克服すべき試練と対峙するブラジル ~悪材料の織り込みが進む通貨

楽読
(ラクヨミ)
2015年3月5日
Vol.933
克服すべき試練と対峙するブラジル
~悪材料の織り込みが進む通貨レアル~
3月4日にブラジル・レアルが一段安となり、一時、1米ドル=3.00ブラジル・レアルをつけるなど、対米ドルで
2004年8月以来の安値水準となりました。
ブラジルでは、経済の停滞懸念が強まっている一方、今年、2期目をスタートさせたルセフ政権が財政規律
の維持に向け緊縮財政へと舵を切り、市場の信頼回復に努めています。しかしながら、税制優遇措置の縮小
に向けた大統領令を上院議長が3日に拒否したことをきっかけに、財政健全化の行方に懸念が生じたこと
などから、ブラジル・レアルに売り圧力がかかることとなりました。
緊縮財政への方向転換に加え、国営石油会社に絡む汚職疑惑捜査が長引いていることなどもあり、ルセフ
大統領の支持率は大きく低下しています。また、同国は現在、干ばつに見舞われており、水の供給や、水力
発電に多くを依存する電力の供給に不安を抱え、景気への悪影響が懸念されている状況です。こうした困難
な環境にあるだけに、財政健全化を進めるのは容易でなく、大統領が議会に何らかの譲歩を余儀なくされる
ことも考えられます。ただし、緊縮財政を実現できなければ、国債が格下げされる可能性があることなどから、
財政健全化に向けた政府の方針が大きく揺らぐことはないと考えられます。
なお、同国では、高止まりするインフレを抑えるべく、中央銀行が金融引き締めを行なっており、4日遅くには、
昨年10月以降、4会合連続となる利上げ(12.25%→12.75%)が発表されました。景気や財政健全化の行方
などに注意を怠れないものの、原油安を背景に利下げなど金融緩和を進める国が相次ぐ中で、ブラジルが
利上げを続けていることや、同国の金利水準が相対的に高いことは、ブラジル・レアルのサポート要因になる
と考えられます。
ブラジル・レアルの推移
80
70
60
50
(円)
レ
ア
ル
高
ブラジルの物価および政策金利の推移
(2004年1月初~2015年3月4日) (レアル)
対米ドルでは04年以来
の安値水準だが、
対円では底堅さも
対円
(左軸)
レ
ア
ル
安
0.5 20
(%)
(2004年1月~2015年3月*)
*消費者物価指数は15年1月までのデータ
18
1.0
1.5
16
政策金利は09年
以来の水準に
政策金利
14
12
2.0 10
8
40
2.5
消費者物価指数
(前年同月比)
6
30
3.0
対米ドル
(右軸)
20
04 05 06 07 08 09 10
11
3.5
12 13 14 15 (年)
4
2
インフレ目標**
**現在は4.5%±2%ポイント
0
04 05 06 07 08 09
信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
10
11
12
13
14
(年)
15
※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。
■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘
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