ECB、社債購入で景気回復を支援

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欧州
2016年4月22日
ECB、社債購入で景気回復を支援
ドラギ総裁は、2016年4月21日に開催された欧州中央銀行の政策理事会後の会見で、社債購入の詳細を発表しまし
た。社債の購入により、企業の投資が刺激され、ユーロ圏経済の回復を支援することが期待されます。
欧州中央銀行:金融政策は据え置き、
2016年6月からの社債購入を発表
欧州中央銀行(ECB)は、2016年4月21日に政策理事会を開
催しましたが、予定通り、主要政策金利であるリファイナンス
オペの最低応札金利を0.00%で据え置き、下限政策金利で
ある中銀預金金利をマイナス0.4%、上限政策金利の限界貸
出金利を0.25%に維持し、資産購入についても月額800億
ユーロ(約9兆9,300億円)で変わらずとしています。2016年3
月の理事会では、利下げと資産購入の拡大、新たな長期リ
ファイナンスオペ(LTRO)の政策パッケージを発表したことに
加え、ドラギ総裁は必要に応じさらなる措置を講じていくと明
言していました。
また、ECBは今回、ユーロ圏の社債の購入について2016年6
月から開始するなどの詳細を発表しました。
どこに注目すべきか:
経済のダウンサイドリスク、社債購入の詳細
4月のECB政策理事会は3月に広範な政策パッケージを発
表した後でもあり、金融政策の変更は想定されにくい会合で
した。しかしながら、公表された社債購入プログラムの内容
の中には市場の想定を上回ると見られる内容も含まれてお
り、会見の表現は3月と同様であったものの、ECBの金融緩
和政策の焦点がマイナス金利から貸出しや債券の購入へと
シフトしたことが明確になりました。
まず、ECBの経済認識を確認すると、ユーロ圏経済は金融
緩和の下支えなどによって緩やかに回復しており、今後も消
費や企業の設備投資がプラス要因になることを示唆してい
ます。またユーロ圏の銀行の貸出姿勢についても緩和的状
況が継続しています(図表1参照)。しかし、海外経済の悪化
や地政学リスクの影響でリスクとしては成長率が下方に修
正されることを懸念し続けています。ECBが海外要因を改善
させることは直接的には困難で、金融緩和姿勢の維持や社
債の購入などにより貸出しを促進することで、企業の投資を
ピクテ投信投資顧問株式会社
刺激し、ユーロ圏経済の回復を支援する意向と見られます。
次に、その社債購入(コーポレート・セクター・パーチェス・プロ
グラム(CSPP))については次のような詳細が明らかにされま
した。
購入の開始は2016年6月でECBの取りまとめに基づきユーロ
圏諸国の中央銀行6行(スペイン、イタリア、ドイツ、フランス、
ベルギー、フィンランド)が実施します。買い入れの対象は、
ユーロ圏で法人登録している企業で、与信機関および与信機
関の子会社は含まれません。格付けは「BBB-」または同格以
上の格付けで、残存期間は6ヵ月から30年、1銘柄につき発行
残高の70%が上限で、発行市場、流通市場ともに買い入れの
対象となり、ECBが現在、実施している月額800億ユーロの資
産購入プログラムの一環として行われます。
今回の詳細公表を受けて、これまでは小規模(月額50億ユー
ロ程度)と見られていた社債の購入額が、100億ユーロ程度に
なるとの見方もでてきており、市場では概ね好意的に受け止
められている模様です。
ただし、ECBは金融緩和策を継続するとみられますが、現状、
企業の価格支配力が回復したとは言い切れない状況にあり、
インフレの改善には時間を要する可能性があります。
ドラギ総裁の言うとおり、忍耐強い対応が求められているの
かもしれません。
図表1:ユーロ圏の銀行貸出動向アンケート調査の推移
(四半期、逆メモリ、期間:2006年1-3月期~2016年1-3月期)
-20 %
緩和
0
20
40
60
80
06年3月
引締め
09年3月
12年3月
15年3月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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