相の辞任によって財政健全化策が後退すると の市場の懸念に対して、次期財務相のバルボサ氏は12 月18日の記者会見において、財務相の交代後も財政規 律を維持し、経済政策の継続性を守る意向を表明しまし た。厳格な財政緊縮策を主張するレビィ財務相と比較す ルセフ大統領が2016年の基礎的財政収支の黒字目標 12月15日 をGDP比0.5%へ引き下げる修正予算案を議会へ送付 (従来目標は同0.7%)。 格付会社フィッチがブラジルの長期信用格付(外貨建 12月16日 て・自国通貨建て)を「BBB-」から投機的等級の「BB+」 へ引き下げ(格付見通しは「ネガティブ」)。 ると、バルボサ氏は歳出増にも柔軟な姿勢を持っていると ブラジル議会が2016年度の修正予算案を承認。 みられており、今後、バルボサ財務相のもとでの財政政策 運営に注目が集まります。 12月17日 国家金融審議会(CMN)の月例会合において、レビィ財 務相が事実上の辞任を表明。 また、過去にブラジル財務省の経済政策局長や財務副 大臣などの経歴を持つバルボサ氏は、ルセフ大統領や与 党・労働者党(PT)幹部との良好な関係を築いているとみ 12月18日 ルセフ大統領はレビィ財務相が辞任し、後任にネルソ ン・バルボサ企画予算相が就任する人事を公表。 られています。バルボサ氏は、政権内での政策調整能力 を発揮し、銀行小切手税(CPMF)などの財政健全化策を 巡る議会との交渉を推進することが期待されます。 12月21日 バルボサ財務相の就任予定。 (出所)各種報道 ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて 作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で 配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
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