*グローバル投資環境 No.1389 * ご参考資料 髙木証券投資情報部 英国の国民投票でのEU離脱と米国の金融政策 2016年6月29日作成 23日の国民投票において英国がEUからの離脱という道 を選択して以来、グローバル金融市場のボラティリ ティーが増しているが、当レポートでは「Brexit」が 米国の金融政策に与える影響について考えてみたい。 FOMC参加者の金利見通し(6/15発表) 2016年末 「中央値」 =0.875% 昨年12月15~16日のFOMCで実質ゼロ金利政策を7年ぶ りに解除したFRBは、今月14~15日に開いたFOMCにおい て、政策金利であるFF金利の誘導目標を4会合続けて 0.25~0.50%で据え置くとともに、声明文と同時に公 表された「ドットチャート」では、2016年末のFF金利 見通しの中央値は「0.875%」で3月のFOMC時点から変 化なく、「25ベーシスの利上げが年内に2回」という、 FRB内部における中心的な考え方が維持された。また、 FRBのイエレン議長は、FOMC終了後に開いた会見において、「全てのミーティングはライ ブであり、利上げの可能性のない会合はない」と述べているが、今月のFOMCでの利上げの 見送りを決定的にしたのは、5月の雇用統計の下振れだとみられるため、髙木証券では、 来月8日に発表される6月雇用統計が極めて強いものとなった場合、7月26~27日に開かれ る次回のFOMCでの利上げの可能性はゼロではないものの、利上げ再開のタイミングとして 最も有力なのは9月20~21日のFOMCだと考えていた。また、同じ会見でイエレン議長は、 「英国の国民投票は(金利据え置きという)今日の結論に影響した」ことを明らかにして いたほか、国民投票の直前にあたる21日に行われた議会証言でも「投資家心理をシフトさ せる最近の変化は、来るべき英国の国民投票である」と述べていたため、国民投票でのEU 残留決定が早期利上げの条件の一つだと考えていた。従って、離脱という国民投票の結果 によって、7月FOMCでの利上げの公算はほぼ消えるとともに、9月のFOMCにおける政策判断 においては、それまでに発表される都合3ヶ月分の雇用統計などの経済指標に加え、グ ローバル金融市場がそれまでに、英国のEU離脱決定以前の状況に概ね復しているかどうか がポイントになろう。 髙木証券では、米国の利上げ再開が視野に入るに連れ て、米国債の利回りが上昇、これに伴って徐々に米ド ル高・円安の傾向が強まり、金利見通しが示す通りに 年内にさらに一回の追加利上げが実施されるのであれ ば、米ドルの緩やかな上昇が年末まで続くと考えてい た。英国のEU離脱で円高圧力が強まるとみる向きも多 いが、「Brexit」はあくまでも英国の通貨ポンド並び に欧州統一通貨ユーロの、米ドル(及び円)に対する売 り材料であって、米ドルと円の関係に対しては中立要 《年内のFOMC開催日程》 因、つまり、米ドルに対して円を買う理由にはならな 開催日 議長会見 7/26~27 無し いと髙木証券では考えている。しかし、金融市場の不 9/20~21 有り 安定な状況が長引くことによって、9月のFOMCでも利上 11/1~2 無し げが見送られ、年内2回の利上げが難しくなった場合に 12/13~14 有り は、米ドル上昇のタイミングは後ずれしよう。 (文責:勇崎 聡) (出所:FRB及びBloombergのデータより髙木証券作成) 《ご注意いただきたいこと》当資料は投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資の最終決定はご自身でなさるようお願い いたします。当資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、その正確性・完全性を保証するものではありませ ん。株式、債券、投資信託等は、価格の変動や発行者の信用状況の悪化等により投資元本を割り込むおそれがあります。また、当資料の いかなる部分も一切の権利は髙木証券に帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、無断で複製または転 送等を行わないようお願いいたします。 当社で取り扱う商品等へのご投資には、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、お客様向け資料等をよく お読みください。 商号等:髙木証券株式会社 金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第20号 【広告審査済】 加入協会:日本証券業協会 髙木証券インターネットホームページ:http://www.takagi-sec.co.jp/
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