景気の回復感を辛抱強く待つより、 業績拡大に伴なう果実を得るべく行動を

楽読
(ラクヨミ)
2017年3月2日
Vol.
1,196
景気の回復感を辛抱強く待つより、
業績拡大に伴なう果実を得るべく行動を
日本の経済規模を示すGNI(国民総所得)がリーマン・ショック前の2007年4-6月期の水準を上回り、過去最
高を更新した2015年4-6月期に、日経平均株価は2万868円まで上昇し、IT景気時の2000年につけた高値を
約15年ぶりに上回りました。続く2016年には、GNIは4四半期連続で過去最高を更新しましたが、夏にかけて
為替が大きく円高に振れたことなどから、日経平均株価は下振れを余儀なくされました。しかし、11月の米大
統領選挙でトランプ氏が当選し、為替が円安に向かうと日経平均株価は反発し、足元では1万9,000円台での
推移となっています。
GNIは、GDP(国内総生産)と同様、一国の経済規模を示す指標ですが、GDPが「日本国内」で生み出され
たモノやサービスの付加価値の合計であるのに対し、GNIは、「日本人や日本企業」の儲けを表し、GDPから
外国人や外国企業が稼得した所得を除き、日本人や日本企業が海外で稼得した所得を加えたものであると
いう点が大きな違いです。日経平均株価と日本のGNIは、90年代後半以降、かなり似通った動きを示してい
ます。例えば、リーマン・ショック発生の約半年前まで続いた、「いざなみ景気」などと呼ばれた時期には、景気
拡大期間こそ戦後最長の73ヵ月に及んだものの、回復の実感に乏しいと言われましたが、GNIは急拡大し、
日経平均株価がITバブル崩壊後の安値から大幅な反発を遂げました。足元でも、景気回復を実感できないと
の声は強いものの、前述のとおりGNIは過去最高を更新中で、株価も堅調となっています。
GNIと同様、企業の業績や配当も過去最高水準で推移しています。業績面では、為替が一時、大きく円高に
振れた影響などから、今期(2016年度)はほぼ横ばいとみられ、3年連続の最高益更新は微妙ながら、来期
(2017年度)は1割程度の増益となり、最高益を更新する見通しです。また、配当は来期にかけて5年連続で
過去最高を更新する見込みです。一方、国内景気は、拡大継続が見込まれるものの、ペースは極めて緩や
かで、景気の回復感を感じることは今後も難しいかもしれません。それだけに、回復感を待って、投資を見送
るより、GNIや企業業績の拡大に伴なう果実を得るべく、株式投資を検討してみてはどうでしょうか。
名目GNIと株価、為替の推移
575
企業業績および配当の推移
(1992年初~2016年末)
(兆円)
大型景気対策
が相次ぐ
(92/8~95/9)
IT景気
(99/2~00/11)
550
GNIは (円)
25,000
日経平均株価(右軸) 過去最高
を更新中
いざなみ景気
(02/2~08/2)
15,000
500
10,000
名目GNI(左軸)
株価は四半期末の値、GNIは四半期毎の年率換算値
円相場(対米ドル)
(1992年度~2017年度予想)
経常利益(左軸)
東証一部銘柄(除く金融)
20,000 50
525
475
(円)
150
60
(兆円)
(兆円)
18
配当額(右軸)
全上場企業
予想
15
40
12
30
9
20
6
10
3
5,000
130
110
円安
90
70
円高
0
0
92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16(年)
92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 (年度)
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