ドイツ鉱工業生産指数:前月比低下も大勢には影響なし

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ピクテ・マーケット・フラッシュ 2015年1月13日
先進国
Pictet Market Flash
ドイツ鉱工業生産指数:前月比低下も大勢には影響なし
2014年11月のドイツの鉱工業生産指数は予想外の前月比低下となりましたが、月次の振れの影響を除いた数値
は10-12月期の景気回復を示唆するものとなっており、製造業受注指数が3ヵ月連続で上昇したことも注目されます。
2015年1月22日のECB理事会の国債購入を巡る決定ならびに1月25日のギリシャ総選挙の行方が注視されます。
ドイツ経済は改善の兆し
2014年11月のドイツ鉱工業生産指数は、10月の改善
を打ち消す期待外れの数値となりました。もっとも、月
次の振れの影響を除いた数値は、10-12月期の経済
成長が前期のペースを上回ることを示唆しています。
11月の鉱工業生産指数低下の要因はエ
ネルギー・セクターの不振
2014年11月のドイツ鉱工業生産指数(建設を含む)は
前月比-0.1%となり、市場予想の同+0.3%に届きません
でした(図表1参照)。一方、10月改定値は、当初発表
の数値を0.4ポイント上回る同+0.6%に上方修正されまし
た。
当指数の低下は、主に、エネルギー・セクター(前月比
-2.4%)ならびに建設セクター(同-0.6%)の不振に因るも
のであり、製造業セクター(同+0.3%)は3ヵ月連続の増
加となりました。
この結果、10-11月の鉱工業生産指数平均は7-9月期
比+0.3%となり、2四半期連続の低下(4-6月期は前期比
-1.0%、7-9月期は同-0.3%)から反転しました。
11月の製造業受注指数も低調
2014年11月のドイツ製造業受注指数は前月比-2.4%と
なり、市場予想の同-0.8%を大きく下回りました。一方、
10月改定値は同+2.9%と、当初発表の数値から0.4ポイ
ント上方修正されました。また、月次の変動の大きい項
目を除いた11月の新規受注サブ指数は同-2.0%でした。
地域別内訳では、内需が前月比-4.7%と製造業受注指
数の下げの最大の要因となったのに対し、外需は同
-0.7%と相対的に小幅の縮小に留まりました。また、外
需の内訳では、ユーロ圏からの新規受注が同+2.7%と
反発したのに対し、非ユーロ圏からの新規受注は同
-2.6%と縮小しました。
この結果、10-11月の製造業受注は7-9月期比+0.9%と
なり、7-9月期の前期比+0.2%から大幅に改善しました。
図表1:ドイツ鉱工業生産指数、製造業受注指数
ならびにIfo企業景況感指数の推移
(月次、期間:2002年1月~2014年11月)
130
120
ドイツ製造業受注指数
115
120
ドイツIfo企業景
110 況感指数(右軸)
110
105
100
100
90
95
90
80
85
ドイツ鉱工業生産指数(右軸)
80
70
02年
04年
06年
08年
10年
12年
14年
出所:ピクテグループのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
輸出は不振
2014年11月のドイツの輸出は前月比-2.1%と市場予想
の同-1.0%を大幅に下回り、2ヵ月連続の縮小となりまし
た。地域別内訳では、非ユーロ圏向けが同-7.0%と大幅
に縮小したのに対し、ユーロ圏向けは同-0.9%と小幅の
縮小に留まりました。また、ユーロ圏以外のユーロ加
盟国向けは同+1.4%と拡大しました。
一方、11月の輸入は同+1.5%と、市場予想の同+0.5%を
大きく上回りました。この結果、11月の貿易黒字は179
億ユーロとなり10月の221億ユーロを下回りました。ま
た、2014年年初からの貿易黒字は累積199億ユーロと
なり、2013年通年の195億ユーロを上回っています。
10-11月の輸出平均は、7-9月期平均と同水準となって
います。
