オーストラリア運用チームが語る同国の投資環境(株式編)

<スペシャル・レポート>
2016年3月10日
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
オーストラリア運用チームが語る同国の投資環境(株式編)
2016年3月、レッグ・メイソン傘下でオーストラリア株式の運用を手掛ける
マーティン・カリー・オーストラリアから、株式運用チーム責任者のリース・
バートルズ、マルチ戦略ポートフォリオ・マネジャーのウィル・ベイリスが来
日しました。オーストラリアの投資環境についてインタビューを行いました
ので、3回に分けてご紹介します。第2回のテーマは「オーストラリアの投
資環境(株式編)」です。
豪州株式市場の特徴について教えてください。
『オーストラリア証券取引所では上場株式の5割以上を配
当利回り5%以上の銘柄が占め、豪州株の平均配当利回り
は5.3%と相対的に高い水準にあります(2016年2月末時点)。
欧州や日本における量的緩和やマイナス金利の導入など
5.3
4.8
5
4
3
2.3
2.2
2
1.7
1
0
利上げペースの減速も見込まれる中、安定したインカム収
-1
-0.1
豪州株
入を期待する投資家にとって、豪州株の相対的な魅力が
豪州リート
米国株
日本株
米国
日本
10年国債 10年国債
(出所)ブルームバーグ、2016年2月末時点
豪州株:S&P/ASX200指数、豪州REIT:S&P/ASX300 REIT指数、
米国株:S&P500指数、日本株:TOPIX
高まっています。』(図1)
『日本株と豪州株の長期パフォーマンスの比較では、豪州
図2: 日豪株式の長期トータルリターン比較
400
オーストラリア株(配当込トータルリターン)
オーストラリア株(配当なしリターン)
日本株(配当込トータルリターン)
日本株(配当なしリターン)
定した相対的に高い配当収入が豪州株式投資の大きな
魅力となっていることが確認できます。』(図2)
ポートフォリオ・マネジャー
ウィル・ベイリス
図1:利回り比較
(%)
6
多くの国で利下げ等の緩和的な政策が維持され、米国の
株のパフォーマンスに占める配当収入の割合が大きく、安
株式運用責任者(CIO)
リース・バートルズ
300
314
配当の力
現在の豪州の株価水準についてはどのようにお考えですか?
200
158
『株価の割安度の目安として、ウォーレン・バフェット氏が使
97
100
用している国民総所得と時価総額の比較を見てみましょう。
76
※2000年1月末を100として指数化
米国では、国民総所得は過去15年間に年率3.8%成長
0
2000
する中、足元の株式時価総額は国民総所得の1.28倍と
なっています。一方で、豪州では、同期間に国民総所得
が年率5.9%成長する中、足元の株式時価総額は国民総
所得の0.96倍に留まっています(図3)。このように、オース
トラリアでは経済が成長しながらも、株価は米国株と比較し
てより割安な水準にあると考えます。』
『また、豪ドル安により豪州企業に割安感が生まれており、
2015年の豪州企業向けM&A取引額の約7割を海外企業
による投資が占めています。業績が堅調な豪州企業への
買収拡大は、豪州株式市場の活性化に繋がると期待され
ます。』
2002
2004
2006
2008
2010
2012
2014
(出所)ブルームバーグ、2000年1月末~2016年2月末
※オーストラリア株:S&P/ASX200指数、日本株:TOPIX
(兆米ドル)
30
図3:国民総所得と株式時価総額
2016
(年)
(兆豪ドル)
米国 株式時価総額(左軸)
米国 国民総所得(左軸)
豪州 株式時価総額(右軸)
豪州 国民総所得(右軸)
25
20
3.5
3.0
2.5
15
2.0
10
1.5
5
1.0
0
2001
2003
2005
2007
2009
2011
2013
0.5
2015 (年)
(出所)ファクトセット、2001年1月~2015年12月
※時価総額は、豪州はオーストラリア全普通株指数、米国は米国に
上場している全企業の時価総額を使用
※2015年10月以降の米国の国民総所得は予測値
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて
作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す
るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ
こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で
配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
<スペシャル・レポート>
2016年3月10日
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
図4:市場シェアの比較
豪州株の中で注目するセクターを教えてください。
実物資産
『昨年7月の来日時にもお話しましたが、豪州株の中でも、
寡占的な産業構造から高い価格競争力を誇り、安定的な
キャッシュフローを生み出すことのできる内需関連の企業
に引き続き注目しています』(図4)。
『中でも、生活に不可欠なガスや電気等の公益事業、有
料道路・空港などのインフラ関連企業、住宅・店舗など、
人口増加の恩恵を受けやすい実物資産を有するセクター
首位(APAグループ)
=70%
1,500社すべて
10%以下
空港
(航空交通量)
首位(シドニー)
=26%
首位(アトランタ)
=6%
有料道路
(km換算)
首位(トランスアーバン)
=54%を所有、73%を
運営
首位(フロリダ州)
=14% を所有・運営
大型ショッピン
グセンター
上位2社
=11%
上位2社
=4%
損害保険
上位3社
=61%
上位3社
=21%
スーパー
マーケット
上位3社
=83%
上位3社
=50%
生み出しており、景気サイクルの影響に対して耐性がある
(出所) マーティン・カリー・オーストラリア、2015年12月末時点
と考えます。また、実物資産の利用料や賃料はインフレに
連動して値上げをすることが可能で、今なお2%のインフレ
が続いているオーストラリアでは、利用料や賃料が上昇し
やすい構造にあります。』
『また、豪州リートについては寡占率の高いショッピングセン
米国
ガス輸送
パイプライン
に注目しています。インフラ関連企業および店舗などの実
物資産は、利用料や賃料など安定的なキャッシュフローを
豪州
図5: 豪州株の産業別パフォーマンス
150
公益事業
130
資本財・サービス
110
ターなどの店舗用不動産が5割以上を占めており、今後も
個人消費拡大の恩恵を受けるセクターと考えます。』
一般消費財・サービス
90
素材
豪州の企業業績の見通しについて教えてください。
70
エネルギー
『2014年以降の産業別の株価パフォーマンスを見ると、資
源価格下落の影響を受けて素材やエネルギー産業などの
※2014年初を100として指数化
50
2014/1
セクターが軟調な推移となる中、内需型のサービス業は個
2014/7
2015/1
2015/7
(年/月)
(出所)ブルームバーグ、2014年1月初~2016年2月末
※セクターは、ASX200産業別指数(配当込)
人消費拡大の恩恵を受け堅調なパフォーマンスとなりまし
図6:豪州株の一株当たり利益(EPS)の推移
た。』(図5)
400
(豪ドル)
『2015年の豪州企業の収益は、資源セクターが大幅に減
予測値
速するなど、前年から縮小しました。資源価格の低迷から
311
300
243
同セクターの企業収益の変動性が増す一方で、内需関連
企業を中心にした非資源セクターが企業収益の主導役と
2016/1
264
262
2013
2014
342
231
200
なることが期待されます。ブルームバーグ集計の予想コン
センサスによれば、豪州の企業収益は2016年から2017
100
年に向けて回復基調が続くと見込まれています。』(図6)
0
2012
2015
2016
2017 (年)
(出所) ブルームバーグ、2012年~2017年
※豪州株:S&P/ASX200指数
※予測値は、2016年3月2日時点のブルームバーグのコンセンサス値
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