楽読 (ラクヨミ) 2015年3月19日 Vol.939 利上げを急いでいないことを示唆したFRB ~利上げ開始後には過度の懸念の反動も~ 米FRB(連邦準備制度理事会)は18日、FOMC(連邦公開市場委員会)の声明文から利上げの開始を“忍耐 強く”待つとの文言を削除するなど、早ければ6月の利上げに道を開きました。ただし、経済判断・見通しを下方 修正したことなどから、市場ではFRBが利上げを急いでいないとの見方が強まり、株価が大きく上昇したほか、 国債利回りが低下し、米ドルが売られる展開となりました。 FRBは今回、雇用は力強いとの判断を据え置き、失業率の見通しを改善方向に修正したものの、15年の経済 成長率やインフレ率の見通しを引き下げました。また、政策金利の見通しについては、15年末で1.0%以上が 適切と考えるFOMCメンバーの数が昨年12月の9人から4人に減り、利上げの間隔・幅が従来想定より緩やか になるとの見方の拡がりが示唆されました。イエレン議長が2月の議会証言で、「毎回のFOMC毎に利上げを 検討する方向で準備している」と述べたことも踏まえると、利上げが開始された後、毎会合、同じペースで追加 利上げが必ず行なわれる訳ではないと考えられます。 なお、前回の米金融引き締め局面で利上げが始まった2004年6月前後の状況を振り返ると、新興国通貨が 利上げ開始前に揃って売られたものの、利上げ開始後は反発し、追加利上げの局面では通貨毎にマチマチの 動きとなっています。今年見込まれている米利上げは、実質ゼロ金利という異例の超低金利からの金利正常化 となるだけに、既に米ドル全面高の展開となるなど、市場の警戒感は強くなりがちです。市場では利上げ開始を 事前に織り込む動きが進んでいるとみられるものの、前述のとおり、現時点では利上げ開始および追加利上げ は慎重に進められるとみられます。このため、実際に利上げが開始された後には、米ドル全面高の反動が起き ることも考えられます。そして、その後は、国によって大きく異なるファンダメンタルズの状況や金利水準などが、 新興各国の通貨に反映されると見込まれます。 米国の政策金利と主要指標の推移 10 (%) (1993年1月1日~2015年3月13日) (米ドル) ニューヨーク・ ダウ工業株30種(右軸) 9 8 10年国債利回り (左軸) 前回の米利上げ開始前後の為替の推移 (対米ドル各国通貨は2004年6月29日=100) 18,000 新興国通貨高 16,000 130 14,000 6 12,000 5 10,000 110 4 8,000 3 6,000 2 4,000 1 2,000 政策金利(左軸) (0~0.25%) 0 ブラジル・レアル (左軸) 新興国通貨安 7 0 93年 96年 99年 02年 05年 08年 11年 14年 (2003年6月30日~2005年6月30日) 20,000 140 120 インドネシア・ルピア (左軸) 3.5 3.0 2.5 トルコ・リラ (左軸) 2.0 100 1.5 メキシコ・ペソ (左軸) 90 80 03年6月 (%) 米政策金利 南アフリカ・ランド(左軸) (右軸) 03年12月 04年6月 04年12月 1.0 0.5 05年6月 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成 ※上記データは過去のものであり、将来を約束するものではありません。 ■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘 資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建 資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付 目論見書)をご覧ください。 1/1
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