米国小売売上高:落ち込みの要因は厳しい寒波

ご参考資料
ピクテ・マーケット・フラッシュ 2015年3月17日
先進国
Pictet Market Flash
米国小売売上高:落ち込みの要因は厳しい寒波
2015年2月の米国小売売上高は、予想に反し、3ヵ月連続の減少となりました。月後半の厳しい寒波が要因と考えら
れます。これが1-3月期のGDP成長率を押し下げる可能性は否めませんが、4-6月期以降は反発に転じるものと見
ています。力強い雇用の伸びや消費者信頼感の回復等、米国経済の良好なファンダメンタルズは変わりません。
名目小売売上高は3ヵ月連続の減少
米国の2015年2月の小売売上高統計は失望を誘う内
容となりました。月後半の悪天候の影響が現れたもの
と考えます。一方、国内経済のファンダメンタルズ(基
礎的条件)は依然良好であり、したがって、消費の先行
きは明るいとの見方は変わりません。
2月の名目小売売上高は、前月比-0.6%と市場予想の
同+0.3%を大きく下回り、3ヵ月連続の減少となりました。
1月改定値は速報値と変わらずの同-0.8%でした。
2月の名目小売売上高には1月とは異なってガソリン安
の影響は見られず、ガソリンスタンド売上は前月比
+1.5%と1月の同-9.8%から持ち直しました。一方、悪天
候の影響を受け、名目自動車・自動車部品販売は同
-2.5%と大きく落ち込み小売売上高の押し下げ要因とな
りましたが、発表済の自動車販売台数統計が低調な
内容となっていたことから、意外感はありませんでした。
寒波の影響が最も大きく現れたのは、建設資材(及び
園芸関連)売上で、2月は前月比-2.3%と1月の+0.7%か
ら再び減少に転じました。
コア小売売上高も減少
名目小売売上高から最も変動の大きい項目を除いた
コア小売売上高(個人消費の算出に使われる数値)も
期待外れに終わりました。2月のコア小売売上高は前
月比変わらずと、市場予想の同+0.4%を大きく下回りま
した。1月改定値は同-0.1%と速報値の同+0.1%から下方
修正され、一方、2014年12月改定値は同-0.2%に上方
修正されました。この結果、1-2月のコア小売売上高は、
2014年10-12月期比、年率で+0.1%に留まり、10-12月
期の前期比、年率+4.2%を大きく下回りました(図表1参
照)。
図表1:米国コア小売売上高の推移
( 3ヵ月移動平均、年率、期間:2005年1月~2015年2月)
%
8
4
0
-4
-8
-12
05年
07年
09年
11年
13年
15年
出所:ピクテグループのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
2月のコア小売売上高が 2015年1-3月期の低調な個
人消費を示唆することは明らかですが、当データの分
析には足元の環境を勘案することが必要です。先ず、2
月の小売売上高は寒波の影響を大きく受けた一時的
な落ち込みだということです。次に、過去半年の小売売
上高速報値が消費全般の伸びを占う数値にはなって
いないということです(コア小売売上高は消費全体の約
25%を占めています)。足元数ヵ月の小売売上高は、消
費全体の動向と相容れないものだったことが確認され
ています。一方、消費関連指標の大半は、消費の力強
い回復を示唆するものとなっています。雇用の創出は
足元の数ヵ月で伸びが加速しており、消費者信頼感指
数も数年ぶりの高水準を回復しています。また、名目
賃金が伸び悩む一方、実質賃金は大幅に増加してい
ます。したがって、2015年上期の消費動向は明るいと
の見方は変わりません。
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