<マーケット・レター> 2015年3月5日 レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 ブラジル中銀の追加利上げとレアル相場の動向 ブラジル中銀は0.5%の利上げを決定。レアル相場等の動向次第で、年内に0.25~0.5%の追加利上げの可能性も。 財政政策への不透明感や、ペトロブラス汚職問題、経済状況の悪化から、足元でレアル相場の下落基調が続く。 ルセフ政権は財政健全化の方針を維持しており、2015年にはプライマリー収支をGDP1.2%へ黒字化させる計画。 ブラジル国債利回りは13%前後で安定推移。海外投資家による債券投資の流入回復はレアル相場の下支え要因に。 ブラジル中銀は0.5%の追加利上げを決定 図1:主要新興国の政策金利の推移 ブラジル中央銀行は3月3-4日(現地時間)の金融政策 委員会(COPOM)において、大方の市場予想通り、0.5% 14 (%) の利上げを決定しました(図1)。ブラジル中銀の政策金利 は今回の利上げにより12.75%と2009年以来の高水準に 12.75% ブラジル 12 達しています。主要新興国でも中国やインドなどで金融緩 和の動きが拡大する中、ブラジル中銀はインフレ抑制のた 10 めの金融引き締め姿勢を示しています。 レアル等の動向次第では追加利上げの可能性も 今後の金融政策に関しては、市場関係者の間では年末 トルコ インド 8 中国 6 まで政策金利が12.75%で据え置かれるとの見方が大勢 となっています。ただし、足元で下落基調にあるレアル相 4 メキシコ 場等の動向次第では、年内に0.25~0.5%の追加利上げ が実施される可能性も残されていると考えられます。 2 09 レアル相場の下落基調が続く 3月4日の為替市場では、レアルの対米ドル相場は一時 は2013年8月以来となる1レアル=40円台まで調整して 【財政健全化への不透明感】 3月3日にルセフ政権が 提案した財政緊縮策(給与減税廃止)に関する大統領 令を上院議長が拒否。 12 13 14 15 (年) 図2:ブラジル・レアルの対米ドル、対円相場 (レアル) 1.0 (円) 70 レアル高 います。足元でレアル相場の下落基調が続いている背景 には、次の3つの点が挙げられます。 11 (出所)ブルームバーグ (期間)2009年1月1日~2015年3月4日 (注)中国の政策金利は1年物貸出基準金利。 は節目となる1米ドル=3.0レアルまで下落しました(終値 は1米ドル=2.98レアル、図2)。一方、レアルの対円相場 10 60 対米ドル相場 (右軸) 1.5 レアル安 50 2.0 40 2.5 【ペトロブラスの汚職問題】 米格付会社ムーディーズは 国営石油会社ペトロブラスの社債格付をジャンク級へ 30 引き下げ(2月24日)。また、検察当局は同社の汚職に 関与したとされる政治家への捜査を開始。 【経済状況の悪化】 中銀コンセンサス調査(2月27日 時点)では、2015年のブラジルの実質GDP成長率予 20 10 対円相場 (左軸) 3.0 3.5 4.0 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (年) 想は-0.58%へ下方修正される(4週間前は+0.03%)。 (出所)ブルームバーグ (期間)2001年1月1日~2015年3月4日 ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて 作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で 配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。 <マーケット・レター> レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 図3:ブラジル公的部門の財政収支の実績と計画 ルセフ政権は財政健全化を進める方針を維持 一方、3月3日に上院議長が財政緊縮策の大統領令を 拒否したことを受けて、既にルセフ大統領は同一内容の 法案を議会へ送るなど、ルセフ政権は引き続き財政健全 化を進める方針を崩していません。 ブラジル政府のプライマリー収支(利払い費を除く基礎 的財政収支)は2014年にGDP比-0.6%の赤字となったも のの、政府は緊縮型財政政策を進めることで、2015年に GDP比+1.2%、2016-2017年にGDP+2.0%までプライマ リー収支の緩やかな改善を図る計画です(図3)。 ブラジル国債利回りは高水準での推移が続く ブラジル中銀が利上げを継続する中、ブラジルの国債 (GDP比、%) 4 2 0 -0.6 -2 一時は国債格付への波及を懸念する見方もあったものの、 ルセフ政権が財政健全化方針を改めて表明したことや、 財政収支 -6 -6.7 -8 07 14 11 12 13 14 15 16 17 (年) (%) ブラジル2年国債利回り 13.00% 12.75% 12 11 9 リスクの波及は足元では限定的なものとなっています。 8 流入に回復の兆しがみられます。2015年1月の海外投資 10 13 主再建の計画を示したことなどから、国債利回りへの財政 家によるブラジルへの証券投資は、2015年に入ると資金 09 図4:ブラジルの政策金利と2年国債利回り 10 2014年末にかけて一時的に流出がみられた海外投資 08 (出所)ブラジル財務省 (注)プライマリー収支は利払い費を除く基礎的財政収支。 ペトロブラスは総額137億米ドル相当の資産売却による自 海外投資家による証券投資の流入に回復の兆し -2.7 -2.5 -4.1 -4 月4日時点で、ブラジル2年国債利回りは13.00%、10年 2月24日の国営石油会社ペトロブラスの格下げを受けて、 2.0 2.0 1.2 利回りは足元で高水準での推移が続いています(図4)。3 国債利回りは12.68%の水準にあります。 政府計画 プライマリー収支 ブラジル政策金利 7 6 10 11 12 13 14 15 (年) (出所)ブルームバーグ (期間)2010年1月1日~2015年3月4日 図5:海外投資家によるブラジルへの証券投資 家による証券投資は+97億米ドルの大幅な流入超となり (10億米ドル) 12 10 ブラジルへの (+80億米ドル)が占め、高水準の国債利回りが海外投資 資金流入 8 家による資金流入を促す要因となったと考えられます。 6 4 2 当面のレアル相場は不安定な展開が続く可能性 0 当面のレアル相場は、財政緊縮策を巡る政権と議会の -2 間での協議や、ペトロブラスの汚職捜査の進展次第によっ -4 ては不安定な相場展開が続く可能性があります。一方で、 -6 ブラジルからの -8 資金流出 ルセフ政権による中期的な財政健全化方針の維持や、 -10 13年1月 13年7月 金利差に着目したブラジルへの債券投資の流入はレアル ました(図5)。資金流入の大半は債券投資の純流入 相場の下支え要因になることが期待されます。 株式投資 債券投資 証券投資 14年1月 14年7月 15年1月 (出所)ブラジル中銀 (期間)2013年1月~2015年1月 ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて 作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で 配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
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