5月28日 第5回発表 - 慶應義塾大学 理工学部

7月16日 第12回発表
藤井 海太
国の競争優位(下)
11章 ; 企業の戦略
概要

国の環境がいかに有利であっても、成功が保証されているわけではな
い。第一線で競争するのは、国ではなく企業なのである。

重要なのは国の優位の源泉を積極的に探し求め、利用することであ
る

そのために必要な活動とはどのようなものか
国際競争における競争優位

成功した企業が採用した個々の戦略は多種多様だったが、競争優位
を持続することのできた企業・産業には、どこも根底にある決まったや
り方があった
1. 競争優位は基本的に向上、イノベーション、変革から生まれる
2. 競争優位には価値システム全体が関連する
3. 競争優位は執拗に向上させてこそ維持できる
4. 優位を維持するにはその源泉をグレードアップする必要がある
5. 優位を持続させるために究極的に必要なのは、戦略にグローバルに
取り組むことである
1.競争優位は基本的に向上、イノベーション、変革から生まれる

企業が優位を得るのは、新しい競争基盤に気づくか、新しい優れた手
段を発見するから
 ソニー;ラジオをトランジスター化した最初の会社
 ヤマハ;手作りだったピアノの生産をオートメ化する方法を発見

イノベーションは技術以外にもきわめて広い意味に定義されている
 製品設計、生産工程、マーケティング手法、新しい訓練や組織の方法

ライバルが無視していたセグメントを扱うときに、競争優位を生み出す
イノベーションもある
 日本企業が多くの産業で優位を得る←小型でコンパクトな製品分野を重
視
2.競争優位には価値システム全体が関連する

価値システムとは、製品の創造から使用にいたるまでの活動の全系
列をさす
 自社の価値連鎖だけでなく供給企業、流通チャネル、買い手の価値連鎖
まで含む

優位を気づき維持する過程には、供給企業や流通チャネルと密接な
相互関係を持つことが欠かせない

世界レベルの供給企業とユーザーが1つの国にいることが、多くの産
業で国際的な優位と関連している

クラスターの創造と拡張
 供給企業の育成を促進
 顧客のレベルを向上させる
 関連産業への参入を奨励
3.競争優位は執拗に向上させてこそ維持できる


一度獲得された優位を維持するには、別のもっと優れた方法を探し求
めなければならない
しかし、企業が自力だけで変化するのはほとんどない
 それまでのやり方が手続きや経営管理の中に制度化される
 専門家された設備がつくり出される
 1つの行動様式の教育を受ける

こうした力に対抗できるだけの強い圧力=外部環境

外部の圧力や刺激に向き合う必要がある
4.優位を維持するにはその源泉をグレードアップする必要がある

競争優位は価値連鎖内のどの活動からでも育つ

しかし、優位の源泉によって持続性には違いがある

持続力のある競争優位はレベルの高い人材や社内の技術力に依存
しているが、これにはたゆまぬ変革と、専門化された技能に継続して
投資することが必要である

より長く持続する競争優位を築くには、あまり持続しない競争優位が
優位を保っている間に陳腐化させることも必要
 日本;標準化された低価格製品→多様な差別化製品
5.優位を持続させるために究極的に必要なのは、
戦略にグローバルに取り組むことである

グローバルに取り組めば、本拠地の優位を補い、本拠地の劣位を消
し去ることができる
1. 国際的なブランドネームの確立
2. 活動を他国に配置



地域による優位の獲得
劣位を補う
地域市場への浸透を促進
3. 世界的規模でかつどうを調整し統合する



規模の経済性の獲得
ブランドの評判の有効活用
国際的な買い手への対応
競争優位の背景

競争優位の条件から、一つの心構えがつくり上げられる。

安定性を求めるのではなく、変革を求めなくてはならない

ビジョンをもったリーダーが重要。しかし、そのビジョンはどこから手に
入れるのか?
 イノベーションが成功するのは本国の環境がそれを支援しまた
強制するからである



イノベーションを迫るプレッシャー
産業での変化を認識する
クラスター内でも相互交流
イノベーションを迫るプレッシャー

イノベーションの刺激をつくり出すだめに本国を活用する
 要求の厳しい買い手やチャネルへ販売する
 困難なニーズを抱えた買い手を探し出す
 厳しい規制のハードルや製品規格を上回る基準を設定する
 従業員を長期雇用者として扱う
 優れた競争相手をよい刺激とする
産業での変化を認識する

他の国でも重要になるニーズの傾向を、いち早く見抜くこと

日本;エネルギー効率の重要性をいち早く明確な警告として受け取っていた





最も先行したニーズをもつ買い手を識別し、対応する
新しく出現してくる顧客やチャネルを調査する
規制の将来を予知させる規制のある地域を見つける
研究センターや最も才能のある人材の供給源と常に関係を保っておく
すべての競争相手、とくに新しい型破りな企業を調べる
クラスター内での相互交流

本国に世界的水準の買い手や供給企業があり、関連産業があれば、
重要な競争優位を得ることができる
 将来の市場ニーズや技術の発展に深い読みがある
 変革と向上の企業風土を生み出すのに貢献する
 イノベーションを進める過程でパートナーになったり味方になってくれたり

する
本国にクラスターがあることで、外国企業との取引よりも親密でオープンな
接触ができる
国の競争優位まとめ


国際優位は特定の産業に集中していることが多い。特定の産業で競
争優位を確保させ保持させる国の決定的特質は何かを追求した。
国のダイヤモンド
 要素条件
 需要条件
 関連・支援産業
 企業の戦略、構造およびライバル間競争

周りの環境から受ける影響が大きい

よって産業競争力を数値化する際も、背景の情報を盛り込むことが重
要であると考えられる
夏休みに向けて
 ダイフクでのインターン
 IMD以外の競争力指標の調査
 統計ソース
以上で発表を終わります