PowerPoint プレゼンテーション

*グローバル投資環境
No.1409 *
ご参考資料
髙木証券投資情報部
米国FOMC速報~「経済見通しに対する短期的なリスクは減少した」
2016年7月28日作成
米国の中央銀行にあたるFRBは7月26日から27日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC)を開催、
政策金利であるFFレートの誘導目標を0.25~0.50%で据え置いた。FRBは、昨年12月15日から16日
にかけて開いたFOMCで25ベーシスの利上げを実施、2008年12月16日のFOMC以来継続していた実
質ゼロ金利政策を解除した後、5会合続けて利上げを見送ったことになる。また、投票権を有する
10名のメンバーのうちカンザスシティー連銀のジョージ総裁が25ベーシスの利上げを主張して反対
票を投じている(同総裁は3月15〜16日と4月26〜27日のFOMCでも25ベーシスの利上げを主張し
ていたが、6月14〜15日に開かれた前回の会合は全会一致で据え置きだった)。
前回のFOMCにおいて、4月FOMCの「経済活動
の伸びは減速したようにみえる」から、「経済
活動は上向いたようである」に上方修正されて
いた景気全般の現状に関する声明文の表現は、
「緩やかな速度で拡大したようだ」に変更され
たが、景気の現状判断に「拡大」という表現が
使われるのは3月のFOMC以来3会合ぶりである。
また、前回のFOMC声明文では、5月の雇用統計
が極めて弱かったことから、労働市場に関して
「改善ペースが鈍化した」との見方が示され、
4月のFOMC声明文の「労働市場の状況は一段と
改善した」から下方修正されていたが、6月の
雇用統計における雇用者数の伸びの急回復を受
けた今回は「労働市場は強まった」に判断を引
き上げたほか、家計消費についても、前回FOMC
の声明文において、4月の「伸びは緩やかに
なった」から「伸びは強まった」に引き上げら
れていたが、今回は「力強く成長した」という
さらに前向きな表現が使われている。
【声明文のポイント】
《景気と物価に関する声明文の表現》
景気の現状全般
労働市場
家計消費
設備投資
住宅市場
輸出
物価
6/14~15
7/26~27
4月の会合以降に入手した情報では、経済 6月の会合以降に入手した情報では、経済
活動の伸びは上向いたようにみえる
活動は緩やかな速度で拡大したようだ
労働市場は強まった。雇用の伸びは5月は
労働市場の改善ペースはゆっくりになった。
弱かったが6月は強かった。全体としては賃
失業率は低下したものの、雇用の伸びは鈍
金や他の指標が最近の月における労働資源
化した
の活用が多少拡大したことを示している。
家計消費の伸びは強まった
家計消費は力強く成長した
軟調だった
軟調だった
改善が続いている
純輸出の足かせは弱まった
以前のエネルギー価格の下落と非エネル 以前のエネルギー価格の下落と非エネル
ギーの輸入価格の値下がりを一部反映して ギーの輸入価格の値下がりを一部反映して
我々の長期目標を引き続き下回って推移し 我々の長期目標を引き続き下回って推移し
た。市場ベースのインフレ指標は低下し、ほ た。市場ベースのインフレ指標は引き続き低
とんどの調査に基づく長期の期待インフレは く、ほとんどの調査に基づく長期の期待インフ
結局のところ余り変わっていない。
レは結局のところ余り変わっていない。
金融政策スタンスの緩やかな調整により、経
金融政策スタンスの緩やかな調整により、経
済活動は緩やかなペースで拡大するととも
済活動は緩やかなペースで拡大するととも
に、労働市場関連の指標は強まるだろう。早
一方、足下のインフレの全体感については
に、労働市場関連の指標は強まるだろう。早
い時期のエネルギー価格の下落を一部反映
「我々の長期目標を引き続き下回って推移し
い時期のエネルギー価格の下落を一部反映
してインフレは短期的には低位にとどまると
た」で変わらないが、前回FOMCの声明文では
してインフレは短期的には低位にとどまると
みられるが、過去のエネルギー価格及び輸
「低下した」とされていた「市場ベースのイン 景気と物価の先行き みられるが、過去のエネルギー価格及び輸 入価格下落の一時的効果の消失と労働市
入価格下落の一時的効果の消失と労働市
フレ指標」に関しては、「引き続き低く」とい
場のさらなる改善により、インフレは中期的
場のさらなる改善により、インフレは中期的
う4月FOMCの声明文の表現に戻された。また、
に2%に向けて上昇するだろう。経済見通し
に2%に向けて上昇するだろう。我々は引き
長期の期待インフレについては「結局のところ
に対する短期的なリスクは減少した。我々は
続きインフレの動向とグローバル経済と金融
ここ数ヶ月の間余り変わっていない」との表現
引き続きインフレの動向とグローバル経済と
の変化を注視する。
が維持されている。
金融の変化を注視する。
景気の先行きについては、「経済活動は緩やかなペースで拡大するとともに、労働市場関連
の指標は強まるだろう」との見方を継続、今後のインフレに関する、「短期的には低位にとどま
るとみられるが、過去のエネルギー価格及び輸入価格下落の一時的効果の消失と労働市場のさら
なる改善により、2%に向けて上昇するだろう」という表現も変わっていない。ちなみに、前回
