爪甲色素線条(140725)

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爪甲色素線条(140725)
数年前から気になっていたという褐色に伸びる爪の色調の変化。均一で淡い褐色の線条で、数
年来変化なし。Hutchinson 徴候なし。
見逃したくない病気の一つはメラノーマだけれど、注意すべき点などを勉強しておく。
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爪甲内のメラニン色素による淡褐色から黒色までの縦の線条をいう。1)
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爪母に存在する正常あるいは異常なメラノサイトの増数または機能亢進によって生じる。1)
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わが国では健常人の約 1%に本症が認められる。1)
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原因:①局所の機械的刺激、②爪母部に生じた色素細胞母斑(いわゆるほくろ)、③悪性黒
色腫の早期病変、④抗悪性腫瘍剤(フルオロウラシル<5-FU>)などの薬剤、⑤Addion 病や
Peutz-Jeghers 症候群などの全身性疾患。④⑤では本症が多発する。1)
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(悪性黒色腫は)通常、成人以後に生じ、単発性で、線条の幅が広く(多くは 6mm 以上)、色
調に不規則な濃淡差を有するかあるいは濃黒色を呈する。進行すると爪甲周囲にも色素斑
が出現し(Hutchinson 兆候)、爪甲の変形・破壊を生じる。ただし、類似の所見が小児にみら
れた場合は母斑性のことが多いので、取り扱いには十分注意する。1)
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メラニン爪の診断基準案 2)
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6-point checklist of melanonychia
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臨床スコア (各 1 点)
1.
患者の年齢が 30 才以上
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2.
期間が 5 年以内
3.
過去 3 ヶ月の間に明らかな変化
ダーモスコピースコア (各 2 点)
1.
背景の色調が多彩
2.
不規則細線条・線条帯
3.
皮丘平行パターンの Hutchinson 徴候 (※)
3 点以上はメラノーマを強く疑う
少しでも悪性黒色腫の疑いがあれば皮膚科専門医に紹介すべき。ダーモスコピーで観察し、
必要に応じて爪母を含めた生検を行う。1)
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良性のものは放置しておく、必要に応じ経過を観察する。1)
(※)皮丘平行パターン:parallel ridge pattern : PRP などの意味についてはラジオ NIKKEI の資料
が分かりやすい→http://medical.radionikkei.jp/maruho_hifuka_pdf/maruho_hifuka-101202.pdf
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皮膚紋理の溝に着色する皮溝パターン(parallel furrow pattern; PFP)
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格子様のパターン(lattice-like pattern; LLP)
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細線維状のパターン(fibrillar pattern; FP)
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皮丘パターン(parallel ridge pattern; PRP)
皮膚科医がダーモスコープを用いても難しいケースもあると思うので、安易に判断するのにはリ
スクが伴うことを肝に銘じておきたい。所見や経過から、少しでも疑わしいケースは相談できるよう
な目をを持ちたいと思う。
参考文献
1.
西岡清ら.実践 皮膚病変のみかた. 協和企画,東京, 2005.
2.
仙波祐子.「左母指爪甲の色素線条」第4回インターネット皮膚病理診断検討会
http://www.npo-jdpo.org/10online/2010cases/012/012.html
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