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ピクテ投信投資顧問株式会社
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Pictet Market Flash
先進国
10-12月期の鉱工業生産は反転の兆し
2014年のドイツ鉱工業生産は4-6月期、7-9月期と2四
半期連続の減産を余儀なくされたものの、10-12月期
は反転が予想されます。鉱工業生産活動の不振の大
半が一時的な要因に起因するものであり、特に、11月
の穏やかな気候がエネルギー・セクターの減産をもた
らしたことが注目されます。
製造業セクターについても先行きが期待されます。製
造業受注指数は3ヵ月連続で上昇しており、月次の変
動の影響を除いた四半期、前期比ベースの数値は、
6ヵ月の低下の後、上昇に転じています。したがって、
12月の鉱工業生産指数が低下したとしても、低下幅が
前月比-0.7%を超えることが無い限り、10-12月期の鉱
工業生産指数はプラスの領域に留まるものと考えます。
ドイツ経済の先行きは良好
ドイツでは、低インフレ(注1)と堅調な労働市場が個人
消費を支え、金融緩和の継続が企業の設備投資を促
すものと考えます。一方、輸出型企業を取り巻く環境は
強弱交錯の様相です。ユーロ安の恩恵を産油国の需
要の減退が一部相殺することもあり得ますし、米連邦
準備制度理事会(FRB)の利上げの可能性や商品価格
の下落を背景に新興国経済が減速する可能性も否め
ないからです。
ドイツ経済の先行きに対するピクテの予想は変わりま
せん。11月の鉱工業生産指数は当指数がマイナス圏
を脱する可能性を示唆しているものと考えます。したが
って、経済活動は徐々に勢いを増し、2015年のGDP(
国内総生産)成長率は、市場予想を実現するものと見
ています。
出資比率に応じてユーロ圏各国の国債を買い入れるこ
と以外にないと考えられますが、そうすると、買入の対
象となる国債の大半がドイツ国債とならざるを得ません。
二つめの要因は、ギリシャの総選挙です。2015年1月
25日に実施される選挙で、欧州連合(EU)に非協力的
な政権が周縁国に誕生するリスクが懸念される状況で
は、ドイツ国債などの安全資産が再び注目を集める結
果となっているのです。
これら二つの要因が金融市場を支配する状況は、結
果が判明するまで継続する公算が高いと考えます。鉱
工業生産指数の発表を受け、ドイツ経済回復の兆しが
確認されたことは、少なくとも二つの点で先行きを期待
させると考えます。一点目は、2014年のドイツ経済の予
想外の大幅な減速が一時的なものであったことが確認
されたこと、二点目は、ドイツ経済の回復が、現時点で
は、低インフレに対するECBの対応を損なうほど力強
いものにはならないだろうとの見通しです。
ドイツ国債利回りは、少なくとも、1月22日開催のECB
理事会の決定ならびに1月25日実施のギリシャ総選挙
の結果を見極めるまでは、史上最低水準で推移するも
のと思われます。ドイツ経済は、引き続き、極めて緩和
的な金融状況の恩恵に与ることが予想されます。
注1: 2015年1月8日発行のピクテ・マーケット・フラッシ
ュ「ユーロ圏消費者物価:原油安を背景に5年ぶりの下
落」をご参照下さい。
※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内
容が変更される場合があります。
ECB理事会の決定ならびに
ギリシャ総選挙の結果に注目
ドイツ5年物国債は、2015年1月第2週に入って、史上
初のマイナスの利回りを記録しました。また、10年物国
債利回りもやはり史上初めて、0.5%を割り込んでいます。
ドイツ国債に対する旺盛な需要は、二つの要因で説明
されます。一つめの要因は、2015年1月22日開催の欧
州中央銀行(ECB)理事会の決定に対する期待です。
国債の買入を伴う量的金融緩和の枠組みで政治的に
容認可能なのは、経済・人口規模に基づいたECBへの
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