3.確率判断の落とし穴 (1)統計的独立

3.確率判断の落とし穴
(1)統計的独立
• 統計的独立=個々の試行は独立的に
生起すること
↓↑
• 過去に生起した事象は、次の試行に影響
を与えない
*(公正な)コイン投げやルーレット、サイコ
ロなどでは成り立っているといえる
(2)大数の法則と少数の法則
・大数の法則
=試行回数が十分に多ければ、相対頻度
が理論的な確率に近づいていくこと
(もう少し厳密に言うと)
• ベルヌーイの大数の法則:ある試行において事象Eのお
こる確率をpとし、この試行を独立にn回繰り返すとき事象
Eのおこる回数をXnで表すと、nを十分大きくとれば、相
対度数Xn/nは、例外的な場合を除けばほぼpに近くなる
こと
(2)大数の法則と少数の法則
(continued)
• 少数の法則という誤った信念
=非常に多くの試行でしかあてはま
らない大数の法則が、少ない試
行でも有効であると考えてしまう
こと
(3)サンプルサイズの無視
• 代表性ヒューリスティックスがバイアスとし
て機能する条件の一つがサンプルサイズ
(標本数)の無視
• ありうべき確率に引きずられて、大数の法
則を無視してしまう
⇒少数の法則への信念
(4)ギャンブラーの錯誤
少数の法則
への信念
統計的独立
の無視
ランダムであれば、事象が交差して生起す
ると期待する心理的傾向(バイアス)
⇒ギャンブラーの錯誤
(5)平均への回帰
• 大数の法則からの帰結
→試行回数が十分に大きければ、
累積平均は、ありうべき値(理論的
確率、本来の実力など)に徐々に
収束していく
Ⅲ リスク認知と意思決定
1.意思決定とリスク
2.リスク状況での評価
3.プロスペクト理論
4.さまざまなフレーミング
5.公正さの評価
1.意思決定とリスク
• わたしたちは将来を確実に見通すことがで
きない(←合理性の限界)
↓
• 意思決定での選択肢の評価の際には、選
択肢が導く結果の不確実性を考慮する
必要がある。
1.意思決定とリスク(continued)
• リスク状況
=情報が不完全であるために、起こりうる状態
(結果)が一つに特定できないものの、起こりう
る状態(結果)に対しての(主観的あるいは客
観的な)確率分布を想定できる状況
• われわれの意思決定の多くはこうした状況で
なされている
2.リスク状況での評価
(1)期待利得による評価
• リスク状況での評価方法として、期待利得
(期待値)に基づいた評価がしばしば行われる
(2)期待効用による評価
• 10000円のもたらす満足度は1000円のもた
らす満足度の10倍ではなく、50000円のも
たらす満足度の1/5でもない
→単なる利得ではなく、それがもたらす
満足度=効用を基準にして評価する
•一般に、限界効用は逓減すると想定される
(2)期待効用による評価
(continued)
• 限界効用逓減に基づいた期待効用基準に
よって、リスク回避的な選択が説明できる
ようになる。
リスク選好的
(3)反転効果
• 利得に関する選択ではリスク回避的である
のにもかかわらず、損失に関する選択で
は、リスク選好的になること
• 一般に、利得よりも損失に対して敏感に
反応する傾向が強い(損失の嫌悪)
• 損失についても限界効用逓減は成り立つ。
○S字型の価値関数