日銀による追加金融緩和の可能性

楽読
(ラクヨミ)
2016年6月17日
Vol.
1,113
一段の円高などを背景に高まる、
日銀による追加金融緩和の可能性
日銀は、大方の予想どおり、6月15・16日の金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決めました。ただし、
前日に政策金利の据え置きが発表された米国で、利上げペースが緩やかなものにとどまるとの見方が一段と
強まったことに加え、英国のEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票を23日に控え、投資家がリスク回避に
動き易くなっていることなどもあり、日銀の追加金融緩和見送りが明らかになると、円買いの動きが強まりまし
た。そして、円相場が1米ドル=104円台に上昇すると、円高を受けて株価が大幅に下落し、日経平均株価は約
4ヵ月ぶりの安値で引けました。なお、その後、103円台半ばまで円高が進む場面もありました。
米国の利上げ見送りも市場予想どおりながら、FOMC(連邦公開市場委員会)参加者の見通しで、年内の利
上げは2回との見方が引き続き多数を占めたものの、1回にとどまるとの見方が拡がったほか、2017、18年の
政策金利の見通しが下方修正となりました。こうしたことなどを受け、米利上げペースは緩やかになるとの見
方が市場で一層強まり、円相場には上昇圧力がかかり易くなったとみられます。
こうした中、市場では、日銀が次回7月28・29日の金融政策決定会合で追加金融緩和に踏み切るとの見方
が拡がっています。同会合に先立って7月1日に発表される日銀短観で、物価見通しや企業の景況感などが厳
しいものとなり、物価目標の達成は難しいと判断されるような場合や、同月26・27日の米FOMCで再度、利上
げが見送られるなど、円高圧力が続くような場合、日銀による追加金融緩和の可能性は高まるとみられます。
なお、目先、最大の注目材料である英国の国民投票(日本時間6月24日昼頃までに結果判明の見通し)にお
いて、EU離脱が過半の支持を得ることとなる場合には、英ポンドやユーロが一段と売られる一方、投資家のリ
スク回避の動きを受けてさらに円高が進むなど、市場が大きく動揺する可能性があります。ただし、不測の事
態に備えて、日米欧などの主要中央銀行が協調対応を検討中と報じられています。
2.0
消費者物価指数(前年同月比)の推移
円相場の推移
(2011年1月~2016年4月)
(2011年1月初~2016年6月16日)
(%)
除く生鮮食品
除く生鮮食品、エネルギー
160
(円)
対米ドル
(いずれも2010年基準、消費税率引き上げの影響を除く)
マイナス金利
導入決定
(16年1月)
対ユーロ
1.5
140
1.0
円
安
120
0.5
0.0
100
量的・質的
金融緩和を拡大
(14年10月)
-0.5
80
円
高
量的・質的
金融緩和
(13年4月)
-1.0
-1.5
11
12
(出所)総務省、日銀
13
14
15
16
(年)
60
11
12
13
14
15
16
(年)
信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
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