2015年3月20日 楽読 (ラクヨミ) Vol.941 米原油価格が約6年ぶり安値 ~原油を取り巻く環境の改善が期待される~ 国際商品市場では、今月中旬以降に原油価格が再び軟調となっており、ニューヨークWTI原油先物価格は、 足元で、およそ6年ぶりとなる1バレル=43米ドル台を付けました(終値ベース)。 この背景には、米国で、エネルギー当局が2015年の米原油生産見通しを引き上げたことや、週間統計により 原油在庫の増加が続いていることが確認されたほか、国際エネルギー機関が、原油の供給過剰の解消には 時間がかかるとの見通しを示したことなどが、10日以降に相次いだことが挙げられます。また、米国では今年 半ば以降に利上げが行なわれるとの観測が強まるなか、米ドルが主要通貨に対して全面高となったことに 伴ない、米ドル建てで取引されることの多い原油は、米ドル高が嫌気されたことも、価格の押し下げ要因と なりました。 しかしながら、足元の状況を見ると、米国での原油掘削リグ稼働数は今年に入って大きく減少しており、今後、 生産調整の進展とともに在庫の調整も進むことが期待されます。こうしたなか、米エネルギー当局は、2016 年にかけて原油価格は持ち直し、1バレル=70米ドル台まで回復すると予想しています。また、18日に発表さ れたFOMC(米連邦公開市場委員会)の声明などを受け、市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上 げを急いでいないとの見方が拡がっており、これまで急ピッチで進んできた米ドル高に落ち着きが見込まれる ことなどもあり、原油価格に対して過度に悲観する状況にはないと考えられます。 当面は、短期的な見通しの発表などを受けて原油価格の振れが大きくなる可能性も考えられますが、上記の 気 ような動きに加え、米国をはじめとした先進国などでの景気回復・拡大に伴なう原油需要拡大の可能性など も踏まえると、原油を取り巻く環境は改善に向かっているとみられることから、この先、原油価格は緩やかな 回復に向かうと期待されます。 原油価格とドル・インデックスの推移 米国のリグ稼働数の推移 (2014年1月初~2015年3月19日) (基) グラフ起点を100として指数化 130 (2014年1月第1週~2015年3月第2週) 2,000 ドル・インデックス 120 1,800 110 1,600 100 90 WTI原油先物 (米ドルベース) 80 1,400 【ご参考】 1,200 世界株式 (米ドルベース) 1,000 14/1 50 14/4 14/7 14/10 15/1 (年/月) EIA(米エネルギー情報局)よる原油価格見通し 70 60 米国のリグ稼働数は 今年に入って急減 (2015年3月10日時点、WTI、単位:1バレルあたり) ドル・インデックスとは 複数の主要通貨に対する米ドル相場を 指数化したもので、市場における米ドルの 価値を総合的に判断する目安とされます。 40 14/1 14/4 14/7 世界株式:MSCIワールド指数 14/10 2015年 6月 2015年 12月 2016年 6月 2016年 12月 49米ドル 64米ドル 72米ドル 71米ドル 15/1 (年/月) 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成 ※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。 ■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘 資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建 資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付 目論見書)をご覧ください。 1/1
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