RBAの政策金利据え置きを受けた豪ドル相場の展望

<マーケット・レター>
2015年3月3日
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
RBAの政策金利据え置きを受けた豪ドル相場の展望

豪州準備銀行(RBA)は政策金利の据え置きを決定。2月会合での利下げの効果見極めのため、様子見姿勢を示唆。
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RBAは先行きの追加利下げの可能性に含みを残す。先物市場は5月までの追加利下げを概ね織り込んでいる。

RBAは豪ドル安を志向する姿勢を維持。ただし、量的緩和を継続するユーロや円に対しては豪ドル安は限定的。

豪ドルは対米ドルでの適正価格に近い水準と推定される。鉄鉱石価格安定や日欧との金利差は豪ドルの下支え要因。
図1:主要先進国の政策金利の推移
豪州準備銀行(RBA)は政策金利を据え置き
豪州準備銀行(RBA)は3月3日の金融政策理事会で、
(%)
5
政策金利を2.25%で据え置く決定を下しました(図1)。前
回2月3日の0.25%の利下げ決定を受けて、2会合連続で
4
の利下げを予想する市場参加者も少なくなかったものの、
RBA総裁は「当面は政策金利の据え置きが適切と判断」
豪州
3
と述べ、利下げ効果を見極める様子見姿勢を示しました。
RBAは今後の追加利下げの可能性に含みを残す
同時に、RBAは先行きの金融政策に関して、需要下支
2.25%
2
ユーロ圏
カナダ
1
えのための追加利下げの可能性に含みを残しました。次
回4月7日および5月5日の理事会において、追加緩和の
米国
0
日本
必要性に関して議論がなされる見込みです。
現在、先物市場では5月までに0.25%の追加利下げが
09
実施される確率がおよそ8割程度織り込まれています。足
元の豪州景気は設備投資や雇用の面で弱含みがみられ
スイス
-1
10
11
12
13
14
15
(出所)ブルームバーグ (期間)2009年1月1日~2015年3月3日
ることから、家計や企業の景気への信認回復を図るため、
図2:米ドル・ユーロ・円に対する豪ドル相場の推移
追加緩和が決定される可能性は高いと考えられます。
(米ドル、ユーロ)
1.2
豪ドル高
RBAは従来通りの豪ドル安志向の姿勢を維持
対米ドル(右軸)
1.1
一方、RBAは豪ドル相場に関して、①「豪ドルは米ドルに
豪ドル安
対して著しく下落してきたものの、通貨バスケットに対して
1.0
はそれほどでもない」、②「豪ドルはファンダメンタルズから
みた大方の推計値を依然として上回っている」と述べ、従
来通りの豪ドル安志向の姿勢を示しました。
0.9
(円)
120
調整は限定的に留まっています(図2)。RBAはユーロや円
なども含む通貨バスケットに対する豪ドル安を志向してい
るとみられるものの、世界的に金融緩和が拡大する中では、
各国間の金融緩和度の強弱が為替相場の方向性を左右
する要因となっていると言えます。
0.8
0.7
足元での豪ドル相場の推移を見ると、米ドルに対しては1 110
豪ドル=0.78米ドル前後まで豪ドル安が進んでいる一方、
大規模な量的緩和を継続しているユーロや円に対しては
(年)
対ユーロ(右軸)
0.6
100
90
80
対円(左軸)
70
11
12
13
14
15
(年)
(出所)ブルームバーグ (期間)2011年1月3日~2015年3月3日
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて
作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す
るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ
こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で
配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
<マーケット・レター>
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
図3:豪ドル相場の適正価格の推定値
豪ドルは対米ドルでの適正価格に近い水準にある
(米ドル)
また、主要資源価格と金利差の面から豪ドル相場の適
1.3
正価格を推定してみると、対米ドルでの豪ドルの割高度は
1.2
既に相当な程度解消されつつあると考えられます(図3)。
1.1
当社の推定によれば、鉄鉱石を中心とした主要資源価
1.0
格の下落や豪・米間の国債利回り格差の縮小などを背景
0.9
に、豪ドルの適正価格は2015年2月には1豪ドル=約
0.82米ドルまで緩やかに切り下がってきたとみられます。
一方、足元の豪ドルの実勢相場は1豪ドル=0.78米ドル前
後で推移しており、現状の資源価格および金利環境から
判断すると、豪ドルは既に適正価格に近い水準まで調整
が進んでいるとの見方ができます。
豪ドル高
米ドル安
民銀行が2月28日に追加利下げに踏み切ったことを受け
て、中国経済の持ち直しへの期待から鉄鉱石価格に安定
化の兆しがみえつつあります。
市場関係者の予想コンセンサスでは、中国向け鉄鉱石
価格は2015年は1トン=70米ドル前後で推移し、2016年
央には同80米ドル近辺まで回復が見込まれるとの見方が
大勢となっています(図4)。中国経済の先行きにはなお
豪ドルの適正価格
(資源価格と金利差に
基づく推計値)
豪ドル安
米ドル高
0.82
0.78
0.8
0.7
推計値 -20%
0.6
0.5
豪ドルの対米ドル相場
0.4
90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14
(年)
(出所)ブルームバーグよりレッグ・メイソン・アセット・マネジメント作成
(期間)1990年1月~2015年2月
中国の利下げ受けて鉄鉱石価格に底打ちの兆し
豪州の主要輸出資源である鉄鉱石市場では、中国人
推計値 +20%
図4:中国向け鉄鉱石のスポット価格
(米ドル/トン)
170
150
130
110
市場予想
(中央値)
90
中国向け鉄鉱石
スポット価格
70
慎重な評価が必要とみられるものの、今後、鉄鉱石価格
の底打ちが明らかとなれば、豪ドル安圧力の緩和要因とな
ると考えられます。
金利差は豪ドルの対円・ユーロ相場の下支え要因
金利環境の面では、豪州と米国の10年国債利回りの格
差は2014年初以降、緩やかな縮小傾向にあります(図5)。
50
12
13
14
15
6
5
ことから、豪米間の国債利回り格差が今後も縮小する公
4
(%)
図5:主要国の10年国債利回りの推移
算が高いとみられます。
の低下が顕著であり、豪州との金利差は依然として一定の
水準が維持されています。日本や欧州の投資家からみれ
ば豪州国債の利回りは相対的に魅力的な水準にあり、金
利差は豪ドルの対円、対ユーロ相場の下支え要因になる
と期待されます。
(年)
(出所)ブルームバーグ (期間)2012年1月~2015年2月
(注)市場予想は2015年2Qから2016年2Qまでの四半期予想値
2015年は6月以降に米国での利上げ開始が見込まれる
一方、量的緩和を継続する日本や欧州では国債利回り
16
豪州
3
2.50%
米国
2.08%
2
1
0
10年
11年
12年
13年
14年
ドイツ
0.36%
0.35%
15年 日本
(出所)ブルームバーグ (期間)2010年1月1日~2015年3月2日
●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて
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