下顎隆起について

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下顎隆起(131122)
60 代男性。これはなんですか?と口内を見せてくれた。両側下顎の内側に堅い隆起を認める。
痛みは無く、粘膜は正常。両側から舌小帯を挟み込むように隆起しており、舌下のスペースがか
なり狭まっている。
知っているか知らないかで、対応が異なってくるかもしれない。無用な心配をかけないためにも
幅広い知識は持ち合わせておきたいと思う。
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顎骨に生じる病変のなかでも、外骨症(骨隆起とも呼ばれる)は遭遇する機会が多い疾患で
ある。1)
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本症は顎骨の外側に生じる骨の増生をいうが、生理的に増生するもので、腫瘍ではない。1)
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下顎の小臼歯部舌側に生じるものを下顎隆起、口蓋正中部に生じるものを口蓋隆起、上下
顎小臼歯部から大臼歯頬側歯槽部に多発性に生じる結節性骨隆起を多発性骨隆起あるい
は頬側隆起という。1)
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骨の辺縁性過剰形成で、一般には腫瘍性の発育とは区別され、発育異常や反応性の骨増
生とされる外骨症の 1 型と考えられているため、臨床的には積極的に治療の対象にならない
場合が多い。3)
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発現年齢としては、加齢とともに出現し、隆起が著明になるのは中年期以降とされている。1)
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子どもにはほとんど見られず、思春期以降に徐々に大きくなることがあります。2)
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原因については明らかではないが、咀嚼・咬合力による顎骨への影響、人種的・遺伝的要因
が関与するといわれている。1)
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原因はわかっていませんが、歯ぎしりや噛みしめなど異常な力が加わることによる環境的な
原因、遺伝的な原因が関係するとも言われています。2)
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日本人では約 50%という報告や 5∼10%という報告もあり、どの程度から骨硫キと呼ぶかは
一定していません。2)
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下顎隆起は下顎犬歯部から小臼歯部にかけて舌側歯槽骨に生じる半球状の有茎性、外骨
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性骨隆起で舌側隆起ともいう。一般には左右対称・両側性で、加齢とともに増大傾向を示し、
また多発性で、その数も増える傾向にある。1)
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X 線学的には限局した不透過像として認められる。多くの場合、被覆粘膜は正常であるが菲
薄で、食物や義歯の刺激で、容易に褥瘡を形成する。褥瘡をつくらないかぎりは無症状に経
過する。1)
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臨床上の不都合としては、食物摂取時の粘膜損傷や義歯装着時の褥瘡の形成、大きさや
形状によって義歯作製時に障害になったり、口腔清掃が困難であったりする。
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義歯作製にあたっては、小さい隆起であれば義歯内面をリリーフすることで解決されるが、隆
起が大きい場合には義歯作製に支障をきたすことが多く、外科的処置が適応となる。1)
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(患者には)病的なものではないので心配はいらないこと、じゃまになるようなときは外科的に
簡単に取ることができることを伝えましょう。2)
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著しく発達したものでは義歯装着の際の障害となったり、骨隆起の薄い粘膜が咀嚼、ブラッシ
ングの際に損傷し、潰瘍形成を起こす場合は外科的切除の対象となる。3)
(参考文献 1 より引用:下顎隆起の解剖図)
一見迫力がある所見だが、困っていなければ経過観察でよさそう。この患者も経過観察。
参考文献
1.
白川正順, 石垣佳希.外骨症の処置 (1)下顎隆起.歯界展望 106(4): 730-736, 2005.
2.
宮地建夫骨隆起.デンタルハイジーン 25(1): 5-7, 2005.
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3.
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川端 五十鈴, 川島 佳代子, 椿恵 樹.口蓋隆起を伴った巨大な下顎隆起例.耳鼻咽喉科臨
床 Vol. 89 (1996) No. 6
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