<スペシャル・レポート> 2015年2月12日 レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 オーストラリア拠点の運用チームが語る同国経済 2015年2月上旬、レッグ・メイソン傘下でオーストラリア株式の運用を手掛 ける「マーティン・カリー・オーストラリア」から、株式運用責任者のリース・ バートルズと、マルチ戦略担当ポートフォリオ・マネジャーのウィル・ベイリスが 来日しました。 そこで、豪ドルや金融政策、また同国経済についてインタビューした内容を スペシャル・レポートの形式でお伝えします。 Q:豪州政策金利が予想外の引き下げ。その目的は? A:豪ドル高の抑制と、国内景気の下支えと考えます。 株式運用責任者(CIO) リース・バートルズ氏 図1:豪州の政策金利とインフレ率の推移 (%) 8 豪州準備銀行(RBA)は2月3日の金融政策理事会におい て、予想外となる0.25%の利下げを決定し、政策金利を史上 最低水準の2.25%としました。RBA総裁は声明文の中で、豪 (注)基調インフレ率は消費者物価指数(CPI)の トリム平均値と加重中央値の平均により算出。 7 6 政策金利 (キャッシュ・レート) 州の内需の回復の遅れを指摘し景気下支えのための利下げ 判断であったことを明らかにしました。 加えて、RBAにとって気掛かりな点は、世界的に利回り低下 が起こる中で、オーストラリアの利回り水準が相対的に高いこ とから、豪ドルへの資金流入が起きており、この傾向は今後も 継続することが予想されるということです。 資金流入に伴う豪ドルの過度な上昇や、回復途上にある内 需への悪影響をRBAが懸念したことが、今回の利下げの背景 にあるのではないかと考えられます。 Q:最近の豪ドル安の注目点を教えて下さい。 5 4 州中銀(ECB)による量的緩和策導入等を背景に、RBAによ る利下げ観測が台頭しました。これを受けて1豪ドル=0.80米 ドルを下回る水準まで豪ドルは下落していますが、国内景気 への影響はプラスであると考えています。 豪ドル安は企業の収益改善要因となることが期待されるほ か、ガソリン価格の下落に伴う個人消費の回復という景気下 支え効果が期待されます。 1 05 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (年) 図2:豪ドルの対米ドル、対円相場の推移 (米ドル) (円) 120 1.2 対米ドルレート(右軸) 110 1.1 100 1.0 90 0.9 80 0.8 60 恩恵を享受すると推計されます。 06 (出所)豪州準備銀行、豪州政府統計局(ABS) (期間)政策金利:2005年1月1日~2015年2月10日 基調インフレ率:2005年1-3月期~2014年10-12月期 2014年平均の1リットル=1.49豪ドル(約134円*)から、最 年間で約70億豪ドル(約6,300億円*、GDP比0.4%)相当の 2 .3% 2 014年4Q インフレ目標レンジ(2~3%) 70 ガソリン小売価格が1.1豪ドルで推移した場合、豪州の家計は 2.25% 2 足元の原油価格下落により、豪州のガソリン小売価格は 近は1.1豪ドル(約99円*)近辺へと約3割下落しています。 基調インフレ率 (前年比) 3 A:国内景気へのプラス効果に注目しています。 足元では、カナダ中銀による1月の予想外の利下げや、欧 ポートフォリオ・マネジャー ウィル・ベイリス氏 豪ドル高 対円レート(左軸) 0.7 0.6 豪ドル安 50 06 07 08 09 10 11 12 13 14 0.5 15 (年) (出所)ブルームバーグ (期間)2006年1月1日~2015年2月10日 (*)換算レート:1豪ドル=90円 ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて 作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で 配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。 <スペシャル・レポート> レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 Q:最近のオーストラリアの景気動向はどうですか? 図3:鉱業・非鉱業の実質GDP成長率 A:経済成長の源泉が鉱業部門主導から非鉱業部門 へ移行している過程にあると考えています。 25 オーストラリア経済は鉄鉱石や石炭などの天然資源が 20 豊富で、アジア新興国からの資源需要の高まり等を背景 15 に100年に一度ともいわれる資源ブームを経験し、2011 年以降は鉱業部門における積極的な設備投資が景気拡 大を牽引しました。しかし、足元では、こうした経済成長の 構造に変化の兆しをみることができます。 2014年以降、資源開発ブームが一段落する中で、非 鉱業部門セクターに景気回復の動きがみられており、経 済成長の源泉は非鉱業部門に移行しつつあります(図3)。 金利低下の恩恵を受けて、足元のオーストラリアの住宅 市場は堅調さを維持しており、住宅建設許可件数は記録 的な高水準で推移しています(図4)。今後はRBAの利下げ (%) 30 鉱業部門 10 5 0 非鉱業部門 -5 1987 1991 100% 50% GDPに占める非鉱業部門の割合は約8割と高水準にあり、 前述の豪ドル安の恩恵も考えられることから、個人部門に 牽引された内需の回復は安定したオーストラリア景気拡 大に寄与することが期待されます。 Q:今後の雇用情勢の見通しはどうでしょうか? A:非鉱業部門の回復が雇用改善につながると 考えています。 オーストラリアの景況感指数と失業率の関係を見ると、 移行する過程にあるためと考えています。 ただし、足元の雇用環境は改善方向に向かっています。 2011 (年) 2007 2014年9月 83% 1991 1995 1999 2003 2007 2011 (年) (出所)マーティン・カリー・オーストラリア (期間)1987年6月~2014年9月 図4:住宅建設許可件数 20,000 (件) 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 2006/1 2008/1 2010/1 2012/1 2014/1 (年/月) (出所)オーストラリア統計局 (期間)2006年1月~2014年12月 図5:景況感指数と失業率 られます(図5)。最近の景況感指数のプラス推移は良い のは、豪州経済の牽引役が鉱業部門から非鉱業部門へ 2003 GDPに占める鉱業部門の割合 0% 1987 景況感指数がプラスのとき、失業率は低下する傾向が見 兆候だと考えていますが、失業率が低下傾向に転じない 1999 GDPに占める非鉱業部門の割合 による家計心理の改善から、個人消費の拡大への波及効 果が期待されます。 1995 景況感指数がプラスのとき、失業率は低下傾向 30 (%) 3 20 4 10 5 0 6 実際に、景気の先行指標とされる求人広告数は1月に前 月比+1.3%と、8カ月連続で増加しており、中でも経済規 模の大きいニューサウスウェールズ州などで改善が顕著 となっています。 今後は個人部門主導の内需の回復が景気拡大を牽引 するにつれて、失業率は安定し、徐々に低下傾向をたど ると考えています。 -10 失業率(逆目盛、右軸) 景況感指数(左軸) 7 -20 8 '00/12 '02/12 '04/12 '06/12 '08/12 '10/12 '12/12 '14/12 (年/月) (出所)ブルームバーグ (期間)2000年12月~2015年1月 ※景況感指数:NAB企業景況感指数(季調値) ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて 作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で 配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
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