ご参考資料 ピクテ・マーケット・フラッシュ 2015年2月27日 先進国 Pictet Market Flash ユーロ圏マネーサプライ:正常化への道のり 2015年1月のユーロ圏マネーサプライ統計は、M1(狭義のマネーサプライ)、M3(広義のマネーサプライ)双方の伸 びの加速を確認するものとなりました。3月には欧州中央銀行(ECB)の量的金融緩和が開始されます。ユーロ圏の マネーサプライの伸びは一段と加速度を増し、正常化に向けた道のりを歩んで行くものと考えます。 図表1:ユーロ圏 M3と民間向け融資の 伸び率の推移 ユーロ圏経済の支援要因 (月次、期間: 1999年1月~2015年1月) 足元のユーロ圏経済は、原油安、ユーロ安、緊縮財政 の終了、金融緩和政策の継続という4つの要因に支え られています。2015年2月26日、欧州中央銀行(ECB) が発表したユーロ圏マネーサプライ統計は、ECBの量 的金融緩和に先立って、マネーサプライ正常化への局 面が始まったことを示唆するものとなりました。もっとも、 ユーロ圏経済は依然としてぜい弱であることから、域 内経済の回復には、当面、4つの要因が維持されるこ とが必須です。 %、前年同月比 14 12 民間向け融資 10 8 6 M3参照値 4 M3 2 0 -2 -4 M3の伸び:長期参照値の+4.5%に 迫る勢い 99年 01年 03年 05年 07年 09年 11年 13年 15年 出所:ピクテグループのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 2015年1月のユーロ圏M3(広義のマネーサプライ指 標)の伸び率は前年同月比+4.1%となり、2014年12月改 定値の同+3.8%、市場予想の同+3.7%をともに上回りまし た。 1月のM3の伸び率は2009年4月以降最も高く、長 期参照値の同+4.5% に迫りました。 一方、1月の民間向け融資は前年同月比-0.1%に留ま り、前月の同-0.5%と比べ減少率は鈍ったものの33ヵ月 連続の減少となりました(図表1参照)。 非金融企業向け融資:再び減少に転じる 2015年1月の非金融企業向け銀行融資は、前月の100 億ユーロの増加に対して、40億ユーロの減少となりま した。また、家計向け融資は、住宅ローン融資の増加 (40億ユーロ)を受けて増加基調を維持したものの、消 費者信用は前月と同程度に留まりました。 M1の伸びがM3の伸びをもたらす ユーロ圏M3の伸びの背景にあるのは、M1(狭義のマ ネーサプライ指標)の大幅な伸びです。1月のM1は、前 年同月比+9.0%と 2014年12月の同+7.9%を上回り、2010 年6月以降、最も高い伸び率を記録しました。翌日物預 金の急増を反映したものと考えます。また、ECBによる 債権担保付社債(カバードボンド)や資産担保証券 (ABS)の購入ならびに長期性資金供給オペ(LTRO)を 通じた借入の返済の終了を反映した可能性もあると考 えます。実質M1の伸びは、経済活動の信頼のおける 先行指標とされますが、ユーロ圏購買担当者景気指数 (PMI)や欧州委員会(EC)サーベイ等といった足元の 景況感指数が示唆する通り、今後数四半期を通じて加 速度を増す公算が高いと考えます。 <次ページに続きます> ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 1 2 ご参考資料 Pictet Market Flash 先進国 マネーサプライの正常化は ユーロ圏経済回復の必須要因 2015年1月のユーロ圏マネーサプライ統計は、域内の マネーサプライの一段の回復を示唆するものとなりま した。もっとも、信用供与は過去の水準を下回り、ぜい 弱さが払拭されない状況です。 3月には ECBの量的金融緩和が始まることに加え、中 小企業向け融資に的を絞った長期性資金供給オペ (TLTRO)が予定されており、また、LTROを通じた借入 の返済が終了することから、M1の伸びは今後数ヵ月を 通じて加速度を増すことが予想されます。このような進 展は、ユーロ圏のマネーサプライの正常化に向けた局 面の始まりを示す可能性が高いと考えますが、マネー サプライの正常化は、マネーの創出、インフレ期待の 定着、信用供与条件の緩和、ユーロ安等を実現させる ための前提条件です。また、このような状況が実現す れば、マネーの創出が2015年を通じたユーロ圏経済回 復の重要な支援要因となることが確認されることとなり そうです。 とはいえ、マネーサプライの正常化には時間を要しま す。原油価格が足元の水準で推移し続ける限り、イン フレ期待が急速に反転し、インフレ率が短期間のうち に上昇に転じる可能性は低いと考えます。 ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。 当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場 の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将 来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用 目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。 ●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象 ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、 会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。 2 2
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