ニュージーランド準備銀行は当面の利上げ休止を示唆

<マーケット・レター>
2014年7月24日
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
ニュージーランド準備銀行は当面の利上げ休止を示唆
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ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は4会合連続で0.25%の利上げを決定。政策金利は3.50%へ引き上げ。
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RBNZは当面の利上げ休止を示唆。市場では9月・10月会合での金利据え置きと、12月からの利上げ再開を予想。
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内需中心にニュージーランド経済は底堅さを維持。今後は景気回復によるインフレ圧力の高まりが予想される。
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当面のNZドルは、相対的な金利差によるNZドル高要因と、乳製品価格下落によるNZドル安要因の綱引き相場に。
図1:ニュージーランドの政策金利とインフレ率
RBNZは当面の様子見姿勢(利上げ休止)を示唆
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は、7月24日、政策
金利を0.25%引き上げ、3.50%とする決定を下しました
(図1)。RBNZによる利上げは、3月・4月・6月に続いて4会
(%)
9
合連続となりました。ウィーラー総裁は、「より中立的な水
7
準へ政策金利を引き上げる前に、今は(過去の利上げ効
6
果などの)評価を行うことが賢明」と述べ、当面の様子見
5
姿勢(利上げ休止)を示唆しました。
ただし、足元でもニュージーランド景気は底堅さを維持し
ていることから、RBNZは小休止を挟みながらも、2015年
ニュージーランド準備銀行
政策金利
8
政策金利
市場予想
CPI上昇率
(前年比)
4
4.50%
3.50%
3
にかけて緩やかな利上げを継続するものと予想されます。 2
直近のブルームバーグ集計のコンセンサス調査によれ
1
ば、次回9月11日および10月30日の金融政策会合では
0
ています。さらに2015年末には、RBNZの政策金利は
04
足元のニュージーランド景気は内需中心に堅調を維持
しています。RBNZの景気判断も、カンタベリーを中心とし
た建設需要の伸びや、移民流入による住宅・消費需要の
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(出所)ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、ニュージーランド統計局
(期間)政策金利(実績):2004年1月1日~2014年7月24日
消費者物価指数(CPI):2004年1-3月~2014年4-6月
4.50%に達するとの予想がなされてます。
内需中心に堅調が続くニュージーランド経済
1.6%
インフレ・ターゲット(現行は1~3%)
政策金利の据え置きが予想されており、12月11日の会合
以降、RBNZの利上げが再開されるとの見方が大勢となっ
2015年末
(予想)
図2:ニュージーランドの消費者信頼感と実質GDP
(前年比、%)
10
(中立=100)
150
140
8
消費者信頼感指数(右軸)
6
130
4
120
2
110
0
100
押し上げなどを背景に、「2014年のニュージーランド経済
は年率3.7%成長が予想される」と明るいものでした。
また、家計の消費意欲を示す消費者信頼感指数は7月
も132.7と引き続き高水準にあります。ニュージーランドの
実質GDP成長率は1-3月期の前年比+3.8%に続き、4-6
実質GDP成長率(左軸)
月期も個人部門中心に堅調な伸びが予想されます(図2)。 ‐2
90
物価動向に関しては、4-6月期の消費者物価指数
80
(CPI)は前年比+1.6%と伸びは緩やかなものの、今後は
‐4
景気回復によるインフレ圧力の高まりが見込まれます。
(出所)ニュージーランド統計局、ANZ銀行
(期間)消費者信頼感指数:2004年1月~2014年7月
実質GDP:2004年1-3月期~2014年1-3月
04
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07
08
09
10
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12
13
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<マーケット・レター>
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
当面のNZドルは、相対的な金利差と乳製品価格
下落の綱引き相場が続くと予想される
RBNZの政策決定を受けて、為替市場の反応は小幅の
NZドル安となりました。7月24日の日本時間11時30分現
図3:ニュージーランド・ドル相場の推移
(円)
90
(米ドル)
0.94
88
0.92
対円(左軸)
86
0.90
84
0.88
在、NZドル相場は対米ドルで1NZドル=0.86米ドル近辺、
82
0.86
対円では1NZドル=87.4円近辺で推移しています(図3)。
80
0.84
ウィーラーRBNZ総裁が声明文において、当面の利上げ
休止を示唆するとともに、最近の乳製品市況の調整を背
78
NZドル高
76
72
NZドル安の要因となったと考えられます。
70
2013年1月
にらみの展開が続くものと予想されます。
相対的に高い金利差はNZドルの下支え要因に
0.78
NZドル安
景にNZドル相場が下落する可能性にも言及したことが、
当面のNZドル相場は、金利差と乳製品価格の動向の両
0.80
対米ドル(右軸)
74
0.82
0.76
0.74
2013年7月
2014年1月
2014年7月
(出所)ブルームバーグ
(期間)2013年1月1日~2014年7月24日(日本時間11時30分)
図4:NZ・豪州・米国の10年国債利回りの推移
(%)
まず、金利差の面では、RBNZが当面の利上げ休止を示 6.5
唆したものの、3月以降の累計1.00%の利上げによって、
ニュージーランドは他の先進国と比較して相対的に高い金
利水準を維持しています。ニュージーランドの10年国債利
回りは7月23日時点で4.23%の水準にあり、米10年国債
利回り(2.47%)との金利差は1.76%、豪10年国債利回り
(3.41%)との金利差も0.82%へ拡大しています(図4)。
また、中期的にみても、ニュージーランドの政策金利は
2016年頃には中立水準とみられる5%近辺へ引き上げら
6.0
5.5
5.0
4.5
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
4.23%
豪州
米国
11
ただし、足元での乳製品価格の調整は、2013年後半に
かけて乳製品価格の高止まりが続いたことによって、世界
的な乳製品の供給量が増加していることが背景にあると
1,800
14
2013年初
ニュージーランドで
大規模な干ばつ発生
1,400
1,200
1,000
考えられています(図5)。引き続きアジアを中心に高品質
800
な乳製品への需要は底堅いとみられ、乳製品の供給増に
600
よる在庫調整が一巡すれば、乳製品価格は早晩安定化
400
するものと期待されます。
13
図5:乳製品の国際入札価格指数の推移
品である乳製品の国際入札価格が下落傾向にあることが、1,600
短期的にNZドル相場のリスク要因として浮上しています。
12
(出所)ブルームバーグ
(期間)2010年1月1日~2014年7月23日
世界的な供給増加により乳製品価格が下落
一方、2014年3月以降、ニュージーランドの主要輸出産
3.41%
2.47%
10
れると予想され、相対的に高い金利差の要因は今後もNZ
ドル相場の下支え要因となると期待されます。
ニュージーランド
世界的な乳製品の
供給増加による価格調整
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10
11
12
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(出所)GlobalDairyTrade
(期間)2009年1月6日~2014年7月15日
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