楽読（ラクヨミ） 2016年3月7日Ｖｏｌ. 1,075 ついにルラ前大統領にまで捜査が及んだ、ブラジルの汚職事件ブラジル連邦警察は3月4日、国営石油会社ペトロブラスを巡る大規模な汚職事件に絡み、同社の取引先企業から資金や不動産の便宜を受けた容疑で、ルラ前大統領の住居や事務所などの関係先を捜索したほか、前大統領に対する事情聴取を行ないました。聴取後に解放された前大統領は、「悪いことはしておらず、恐れることは何もない」と述べ、容疑を否定しましたが、連邦検察当局は、前大統領にペトロブラスに絡む資金が流れた証拠があるとの旨の声明を出しています。同汚職事件では、ペトロブラスの幹部はもとより、取引先の大手建設会社トップなどの企業関係者や、与党PT （労働者党）の重鎮議員らが昨年、逮捕されています。しかも、こうした逮捕者が、起訴の見送りや求刑の軽減などの見返りに他者の犯罪などを明かす、司法取引に応じたとの観測報道が足元で相次いでいます。また、先月23日には、過去3回の大統領選挙でPTの選挙参謀を務め、前大統領やルセフ大統領と関係が深い人物が収賄容疑で逮捕されました。それから2週間と経たないうちに、捜査はついに前大統領にまで及びました。これまでは、連立与党が議会の過半数を占めていることなどから、大統領の弾劾実現の可能性は低いとされてきましたが、前大統領に捜査が及んだことに伴ない、転機が訪れる可能性があります。市場でも、このところの捜査の進展などを受け、弾劾の可能性が高まったとして、株価やレアルが上昇しています。こうした中、今月 13日には大統領の弾劾を求める集会が予定されており、参加者が膨れ上がることになれば、弾劾に向けた動きに弾みがつくことも考えられます。なお、弾劾成立の場合でも、副大統領が大統領職を引き継ぐことなどから、政治混迷の大幅改善まで見込むのは早計と考えられます。ただし、弾劾に向けた動きとは別に、14年の大統領選挙でルセフ陣営が不正献金を受け取った疑いがあり、これが事実だと年内に認められ、選挙結果が無効と判断される場合、改めて大統領選挙が行なわれます。その際、汚職や政治家への批判が国民の間で高まっているだけに、革新的な大統領の誕生につながれば、構造改革などへの期待が一気に高まることも考えられます。ブラジル・レアルと原油先物価格の推移大統領に対する弾劾手続きの流れなど（2015年初～2016年3月4日） 45 （レアル） 1.5 原油価格の持ち直しに続き、汚職事件の捜査が権力の中枢に近づいたことにより、レアルが大きく上昇 2.0 40 2.5 35 3.0 50 （円） 30 25 20 対円（左軸）レアル高対米ドル（右軸）レアル安 3.5 4.0 4.5 （米ドル/バレル）下院に設けられる特別委員会が、大統領も証言する公聴会を含む15回の会合を経て、弾劾請求に対する見解をまとめる。同見解を受け、下院が弾劾を審議・採決。弾劾可決には3分の2以上の賛成が必要。下院で弾劾が可決された場合、上院はまず、大統領の停職を審議。可決の場合、大統領は最長180日間の停職となり、副大統領が暫定的に職務を引き継ぐ。弾劾に向けた左記の動きとは別に、 14年の大統領選挙でルセフ陣営が不正献金を受けたとの疑いを選挙高等裁判所が審理中疑いが事実と認められ、選挙結果が無効となる可能性も選挙結果を無効とする判断が年内に下る場合、90日以内に大統領選挙を実施、17年に判断が下る場合、議会が大統領を選出 70 60 50 40 WTI原油先物 30 20 15年1月 15年4月 15年7月 15年10月 16年1月上院で弾劾を審議・採決。弾劾可決には 3分の2以上の賛成が必要。可決された場合、弾劾が正式に決定する。一方、否決された場合や、180日以内に弾劾が可決されない場合、大統領は復職。信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成報道などをもとに日興アセットマネジメントが作成 ※上記は過去のものおよび予定であり、将来を約束するものではありません。 ■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産（外貨建資産には為替変動リスクもあります。）を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書（交付目論見書）をご覧ください。 1/1