足元の米国景気動向と米国株式の投資環境

<マーケット・レター>
2015年4月22日
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
足元の米国景気動向と米国株式の投資環境
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米国景気は2015年1-3月期に港湾ストや悪天候によって減速した後、4-6月期以降、回復基調を取り戻す見通し。
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米景気が弱含む中、米国株は緩やかな上昇を維持。米利上げ観測後退や、欧州・中国の金融緩和が株価を下支え。
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米企業の第1四半期決算は好調な滑り出し。米国株の業績相場移行には、景気回復の売上高への波及が必要に。

2015年後半には米企業の収益回復基調が強まる見通し。今後はM&Aなどキャッシュの有効活用も注目テーマに。
図1:米国の実質GDP成長率の実績と予想
米国景気は4-6月期以降、安定成長に回帰へ
米国景気は2015年1-3月期に特殊要因などから一時
的に減速した後、4-6月期以降、回復基調を取り戻す公
算が高まりつつあります。
米国の1-3月期の実質GDPは、西海岸での港湾ストライ
(%、前期比年率)
6
5
4
キや悪天候などの影響から前期比年率+1.4%へ減速が
2.7
3
予想されています(図1)。しかし、製造業や小売業など幅
2
広い業種に影響が及んだ港湾ストは2月20日に労使間で
1
暫定合意が結ばれており、停滞した物流網は徐々に正常
化に向かい始めています。一時的な景気抑制要因の剥
落によって、4-6月期以降、米景気は年率3%前後の安
定成長路線に回帰する見通しです。
また、米エネルギー情報局(EIA)の予測によれば、
国内外の緩和的な金融環境が米国株を下支え
米景気が弱含む中、S&P500指数は2,100ポイント前後
の史上最高値圏にあり、緩やかな上昇基調を維持してい
ます(図2)。足元では、国内外の緩和的な金融環境が米
国株の下支えに寄与している面もあると考えられます。
米国では、米景気停滞を受けて連邦準備制度理事会
-2.1
2013
2014
2015
2016
(出所)米商務省、ブルームバーグ (注)予想は4月21日時点。
図2:S&P500指数と米長短金利の推移
(ポイント)
2,250
(%)
9
2,000
8
S&P500指数(左軸)
1,750
7
1,500
6
1,250
5
1,000
500
中国景気下支えのための金融緩和姿勢を強めています。
予想コンセンサス
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q
年国債利回りは2%を下回る低水準にあります。
央銀行)が預金準備率の大幅引き下げを決定するなど、
2.7 2.8 2.8
1.4
-3
750
和策を継続している上、4月19日には中国人民銀行(中
3.1 3.0 3.0
2.2
-2
(FRB)による早期の利上げ観測が後退しつつあり、米10
一方、海外では、欧州中銀や日本銀行が量的金融緩
3.5
-1
価格下落による個人消費への恩恵は今後本格的に顕在
(*)1米ドル=120円換算。1ガロン=3.785リットル。
西海岸港湾ストライキや
悪天候などの影響
0
ラー・ガソリン平均価格は1ガロン=2.45米ドル(1リットル=
化することが期待されます。
5.0
1.8
2015年夏場のドライブ・シーズン(4月~9月)のレギュ
77.7円*)と前年を31.8%下回るとみられており、ガソリン
4.6
4.5
米10年国債利回り
(右軸)
4
3
2
250
1
米政策金利(右軸)
0
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
0
15 (年)
(出所)ブルームバーグ (期間)2005年1月1日~2015年4月21日
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作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す
るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ
こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で
配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
<マーケット・レター>
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
図3:S&P500指数採用企業の四半期決算発表
におけるポジティブ・サプライズ比率
米企業の第1四半期決算は好調な滑り出し
足元で米国企業の2015年第1四半期決算は概ね好調 90
な滑り出しとなっています。4月21日時点でS&P500指数
採用企業のうち103社が決算公表を行っており、うち
78.6%の企業(81社)は一株当たり利益が市場予想を上
回る結果となりました(図3)。
一方、米景気低迷の影響などから、第1四半期の売上
(%)
一株当たり利益の
ポジティブ・サプライズ比率
80
70
60
50
高が市場予想に届かない米企業が大半を占めるなど、業 40
績内容については十分とは言えない面もあります。米国株
式市場が業績相場へ移行するには、米景気の回復が売
上高へ波及し始めることが必要となりそうです。
年後半には米企業の増益基調が強まる見通し
4月17日時点のコンセンサスによれば、S&P500指数採
用企業の2015年第1四半期の一株当たり利益は前年比
-2.7%の減益に転じるとの予想がされています(図4)。こ
れは原油価格急落を受けたエネルギー・セクターの大幅
減益(前年比-63.6%)が全体の利益を大きく押し下げて
いることが要因と考えられます。
エネルギー・セクターを除けば、2015年第1四半期の
S&P500指数採用企業の一株当たり利益は前年比
+5.5%の増益が維持されると見込まれています。2015年
30
2009
数採用企業の配当総額は2014年第4四半期に過去最
兆円*)へ拡大しており、保有キャッシュの有効活用に対
する株主からの注目が高まる可能性があります。
2011
2012
2013
2015 (年)
2014
図4:S&P500指数採用企業の一株当たり利益予想
(前年比、%)
16
S&P500指数
14
S&P500指数(除くエネルギー)
12
10
9.2 10.0
7.8
8
6.3
5.5 5.6
4.6
6
4
1.7
2
0
-2
-2.7 -1.9
-4
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2014年
2Q
3Q
4Q
1Q
2015年
2Q
3Q
2016年
図5:S&P500指数採用企業の手元資金と株主還元策
(10億米ドル)
(10億米ドル)
300
250
200
手元資金残高
(現金・短期証券、右軸)
買いなど株主還元策に加え、合併・買収(M&A)や設備投
する株式市場からの評価のポイントとなると見込まれます。
1,000
800
100
(*)1米ドル=120円換算。1ガロン=3.785リットル。
600
400
50
0
1,600
1,200
150
資などによる成長戦略を打ち出せるかが、米国企業に対
1,800
1,400
自社株買い(左軸)
特に最近の米ドル高の中で、米国企業は海外企業に対
する買収余力を増しつつあります。今後は配当や自社株
4Q
(出所)ファクトセット
(注)2015年1Q以降は予想コンセンサス(4月17日時点)。
高額を更新しました(図5)。同時に、これら米国企業が抱
える手元資金残高は2014年末には1.6兆米ドル(約190
2010
(出所)ファクトセット (期間)2009年1Q~2015年1Q
(注)2015年1Qは4月21日時点で決算公表を行った103社ベース。
ポジティブ・サプライズ比率は決算で市場予想を上回った企業の割合。
増益基調が強まることが予想されます。
また、米国企業による株主還元策の面では、S&P500指
44.7%
売上高の
ポジティブ・サプライズ比率
後半には、米景気の安定成長などを背景に、米国企業の
キャッシュの有効活用への注目が高まる可能性
78.6%
配当(左軸)
200
0
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (年)
(出所)ファクトセット (期間)2000年1Q~2014年4Q
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作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す
るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ
こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で
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