第3回

物理学 B1 演習
2014.5.22
1. 一様な重力中の質点の運動
一様な重力場中の質点の運動は自由落下(鉛直方向下向きの一定加速度の運動)と、
慣性系での運動に分離できる。重力方向とそれと垂直な方向にデカルト座標を取るこ
とにより、運動方程式を簡単に変数分離系にし、解くことができる。
大気の抵抗がある場合、低速度の場合の抵抗力は速度に比例する。抵抗力 F が F = -kmv
(k > 0)のとき、鉛直方向への運動だけを考慮すると、
𝑑𝑣
= −𝑔 − 𝑘𝑣
𝑑𝑡
これを初期条件 t = 0 で y = 0, v = vy で解く。
(教科書3.2.7)
すると、
𝑔
1
𝑔
𝑦 = − 𝑡 + (𝑣𝑦 + ) (1 − exp(−𝑘𝑡))
𝑘
𝑘
𝑘
となり、t →∞の極限で、v = -g/k となり、これを終端速度という。
高速度になると、速度の2乗に比例する抵抗力が生じることが知られている。この時
注意すべき点は、速度の2乗項は常に正なので、上昇と下降では式を別にしなければ
ならない(抵抗の向きが逆なので、正負の向きとなる)点である。
2. 微分方程式の解法
線形の微分方程式を解く際には、まず同次方程式系を解き、一般解を求め、非同次項
を含めた特殊解をそれに加える事で、解を得る。
同次方程式は、変数分離形式にすれば簡単に積分できて、一般解が求まる。非同次解
は一般解の積分定数が実は変数に依存していたとして一般解を方程式に代入して解を
求める(定数変化法)
。
問題
1. ツブテを初速度 v で、
距離 d だけ離れた鉛直に立っている壁めがけて投げつける。
ツブテが壁と垂直に当たる様にするには投げつける時の角度(仰角)を求めよ。
また、その時の壁に当たった位置は狙った高さの半分である事を示せ。
解)2ag/v2 < 1 のとき、αとπ/2-α 但しsin 2𝛼 =
2𝑎𝑔
𝑣2
2. 地上 h の高さの点から初速度 v1 で質点を射出するとき、次の問いに答えよ。
a. 仰角αで射出するときの地上での到達距離(射出地点鉛直下方の点からの距離)
をもとめよ。
b. 地上での最大到達距離とその時の仰角の値
解)a:
𝑣2
2𝑔
sin 2𝛼 {1 + √1 +
𝑣
b: 𝑔 √𝑣 2 + 2𝑔ℎ
tan−1
2𝑔ℎ
𝑣 2 sin2 𝛼
𝑣
√𝑣 2 +2𝑔ℎ
}
またはsin−1
𝑣
√2𝑣 2 +2𝑔ℎ
3. 地上から粒子を一定の初速度 v で射出したときに粒子が地表面に当たる到達範囲
の面積を S としたとき、高さ h の点から同じ初速度で射出すると到達可能面積は
S + 2h√𝜋𝑆 である事を示せ。
解は略
4. 花火のように、天空上で一点から等しい速度で各方向に放出された多くの質点は
常に同一球面上に有り、その中心が重力加速度gに従い落下していくことを示せ。
解は略
5. 距離 d だけ離れている高さ h の棒の上にある籠に玉を投げ入れるための最小速度
を求めよ。
解)v = √
𝑔𝑑2
2ℎ