Ⅳ 製品開発管理

Ⅳ 製品開発管理
1.製品開発とは
2.製品開発の効果
3.製品開発とイノベーション
4.製品開発管理の特徴
5.製品開発プロセスとその管理
①
1.製品開発とは
• 顧客のニーズとシーズ(技術)との何らか
の新しい結びつきを通じて、顧客満足の向
上を図ろうとするもの
• 製品の設計品質を決定する製品設計情報
の創出活動
②
2.製品開発の効果
• 付加価値増大への貢献(短期的視
点)
(a)顧客にとって高い価値を提供
(b)それをより低いコストで実現
• 持続的成長の原動力(長期的視点)
⇒製品開発能力の重要性
③
3.製品開発とイノベーション
(1)イノベーションとは
• 新製品の開発による付加価値増大を通じ
て、顧客満足の向上を図るには、何らかの
イノベーションが不可欠
=
要素の新結合(新しい結びつき)
④
(2)イノベーションの分類
①技術的(シーズ中心型)イノベーション/
市場的イノベーション(ニーズ中心型)
• いずれの場合でも、製品開発を成功に導く
には、ニーズとシーズの結合が不可欠
• 市場的イノベーションから新市場が創造さ
れる可能性がある
⑤
(2)イノベーションの分類
(continued)
②製品イノベーション/製法・工程イノベーション
• 産業レベルでの支配的デザインが固まるまでは、
多様な製品イノベーションが発生する
• 支配的デザインが固まると、製品イノベーション
よりも製品・工程イノベーションに力点が置かれ
ることが多い。
⑥
イ
ノ
ベ
ー
シ
ョ
ン
の
発
生
率
製品イノベーション
工程・製法
イノベーション
支配的デザインの成立
流動期
移行期
固定期
⑦
(2)イノベーションの分類
(continued)
③革新的イノベーション/漸進的(改善的)イノベー
ション
• 革新的なイノベーションがもたらす非連続的な進
歩(「創造的破壊」)は印象的であり、大きなイン
パクトをもたらすことも多い
• 一方、目立たない漸進的イノベーションの蓄積が、
しばしば大きなインパクト(⇒競争優位性)をもつ
ことも知られている
⑧
(3)イノベーションのジレンマ
• 優良企業ほど、現在の顧客の声に耳を傾け、顧
客が求める性能向上を実現する技術的イノベー
ションのために経営資源を重点的に配分する
• その結果、技術の供給水準が市場の求める水
準を超えてしまうこともある
• 当初は低い性能しか供給できなかった技術(破壊
的技術)による製品が市場を下から浸食し、優良
企業が駆逐される(「破壊的イノベーション」)
⑨
市場のハイエンドで求められる性能
性
能
持続的技術
による進歩
破壊的
イノベーション
破壊的技術
による進歩
市場のローエンドで
求められる性能
時間
⑩
4.製品開発管理の特徴
• 「創造性」の管理(効率性と創造性の
バランス)
• 「不確実性」の管理(←市場の不確実
性、技術の不確実性)
• 「複雑性」の管理(←市場・顧客ニーズ
の複雑性、技術の複雑性)
⑪
5.製品開発プロセスとその管理
(1)製品開発の流れ
①製品コンセプト創出
=
「その製品でどのように顧客満足を達成するか」
についての大まかな筋道を示すビジョン
• 製品コンセプト設定には、(a)ターゲット・ユーザー、
(b)顧客が使用(所有)によって得られる価値
の検討が不可欠
• 多数のイノベーティブなアイディアを集積・評価・
絞り込むプロセスが含まれる
⑫
(1)製品開発の流れ(continued)
②製品仕様決定
• 製品コンセプトを具体化して、製品仕様(基本的
な機能など)を決定
• スケジュールや原価などの具体的な開発プラン
も策定される
• 要素技術の開発が必要となる場合もある
③製品エンジニアリング(製品設計)
• 設計→試作→テストのサイクルを繰り返しながら、
構造設計を行い、製品設計情報をまとめ上げる
⑬
(1)製品開発の流れ(continued)
④工程エンジニアリング
• 生産工程の設計/機械設備などの設計・
調達・配備/作業マニュアルなどの整備/
パイロットラン(=量産試作)などを含む
(⑤ テスト・マーケティング)
• 消費者の反応を見るために、商品によって
は実施する場合もある
⑭
(2)製品開発プロセスの捉え方
• 製品開発プロセス
=将来の顧客満足創出プロセスのシミュ
レーション
=実現していない顧客満足創出プロセスを
逆行してさかのぼる形での、事前の疑似
体験
⑮
(2)製品開発プロセスの捉え方
(continued)
顧客満足プロセス
(シミュレーションされる側)
生
生産工程
工程設計
産
製品構造
構造設計
消
費
製品機能
顧客満足
機能設計
製品
コンセプト
製品開発プロセス (シミュレーションする側)
⑯