<マーケット・レター> 2015年9月18日 レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 世界経済の動向を注視しFOMCは利上げ開始を見送り 世界経済の不透明感の高まりから、9月16-17日の米連邦公開市場委員会は利上げ開始の見送りを決定。 FOMC参加者は依然として2015年内の利上げ開始を想定。利上げへ向けた地ならしによる市場心理の安定に期待。 金融危機後に悪化した米財政状況の正常化進む。2016年の大統領選挙に向け経済政策の議論が進む可能性。 米国景気の底堅い回復が企業収益の改善に寄与し、米国株式市場の下支え要因となると期待される。 世界経済の不透明感から利上げ開始を見送り 図1:FOMC参加者の米経済見通し(中間予想値) 9月16-17日(現地時間)の米連邦公開市場委員会 (単位:%) 予想時点 (FOMC)では、政策金利(フェデラル・ファンド金利の誘導 目標)を0.00~0.25%で据え置く決定を下しました。 実質GDP成長率 (前年比) FOMC声明文では、「最近の世界経済と国際金融市場 の情勢は米国の経済活動を幾分抑制し、短期的にインフ 失業率 レ率への下押し圧力をかける可能性が高い」との指摘がな され、中国をはじめとした世界経済の不透明感に警戒姿 インフレ率 (前年比) 勢を示しました。 FOMC参加者は物価見通しを小幅下方修正 今回の会合で示されたFOMC参加者の米国経済見通し では、足元の米国景気の底堅い回復を反映し、2015年 (%) 4.00 3.50 3.00 の実質GDP成長率見通しが2.0~2.3%へ上方修正され 2.50 ました(図1上段)。一方、声明文でも指摘されたように、 2.00 2015~2016年のインフレ率の見通しは小幅下方修正さ 1.50 れる結果となりました。 1.00 FOMC参加者は年内の利上げ開始を想定 2015年 2016年 2017年 2018年 今回 2.0~2.3 2.2~2.6 2.0~2.4 1.8~2.2 2015年 6月時点 1.8~2.0 2.4~2.7 2.1~2.5 - 今回 5.0~5.1 4.7~4.9 4.7~4.9 4.7~5.0 2015年 6月時点 5.2~5.3 4.9~5.1 4.9~5.1 - 今回 0.3~0.5 1.5~1.8 1.8~2.0 2.0 2015年 6月時点 0.6~0.8 1.6~1.9 1.9~2.0 - FOMC参加者の政策金利見通し(中央値) (予想時点) 2015年6月 2.875 3.375 2015年9月 2.625 1.625 1.375 0.625 年間1%程度の緩やかな 利上げを想定 0.50 0.00 0.375 2015年末 また、FOMC参加者による2015年末の政策金利予想は 2016年末 2017年末 2018年末 6月時点の0.625%から0.375%へ引き下げられたものの、 (出所)米連邦準備制度理事会(FRB) (注)インフレ率は個人消費支出(PCE)価格指数。GDPとインフレ率は各年 FOMC参加者の多くは依然として年内の利上げ開始を想 第4四半期の前年比、失業率は第4四半期の平均。 定していることが示されました(図1下段)。今後は、10月 27-28日または12月15-16日のFOMCでの利上げ開始 の有無が注目されます。 利上げへの地ならしによる市場心理安定に期待 米国株式市場の市場心理を表すS&P500ボラティリティ 図2:米政策金利とVIX指数の推移 90 80 利上げ局面 株価の変動期待の高まり (市場心理の悪化) 70 60 50 (%) 9 8 7 米政策金利(右軸) VIX指数(左軸) 6 5 指数(VIX指数)は、8月下旬をピークに緩やかに低下傾向 40 にあるものの、足元でも20ポイントを上回るなど比較的高 30 4 い水準にあります(図2)。2004~2006年の利上げ局面 20 2 では利上げが軌道に乗るに従って市場心理の改善が進ん 10 1 だように、今後、利上げ開始に向けた地ならしが進む過程 0 0 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (年) で市場心理が安定に向かうことが期待されます。 3 (出所)ブルームバーグ (期間)2001年1月1日~9月17日 ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて 作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で 配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。 <マーケット・レター> レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 図3:米国の財政収支の実績と予測 金融危機から正常化へ向かう米国の財政政策 -2.8 -3.1 -2.4 -2.2 -2.1 -4.1 -6 -8 -6.8 CBO予測(2015年8月時点) -10 実績 -9.8 -8.7 -8.5 (年度) 金融危機後に大きく悪化した米国の財政状況の正常化が ブッシュ政権 (2001年1月~2009年1月) 顕著となっています(図3)。 オバマ政権 (2009年1月~2017年1月) 2017 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 -12 2008 字規模は2008年の金融危機以前の水準に縮小しており、 -1.1 2007 ル(GDP比-2.4%)へ上方修正しました。足元での財政赤 -1.8 2006 点の-4,856億米ドル(GDP比-2.7%)から-4,258億米ド -3.3 -3.4 -4 -2.5 2005 10月~2015年9月)の財政収支の予測を2015年3月時 -1.5 2004 の改善が予想以上に進んだことから、2015年度(2014年 -2 2003 米議会予算局(CBO)では、米国景気の回復により税収 0 2002 機後に膨らんだ財政赤字の削減が着実に進んでいます。 1.2 2001 一方、米国の財政政策の動向に目を転じると、金融危 (GDP比、%) 2 次期 政権 (出所)米議会予算局(CBO) (注)年度は前年10月~9月。 2016年は大統領選挙に向けた政策議論に注目 図4:米国の実質GDPと潜在GDPの推移 2015年9月から12月にかけては、2016年度の予算審 議や連邦債務上限の引き上げ問題など米国財政の解決 20 課題が残されているものの、2016年には11月の米大統 16 19 CBO予測 18 領選挙に向けた政策動向が市場の注目材料となると考え 12 られます。足元の米国財政状況の改善は、法人税改革な ど経済政策の議論の活発化を促す可能性があります。 (兆米ドル、2009年価格) (GDP比、%) 潜在GDP(①) 2008年 リーマン・ショック 8 16 実質GDP(②) 4 金融危機前の状況を取り戻しつつある米国経済 米国の財政状況改善の背景として、米国経済自体が金 融危機前の底堅さを回復しつつあることが指摘できます。 CBOの推定では、2008年の金融危機後は米国の実質 GDPは潜在GDPを大きく下回る傾向が続いてきたものの、 2015年から2017年にかけての景気回復に伴って、実質 GDPは潜在GDPへ近付くと予想されています(図4)。これ は言い換えると、米国が本来の実力通りの経済成長を取 0 0.0 -0.4 -4 -8 -2.7 -7.0 -5.8 -3.9 -5.5 -4.8 -4.8 -2.6 -1.5 14 -0.6 -0.5 -0.5 -0.5 13 12 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 (年) (出所)CBO (注)潜在GDPは資本や労働力を最大限利用した場合に 達成可能なGDPの水準。予測は2015年8月時点。 図5:S&P500指数の一株当たり利益伸び率予想 (単位:前年比、%) 企業収益の改善が米国株式の下支え要因に S&P500指数 予想時点 直近 1ヵ月前 ファクトセット集計の市場コンセンサスによれば、米主要 直近 2014年 実績 2015年 予想 2016年 予想 2017年 予想 5.9 0.8 10.1 11.1 - 1.3 10.7 11.0 -0.7 -58.3 9.8 42.8 - -55.5 20.3 38.7 6.8 7.6 10.2 9.7 - 7.9 10.2 9.6 エネルギー ルギー・セクターを除くベースで2015年が同+7.6%、 1ヵ月前 2016年が同+10.2%と安定した増益基調が予想されてい ます(図5)。米国景気の底堅い回復が企業収益の改善を 15 GDPギャップ(左軸、①-②) 0.2 り戻し始めていることを示唆していると考えられます。 企業(S&P500指数採用銘柄)の一株当たり利益は、エネ 17 直近 除くエネルギー 1ヵ月前 通じて、米国株式市場を下支えすると期待されます。 (出所)ファクトセット (注)予想は2015年9月16日時点のコンセンサス。 ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて 作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で 配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
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