ユーロ圏経済:成長見通しを上方修正

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ピクテ・マーケット・フラッシュ 2015年4月16日
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ユーロ圏経済:成長見通しを上方修正
2015年2月のユーロ圏鉱工業生産指数は市場予想を大きく上回りました。また、欧州中央銀行(ECB)の銀行貸出
調査からは、貸出基準の緩和が続いていることや、量的金融緩和策が企業の借入需要の一段の拡大を促す可能
性が高いことが明らかになりました。1-3月期のGDP(域内総生産)成長率は、従来予想を上回るものと見ています。
ユーロ圏経済:回復の兆し
図表1:ユーロ圏と米国の鉱工業生産指数の推移
(月次、期間:1999年1月~2015年2月)
2015年2月のユーロ圏鉱工業生産指数は市場予想を
上回りました。足元発表の経済指標や調査結果の内
容から想定されていた通り、1-3月期のGDP(域内総生
産)成長率が2014年10-12月期を上回る公算が高いこ
とを示唆するものとなりました。
また、欧州中央銀行(ECB)が公表した銀行貸出調査
は、貸出基準の緩和が企業向け融資の伸びを促す状
況を示しています。民間各行は、ECBの量的金融緩和
によって創出された流動性を活用し、過去半年を通じ
て貸出を伸ばしており、今後も貸出の拡大を図る意向
と見られます。
2月のユーロ圏鉱工業生産:大幅上昇
2015年2月のユーロ圏鉱工業生産指数(建設を除く)は、
前月比+1.1%となり、市場予想の同+0.4%を大きく上回っ
て2014年4月以来の水準を回復しました。一方、1月改
定値は同-0.3%と、速報値から0.2ポイント下方修正され
ました(図表1参照) 。この結果、1-2月の指数平均値
は2014年10-12月期比+0.7%となり、10-12月の前期比
+0.4% を上回りました。 なお、2月の指数は前年同月比
では+1.6% となり、2014年7月以来の高水準を回復しま
した。
指数の部門別内訳からは、幅広い部門の上昇が確認
されます。エネルギー生産が好調を維持し、消費財、
資本財、中間財はいずれも1月の減産から増産に転じ
ました。
115
米国(右軸) 110
110
105
ユーロ圏(左軸)
105
100
100
95
95
90
90
85
85
99年
01年
03年
05年
07年
09年
11年
13年
80
15年
出所:ピクテグループのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
国別指数:総じて上昇
鉱工業生産の国別指数は総じて堅調で、前月比で低
下したのはポルトガル、マルタ、フィンランド、スロベニ
アの4ヵ国に留まりました。
アイルランドが2015年2月は前月比+16.3%と総合指数
を押し上げましたが、同国の指数は月ごとの変動が大
きいことには留意が必要です。アイルランドを除いた2
月のユーロ圏平均は前月比+0.7%となり、1月の同+1.1%
を下回りました。ギリシャは、混迷する国内経済とは裏
腹に同+2.5%と予想外に堅調でした。中核国は総じて堅
調で、ドイツならびにイタリアが同+0.6% 、スペインが同
+0.7% 、オランダが同+1.5%と好調だったのに対し、フラ
ンスは同+0.2%と出遅れました。
2015年1-2月の平均値を2014年10-12月期比で見ると、
ドイツが低下、イタリアならびにギリシャが変わらず、フ
ランス、スペイン、オランダ、ポルトガルが上昇となりま
した。
<次ページに続きます>
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ECBの銀行貸出調査:量的金融緩和が
信用の創出を促進
また、ECBの銀行貸出調査は、今後数ヵ月にわたって
設備投資や企業活動が促進される可能性が高いこと
を示唆しています。
ECBが公表した銀行貸出調査(2015年1-3月期)は、貸
手と借手それぞれの状況をうかがわせるものとなりま
した。
ユーロ安やエネルギー価格の下落と相まって、ECBの
量的金融緩和策が着実に効果をあげ始めたことが、各
種の経済指標に現れつつあります。もっとも、足元発
表の指標の中には、こうした流れの更なる加速に疑問
を呈するものもあります。例えば、低調だった2月のドイ
ツ製造業受注指数は外需が伸び悩んでいることを示し
ています(2015年4月10日発行のピクテ・マーケット・フ
ラッシュ「ドイツ経済指標:強弱混在も見通しは良好」を
ご参照ください)。
企業向け融資については、貸出基準の緩和が貸出の
伸びを促す状況が示されました。また、企業の借入申
請に対する却下率の低下が確認されました。銀行側の
回答では、1-3月期に企業向け貸出基準を引き締めた
銀行の比率が緩和した銀行の比率を9%下回ったことが
報告されており、前期の5%と比べて貸出基準が緩和さ
れたことが明らかになりました。
対照的に、家計向け融資では、消費者信用の基準は
緩和されたものの、住宅ローン融資の基準は引き締め
られています。
国別動向では、スペインを除く中核国で企業向け貸出
基準が緩和されました。
全体的には、貸出基準は緩和傾向であるものの、過去
との比較では依然として引締め気味の水準に留まって
います。また、4-6月期には、貸出基準の緩和のペース
が鈍化するものと予想されます。
しかしながら、ピクテではユーロ圏GDP成長率予想を
2015年1-3月期、4-6月期、通年のすべてについて上
方修正しています。
※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内
容が変更される場合があります。
企業の借入需要は、直近の高水準は下回りましたが
依然として拡大基調を維持しており、4-6月期には一段
と拡大するだろうと銀行側では見ています。
家計向け融資では、住宅ローン需要の伸びが加速す
る一方、消費者信用需要は横這いが予想されていま
す。
ECBの銀行貸出調査からは、民間各行が過去半年を
通じ量的金融緩和によって創出された流動性を活用し
て貸出を伸ばしてきたことや、今後も企業向け貸出の
一段の拡大を図る意向であることが明らかになりまし
た。ECBの量的金融緩和が、とりわけ企業向けの貸出
基準の緩和を促したことがうかがえます。
ユーロ圏GDP成長率予想
2015年2月のユーロ圏鉱工業生産指数は、足元発表
の 経 済 指 標 と 同 様 、 域 内 の 1-3 月 期 GDP 成 長 率 が
2014年10-12月期の成長率(前期比+0.3%)を上回る公
算が高いことを示唆するものとなりました(2015年3月
27日発行のピクテ・マーケット・フラッシュ「3月のユーロ
圏PMI:製造業セクターの改善は加速」をご参照下さ
い)。
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