ブラジル中銀の政策金利据え置きとインフレ動向

<マーケット・レター>
2016年3月3日
レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社
ブラジル中銀の政策金利据え置きとインフレ動向
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ブラジル中銀は3月1-2日の金融政策委員会(COPOM)で、政策金利を14.25%で据え置く決定を下す。
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市場コンセンサスでは、政策金利は2016年末まで据え置かれた後、2017年には利下げ転換が予想されている。
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2016年以降はインフレ率は鈍化に向かう見込み。2017年末にはインフレ率は目標上限まで低下が予想される。
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ダム貯水率改善から3月以降、政府は電力料金を値下げへ。今後は、広範な品目のインフレ収束が進むかに注目。
ブラジル中銀は政策金利を14.25%で据え置き
図1:ブラジル中銀の政策金利とインフレ率
ブラジル中央銀行は2016年3月1-2日(現地時間)の
16
金融政策委員会(COPOM)において、市場予想通り、政
15
策金利を14.25%で据え置く決定を下しました(図1)。
14
前回1月の会合と同様に、全8名のCOPOM政策委員の
うち、6名が政策金利据え置きを支持した一方、2名が
0.50%の利上げに投票し、政策委員間での意見が引き続
き分かれる結果となりました。
政策金利は2016年末まで据え置きの公算高まる
14.25%
2016年末(予)
14.25%
ブラジル中銀 政策金利
2017年末(予)
12.50%
2016年1月
12
+10.7%
11
10
2016年末(予)
9
IPCA(前年比)
8
+7.6%
7
6
金利の据え置きが当面継続する公算が高まっています。
5
2016年末まで14.25%で据え置かれた後、2017年には
2016年3月2日
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ブラジル中銀が政策金利の据え置きを決める中、政策
ブラジル中銀集計の市場コンセンサスでは、政策金利は
(%)
2017年末(予)
+6.0%
インフレ目標(上限)
4
インフレ目標(中心)
3
13
15
14
16
17
(年)
ブラジル中銀が利下げに転じると予想されています。
(出所)ブラジル中銀、ブラジル地理統計院(IBGE)
2014年10月以降の一連の利上げの背景となってきたイ (期間)政策金利:2013年1月1日~2016年3月2日
拡大消費者物価指数(IPCA):2013年1月~2016年1月
ンフレ率加速の問題も、2016年以降はインフレ率の鈍化 (注)政策金利およびIPCAの点線は市場コンセンサス(2月26日時点)
が見込まれます。市場コンセンサスでは、拡大消費者物
図2:ブラジルのダム貯水率と電気料金
価指数(IPCA)の伸び率は2016年末には前年比+7.6%
へ、2017年末にはインフレ目標上限の前年比+6.0%へ
低下すると予想されています。
ダム貯水率の改善から電気料金は値下げへ
特に2015年にインフレ率が加速した背景として、干ばつ
による電気料金の値上げが挙げられます。2015年上半
期には、ダム貯水率低下により割高な火力発電所の稼働
が増えたことで、電気料金は前年比5割超も上昇しました。
一方、足元では南東・中西部のダム貯水率は50%超の
水準を回復し、水力発電能力が改善したことから、政府は
3月以降の電気料金の値下げを公表しています(図2)。
今後、ブラジルの金融政策や景気の先行きを占う上で、
電気料金などの統制物価の安定がより広範な物価品目
のインフレ収束に波及するかが注目されます。
(前年比、%)
70
60
50
40
(%)
消費者向け電気料金(左軸)
100
90
80
ブラジル南東・中西部
ダム貯水率(右軸)
41.7%
30
50.9%
20
70
60
50
10
40
0
30
-10
20
-20
10
-30
12年1月
0
13年1月
14年1月
15年1月
16年1月
(出所)全国電力システム運営機構(ONS)、IBGE
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