ニュージーランド準備銀行は当面の政策金利据え置きを示唆

<マーケット・レター>
2015年3月12日
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
ニュージーランド準備銀行は当面の政策金利据え置きを示唆

ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は政策金利を3.50%で据え置き。当面の金融政策の中立姿勢を維持。
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RBNZは国内経済に関する景気判断を維持。RBNZでは2015年度の実質GDPは+3.5%と底堅い成長を予想。

RBNZは貿易加重ベースでのNZドル高に言及。調整が進んだNZドルの対米ドル相場への警戒感は緩和した可能性。
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足元での乳製品市況の回復やニュージーランド国債の相対的な利回り水準の高さはNZドル相場の下支え要因に。
図1:ニュージーランドの政策金利とインフレ率
RBNZは当面の金融政策の中立姿勢を維持
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は、3月12日の政策
決定理事会において、政策金利を5会合連続で3.50%に
据え置く決定を下しました。
(%)
9
ウィーラーRBNZ総裁は声明において、「一定期間の政
7
策金利の安定が整合的」と述べ、政策金利を当面据え置
6
く中立姿勢を維持しました。実際、RBNZが政策決定と同
時に公表した金融政策報告によれば、先行きの金融政策
の中立姿勢を反映し、政策金利の目安となる90日物銀
90日物銀行間金利
消費者物価指数
(前年比)
4
3
の見通しが示されています(図1)。
2
RBNZは「国内経済は力強さを維持」と言及
1
述べるなど、ニュージーランド経済に関する景気判断を維
ニュージーランド準備銀行
政策金利
5
行間金利は2017年3月まで3.7%で横ばいで推移すると
もっとも、RBNZは「国内経済は力強さを維持している」と
RBNZ予想
8
3.50%
( 上限)
インフレ・ターゲット(中心値)
( 下限)
0
04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (年)
(出所)ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、ニュージーランド統計局
(期間)政策金利:2004年1月1日~2015年3月12日
消費者物価指数(CPI):2004年1-3月~2014年10-12月
価格下落や高水準のNZドルなどによるインフレ率鈍化や、
持しています。RBNZによる政策方針の中立化には、石油
世界的な金融緩和(通貨安競争)の拡大などの要因が影
図2:ニュージーランドの実質GDP成長率見通し
響しているとみられます。
RBNZは2015年度に3.5%の経済成長を予想
RBNZの金融政策報告によれば、ニュージーランドの実
質GDP成長率は2014年度の+3.2%から、2015年度には
+3.5%へ一段の景気拡大が予想されています(図2)。
RBNZはニュージーランド景気の押し上げ要因として、①
石油価格下落(家計の購買力改善、企業のコスト削減)、
②雇用・建設活動の堅調、③高水準の移民流入、④依
然として緩和的な金融政策、⑤オークランドを中心とした
住宅市場の回復の兆し、などを挙げています。
一方、RBNZは経済成長の抑制要因として、一部地域で
の干ばつの発生や、財政緊縮策、昨年来の乳製品価格
下落の影響、高水準のNZドルなどを指摘しています。
(前年比、%)
4
3
3.0
2
2.2
2.2
11
12
3.2
3.5
3.3
14
15
16
2.5
1.5
1
0
-0.3
-1
-1.6
-2
07
08
09
10
年度実績
13
年度予想
(出所)ニュージーランド準備銀行(RBNZ)
(注)年度は4月~翌年3月。予想はRBNZ(2015年3月時点)。
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レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
図3:主要通貨に対するニュージーランド・ドル相場
RBNZは貿易加重ベースのNZドル高に言及
(円)
NZドル高
今回、RBNZは為替相場の動向に関して、「貿易加重平
均した為替レートの観点では、NZドルは正当化できないほ
1.0
高への言及にシフトしたことは、NZドルの対米ドル相場への
中銀の警戒感が緩和している可能性を示唆しています。
0.9
実際、主要通貨に対するNZドル相場の推移を見ると、
0.8
2014年後半以降、米ドルに対してはNZドル安基調にある
70
60
対米ドル相場(左軸)
50
0.6
が顕著となっています(図3)。円に対してはNZドルは1NZド
対ユーロ相場(左軸)
0.5
2012年1月
ます。直近3月3日に行われた乳製品の国際競争入札で
は、乳製品総合価格指数は2014年12月の安値水準か
への毒物混入を示唆する脅迫事件が明らかとなっており、
今後の警察当局による捜査や、政府・業界による乳製品
2014年1月
2015年1月
図4:乳製品国際市況とNZドルの対米ドル相場
(米ドル)
(ポイント)
0.90
1,800
NZドル
対米ドル相場
(左軸)
0.80
ら約3割の上昇となりました(図4)。
3月10日にはニュージーランド乳業大手の粉ミルク製品
2013年1月
(出所)ブルームバーグ (期間)2012年1月1日~2015年3月12日
2015年初以降、乳製品の国際市況が回復基調に転じ
ていることは、NZドル相場の下支え要因になると考えられ
80
対豪ドル相場(左軸)
0.7
一方、足元では豪ドルやユーロに対するNZドル高の進行
乳製品市況の回復はNZドルの下支え要因に
90
(米ドル、ユーロ、
豪ドル)
NZドル安
ど高い」と述べました。RBNZが貿易加重ベースでのNZドル
ル=90円前後で安定的な推移を維持しています。
100
NZドルの対円相場(右軸)
1,600
1,400
0.70
1,200
0.60
1,000
800
への品質管理徹底などの対応を通じて、ニュージーランド 0.50
乳製品総合価格指数
(右軸)
産乳製品への信認が維持されるかが注目されそうです。
400
0.40
ニュージーランド国債は相対的な高利回りを維持
600
03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
(年)
(出所)GlobalDairyTrade、ブルームバーグ
また、主要先進国との金利差も、NZドル相場の安定に寄 (期間)2003年1月1日~2015年3月11日
図5:主要先進国の10年国債利回り
与すると考えられます。主要先進国の10年国債利回りを
比較すると、日本やドイツは1%を下回り、米国も2%前後
の水準にある中、ニュージーランドは3%台の相対的に高
い金利水準を維持しています(図5)。
米格付会社ムーディーズは3月5日、ニュージーランドの
底堅い経済成長がニュージーランド国債の「Aaa」格付を
下支えしているとの見方を改めて示しました。世界的に金
融緩和の拡大と国債利回りの低下が進む中、ニュージー
6
(%)
ニュージーランド
5
4
豪州
3.41%
3
2
ランド国債の信用力と利回りの高さは海外投資家による資
1
金流入を惹き付けるものと期待されます。
0
米国
2.59%
2.11%
ドイツ
0.42%
0.21%
日本
11
12
13
14
15
(年)
(出所)ブルームバーグ (期間)2011年1月1日~2015年3月11日
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