のFOMCが開かれたのは6月23日に行われた英国の国民投票前であることは改めていうまでもない
が、海外の経済や金融市場の動向について声明文では、「(インフレ指標と)グローバル経済と
金融の変化を注視する」という4月FOMCの声明文と同じ記述で注意を払っていることを示しつつ、
声明文の公表後に開かれた会見でFRBのイエレン議長は、「英国の国民投票は(金利据え置きと
いう)今日の結論に影響した。それは、経済やグローバル金融市場の状況に影響を及ぼすべき決
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最終頁の「ご注意いただきたいこと」を必ずお読み下さい。
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定であり、同時に米国の経済見通しに影響を及ぼす可能性がある」と述べ、米国の金融政策
を決める上で、「Brexit」問題を考慮したことを明らかにしていた。一方、EUからの離脱と
いう英国の選択に対するグローバル金融市場の混乱が極めて短期間で収束したことを受けた
今回の声明文では、「グローバル経済と金融の変化を注視する」という表現を維持する一方、
「経済見通しに対する短期的なリスクは減少した」ことを明記した。なお、「経済情勢が極
めて緩やかなFF金利の引き上げに限って正当化される形で改善され、FF金利はしばらくの間、
長期的に有効とされる水準を下回って推移するだろう。しかしながら、FF金利の実際の道筋
は今後のデータによる経済見通しに依存する」を根幹部分とするフォワードガイダンスにつ
いては、利上げを実施した昨年12月FOMC以降変わっていない。 《フォワードガイダンス》
FF金利のさらなる調整のタイミングと規模の
決定においては、雇用の最大化と2%のイン
市場関係者の多くは早期の追加利上げシナリオに対して一貫 フレ目標に関連する経済情勢を、現実と予想
の双方について再評価する。評価に際して
して否定的であり、前回のFOMCで声明文と同時に公表された
は、労働環境に関する指標やインフレ圧力と
インフレ期待、金融情勢と国際情勢の変化を
「ドットチャート」では、「25ベーシスの利上げが年内に二
含む幅広い情報に注意を払う。現在のインフ
回」というFRB内部のメインシナリオが3月FOMCの時点から変っ レが2%の目標を満たしていない観点から、
ていないことが示されたにもかかわらず、FF金利の先物は年内 我々は、現実と期待のインフレ目標に向けた
進展を注意深くモニターする。経済情勢が極
一回の利上げすら十分に織り込んでいなかったし、英国の国民 めて緩やかなFF金利の引き上げに限って正
投票の直後には、年内の利上げ再開を見込む市場関係者は皆無 当化される形で改善され、FF金利はしばらく
の間、長期的に有効とされる水準を下回って
推移するだろう。しかしながら、FF金利の実
になったように思われる。その後は、前述の通り堅調な6月雇
際の道筋は今後のデータによる経済見通し
用統計や、グローバル金融市場の落ち着きを背景に見方が多少 に依存する。
変ってきたものの年内の利上げに対する確信度はなお高くない FOMCメンバーの金利見通し(6/15発表)
ようであり、今回のFOMCの結果に対する最初の反応からは、投
資家のそうした見方に大きな変化はないことがうかがえる。
髙木証券では、前回のFOMC直後には、「利上げ再開時期の候補 2016年末
として最も有力なのは9月のFOMCであり(7月のFOMCでの利上げも 「中央値」
=0.875%
なくはないが可能性は低い)、9月に利上げが実施された場合に
は、年末までにさらにもう一回の追加利上げ(つまり、年内に二
回の利上げ)が行われる可能性が高い」と考えていた。国民投票
後には、「7月の利上げの可能性はほぼ皆無だが、9月の利上げは
メインシナリオではないもののその可能性を否定すべきではなく、
少なくとも年末までには利上げが再開される」というシナリオに
変更したが(フィラデルフィア連銀のハーカー総裁が7月13日に
「米国経済は英国のEU離脱で大きなダメージを受けず、年内に最
大で二回の利上げが正当化される可能性がある」と述べている)、
米国の利上げ再開に対する当社の見方は、多くの市場関係者のそ
れに比べて一貫して肯定的であることに変わりはないし、今回の
FOMCは先に述べた当社の見方が正しいことを裏付けているように
思われる。利上げ再開のタイミングとして最も可能性が高いのは、
現時点では12月のFOMCだと考えているが、今後の経済指標次第で
は9月のFOMCでの利上げが検討される可能性はあると思われ、と
《年内のFOMC開催日程》
りわけFRBが政策判断の上で重視する雇用統計(9月のFOMCまでの
開催日
議長会見
間には7月と8月の2ヶ月分が発表される)が強いものとなった場
9/20~21
有り
合には、9月のFOMCでの利上げに対する思惑が高まることで、米
11/1~2
無し
12/13~14
有り
国債券利回りの上昇に伴って、為替市場では米ドルが堅調さを増
す可能性があると思われる。
(文責:勇崎 聡)
(出所:FRB、Bloombergのデータより髙木証券作成)
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