豪州株式市場のけん引役として注目される豪州年金基金

<マーケット・レター>
2015年5月20日
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
豪州株式市場のけん引役として注目される豪州年金基金
 足元で豪年金基金による豪州株投資が活発化。2014年は豪年金基金による豪州株への投資額は約3.8兆円へ拡大。
 豪年金基金の資産は預金から株式へのシフトが顕著。預金金利低下により株式等のリスク資産への投資に拡大余地。
 豪年金総資産は2014年の約170兆円(GDP比115%)から、2035年には約580兆円(同130%)へ拡大が予想される。
 資産規模の拡大に伴って、豪年金基金による不動産・インフラ・セクターへの分散投資が進むと期待される。
機関投資家としての注目度高まる豪年金基金
図1:豪年金基金(スーパーアニュエーション)
による株式投資フロー
豪州の年金制度には、公的年金である老齢年金と私的
年金のスーパーアニュエーションの二本柱となっています。
税財源で運営される老齢年金は国民に最低限の年金を
保障する社会保障制度である一方、スーパーアニュエー
ションは積み立て型の退職年金基金です。事業主は一定
条件を満たした従業員(加入者)の給与の9.5%に当たる
掛金を基金へ拠出することが義務付けられています。近
年、スーパーアニュエーションは大規模な総資産を背景
に機関投資家としての注目度が高まっています。
豪年金基金による豪州株式への投資が活発化
足元ではスーパーアニュエーション(以下、豪年金基金)
による豪州株式への投資が活発化しています。豪年金基
80
70
外国株式
60
豪州株式
50
17.0
40
取得
30
40.0
20
10
0
-10
売却
-20
90
金による豪州株式への純投資額は2014年に400億豪ド
ル(約3.8兆円*)へ拡大しました(図1)。これは2014年末
(10億豪ドル)
92
94
96
98
00
02
04
06
08
10
12
14
(年)
(出所)豪州政府統計局 (期間)1990~2014年
(注)株式には上場・非上場株式のほかファンドへの投資も含まれる。
の豪州株式市場の時価総額(1.6兆豪ドル=約150兆円
図2:豪年金基金の総資産に占める
株式・債券・預金の構成比
*)の2.5%に相当するもので、豪年金基金からの資金流
入が株式市場の押し上げ要因となっていると考えられます。
豪年金基金の資産は預金から株式へシフト
足元では、豪年金基金のアセットアロケーションは預金か
ら株式へのシフトが顕著となる傾向がみられます。豪年金
基金の総資産に占める預金構成比は2012年6月末の
16.0%をピークに2014年末には14.1%へ低下に転じた
一方、株式構成比は2012年6月末の49.6%から2014年
末には54.6%へ上昇しています(図2)。
(%)
(%)
60
35
54.6%
55
30
株式(左軸)
50
25
45
20
預金(右軸)
14.1%
40
15
12.5%
35
10
豪州中央銀行(RBA)の利下げによって預金金利の低
下が進んでいることも、豪年金基金による株式投資シフト
30
を支える要因となっている模様です。歴史的に見ると豪年
25
金基金の総資産に占める預金構成比はなお高水準にあり、
今後も豪年金基金が株式等のリスク資産へ投資を拡大
する余地は残されていると考えられます。
5
債券(右軸)
0
90
92
94
96
98
00
02
04
06
08
10
12
14 (年)
(出所)豪州政府統計局 (期間)1990年1-3月~2014年10-12月
(注)海外資産も含む。株式には上場・非上場株式のほかファンドへの
投資も含まれる。
(*)換算為替レート:1豪ドル=95円
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて
作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す
るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ
こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で
配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
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レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
豪年金基金への安定した資金流入が継続
また、豪年金基金へ安定した資金流入が続いていること
も、新規資金フローの面で豪年金基金による株式投資の
拡大を支えていると考えられます。2014年には豪年金基
金へ945億豪ドル(約9.0兆円)の資金が流入し、過去4年
間は年平均900億豪ドル前後の安定した資金流入が継
続しています(図3)。
図3:豪年金基金への資金流入フロー
(年金準備金の純増額)
(10億豪ドル)
140
年金基金への
加入者の積み立て拡大
120
2014年
945億豪ドル
100
80
60
40
長期的に拡大が予想される豪年金基金の総資産
20
安定した資金流入や運用益増加などに支えられ、豪年
0
金基金の総資産は2014年には1.8兆豪ドル(約170兆円
*、GDP比115%)に達しました(図4)。10年前と比較する
90
92
94
96
98
00
02
04
580兆円*、GDP比130%)へ拡大が予測されています。
10
12
14 (年)
図4:豪年金基金の総資産残高の実績と予測
さらに、2010年6月に豪州政府が公表した年金制度評
金基金の総資産は現在の3倍強に当たる6.1兆豪ドル(約
08
(出所)豪州政府統計局 (期間)1990年~2014年
(注)事業主からの義務的拠出と加入者・事業主による任意拠出の合計。
と総資産は2.8倍の規模に拡大しています。
価報告(クーパー・レビュー)によれば、2035年には豪年
06
2035年(予測)
6.1兆豪ドル
(GDP比130%)
2014年
1.8兆豪ドル
(GDP比115%)
(兆豪ドル)
7
(%)
140
6
120
総資産のGDP比
(右軸)
今後、豪年金基金の資産規模が中長期的に拡大する中、
5
豪州株式市場での機関投資家としての豪年金基金の存
4
80
在感が一段と高まる公算が高いと考えられます。
3
60
豪年金基金の不動産・インフラへの投資も拡大へ
また、豪年金基金の資産規模拡大に伴って、今後は伝
統的な株式や債券だけでなく、不動産やインフラなどへの
分散投資が進むことが予想されます。
豪年金基金による不動産・インフラ部門への投資は、上
場REITや上場インフラ株への証券投資に加えて、非上場
豪年金基金の
総資産(左軸)
2
20
0
0
90
95
00
60
実物資産の開発・運営ノウハウを持った不動産企業(REIT
等)やインフラ関連企業と合弁で行われることも少なくなく、
豪年金基金からの中長期的な資金流入は、豪州の不動
産・インフラ市場の発展にも寄与すると期待されます。
(*)換算為替レート:1豪ドル=95円
10
15
20
25
30
35
(年)
図5:豪主要年金基金の不動産・インフラ投資残高
います。豪主要年金基金による不動産・インフラ部門への
豪年金基金による非上場不動産・インフラへの投資は、
05
(出所)豪州政府統計局、クーパー・レビュー、国際通貨基金
(期間)1990年~2014年 (注)2035年はクーパー・レビューの予測値。
(10億豪ドル)
70
います(2013年末は10.4%、図5)。
40
1
の不動産やインフラへの投資にも歴史的な実績を有して
投資残高は、2014年末には総資産の11.9%へ拡大して
100
50
40
30
27.4
(2.4%)
40.1
(3.2%)
61.0
52.6 (4.8%)
(4.6%)
2013年末
2014年末
32.9 36.2
(2.9%) (2.9%)
6.5 13.3
(0.6%) (1.0% )
20
10
0
上場不動産株
(REIT)
非上場不動産
不動産
上場インフラ株
非上場インフラ
インフラ
(出所)豪州金融監督庁(APRA)
(注)加入者4名以上の年金基金が集計対象。非上場不動産・インフラ
は実物資産投資や非上場ファンドへの投資などが含まれる。
カッコ内の%表示は年金基金の総資産に占める構成比。
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作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す
るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ
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