トルコ・リラを取り巻く環境について ~振れの大きな展開となる可能性も~

2015年2月5日
楽読
(ラクヨミ)
Vol.923
トルコ・リラを取り巻く環境について
~振れの大きな展開となる可能性も~
トルコ・リラが足元で再び軟調となり、特に対米ドルでは史上最安値を更新する展開となっています。その主な
背景として、同国で利下げが見込まれていることに加え、利下げを求める政治的圧力の高まりなどを背景に、
中央銀行への信認が揺らぐとの懸念が拡がっていることが考えられます。
トルコ中央銀行総裁は1月27日、2月の金融政策委員会を20日前倒しすると発表し、緊急利下げを行なう可能
性を示唆しました。すると市場では、1月の利下げ(8.25%→7.75%)が不十分だとして、さらなる引き下げを要求
したエルドアン大統領などからの圧力に屈したとの見方が拡がり、リラが売られました。緊急利下げの条件として、
2月3日発表の1月の消費者物価指数の伸び率鈍化が挙げられていましたが、鈍化が十分でなかったことから、
緊急利下げはもとより、金融政策委員会の前倒しも見送られました。しかし、そうした事態を受け、大統領が中央
銀行に対して改めて不満を表明すると、リラが下げ足を速める結果となりました。
前年に物価水準が大きく上昇した一方、足元では原油安となっていることなどもあり、物価の伸びは今後も鈍化
し、年央までには目標水準の5%に近づくとの見方を中央銀行は示しています。こうしたことなどから、24日の
金融政策委員会では利下げが予想されます。ただし、リラ安が進めば、原油安の恩恵が帳消しとなる可能性も
あることなどから、物価を持続的に落ち着かせるためには、慎重な金融政策が不可欠と考えられます。しかし、
6月に総選挙を控え、大統領や政府から利下げを求める圧力が高まると見込まれ、中央銀行の信認や独立性が
揺らげば、リラに影響することも考えられます。なお、ECB(欧州中央銀行)の量的緩和が始まれば、市場心理の
改善につながる可能性があり、トルコの経常赤字の縮小とともに、リラ高要因になると期待される一方、今年の
半ば頃と予想されている米国の利上げ開始は、米ドル高要因となる可能性があります。
主要金利の推移
14
(%)
国際収支と物価、為替相場の推移
(2010年1月1日*~2015年2月4日)
100
*1週間物レポ金利は2010年5月20日以降のデータ
(2010年1月~2015年2月)
(億米ドル)
対内証券投資
経常収支
注:いずれも2014年11月までのデータ
50
12
翌日物貸出金利
10
0
-50
8
-100
1.00
(リラ)
リ
ラ 1.25
高
6
4
1週間物レポ金利(主要政策金利)
2
翌日物借入金利
0
銀行間翌日物金利(市場金利)
11
12
13
14
*2015年2月は4日のデータ
**2015年1月までのデータ
10
1.50
8
1.75
6
2.00
リ
ラ 2.25
安
2.50
10
(%)
12
15 (年)
*リラ相場(対米ドル、左軸)
**消費者物価指数(前年同月比、右軸)
10
11
12
13
14
トルコ中央銀行、トルコ統計局などの信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
4
2
0
15 (年)
※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。
■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘
資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建
資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが
あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付
目論見書)をご覧ください。
1/1