低用量ピルとカルバマゼピン:テグレトール®(140630)

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低用量ピルとカルバマゼピン:テグレトール®(140630)
20 代女性。月経異常にて低用量ピル服用中。テグレトールが開始になったらピルの効果が無く
なったと相談に来た。
テグレトールは併用注意の薬剤が多い・・・。添付文書のごく一部を抜き出してみるが、確かに黄
体・卵胞ホルモン剤の記載がある。どうやら関連があることは間違いなさそうだ。
19. 薬剤名等
抗不安・睡眠導入剤(アルプラゾラム、ミダゾラム)
抗てんかん剤(ゾニサミド、クロナゼパム、エトスクシミド、トピラマート)
トラマドール
ブプレノルフィン
ブチロフェノン系精神神経用剤(ハロペリドール等)
三環系抗うつ剤(イミプラミン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン等)
トラゾドン
ミアンセリン
セルトラリン
ミルタザピン
精神神経用剤(オランザピン、アリピプラゾール、リスペリドン、ブロナンセリン、クロザピン、パリ
ペリドン)
ドネペジル
フレカイニド
エレトリプタン
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤(ニフェジピン、フェロジピン、ニルバジピン等)
オンダンセトロン
副腎皮質ホルモン剤(プレドニゾロン、デキサメタゾン等)
黄体・卵胞ホルモン剤
ソリフェナシン
クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)
免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス、エベロリムス)
抗悪性腫瘍剤(イリノテカン、イマチニブ、ゲフィチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ダサチニブ、
ニロチニブ、ラパチニブ、トレミフェン、タミバロテン、テムシロリムス、*アキシチニブ)
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ドキシサイクリン
HIV プロテアーゼ阻害剤(サキナビル、インジナビル、ネルフィナビル、ロピナビル等)
マラビロク
デラビルジン
エトラビリン
プラジカンテル
エプレレノン
シルデナフィル
タダラフィル(シアリス)
ジエノゲスト
アプレピタント
*リバーロキサバン
**シンバスタチン
臨床症状・措置方法
これらの薬剤の作用を減弱することがある。
機序・危険因子
本剤の代謝酵素誘導作用によりこれらの薬剤の代謝が促進され、血中濃度が低下す
る。
ピルを服用している患者は増えていると思うので、プライマリ・ケア医も注意しておく必要がある。
文献 1 の臨床的に重要そうな部分を抜き出してみる。

薬物相互作用は、複数の薬剤を併用したときに発現する可能性があるが、臨床上問題とな
る事例はごく限られている。ただし薬物相互作用によって重篤な副作用の発現が懸念されて
おり、とくに治療域の狭い薬剤については、その安全性・有効性において問題となる場合が
あるので注意が必要である。1)

OC(oral contraceptive)の添付文書で報告されている相互作用の多くは代謝過程において
引き起こされており、それらの相互作用を表 1 にまとめた。1)
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(参考文献 1 より引用)

米国経口避妊薬添付文書ガイダンスによると、OC の服用により耐糖能が低下するとの記載
があり、OC は、インスリン感受性を 30~40%程度低下させるとの報告もあるので注意が必
要である。1)
(参考文献 1 より引用)

臨床の場で OC を処方する場合、もしくは OC が処方されている場合には、添付文書に記載さ
れた薬剤だけでなく、同様の代謝酵素を基質とする薬剤については、少なくとも薬剤間の相
互作用に十分に配慮しなければならない。1)

避妊効果が減弱し、望まない妊娠に至ることだけは避けなければなりません。避妊効果を減
弱させる薬剤とは何かを十分知ったうえで、必要に応じてコンドームを併用するなどのバック
アップ法を教えておく必要があります。1)

OC の効果が減弱すると妊娠する危険性があり、逆に効果増強時には不正子宮出血などの
発現に注意する必要がある。妊娠は当事者にとってはとくに重大なことであるので、「OC を
やめてコンドームでの避妊を」などと、避妊を男性に依存するような安易な指導に終始しては
困る。むしろ確実な避妊法としての OC 服用を継続するためにほかの薬剤を減量あるいは変
更することができないかを常に念頭に置くことが大切となる。1)
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どちらが優先されるか、他に候補が無いか、治療を続けるうえで注意すべき点などについて患
者と話し合う必要がありそうだ。
参考文献
1.
北村邦夫.低用量経口避妊薬を使用している女性がほかの薬剤を服用する場合に注意しな
ければいけないことがありますか?治療 94(増刊): 726-729, 2012.
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